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2016年2月 3日 (水)

地震計を作る - 超音波距離計の応用 - プロトタイプ

先日ノギス、マイクロメーターくらいの分解能がある超音波距離計を作ったわけですが、今のところ実用にできるような用途がありません。そこで地震計(もどき)が作れないかと考えてみました。
地震計と言っても方式、測定対象がいろいろあるようですが、今回は考えつく中でいちばん原始的なものです。

  「防災科学技術研究所
      - Hi-net 高感度地震観測網
          - 9章 地震観測

まず支柱を作りそこからビニール線でライターのガスボンベをつるします。
なぜビニール線とかへんなものを使うかというと両側にミノムシクリップがついていてガスボンベをつるしたり支柱に固定するのに便利だったからです。
Photo

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次は上から見た図です。
Photo_2

超音波送受信ユニットを送信ユニットから出た超音波(40kHz)がガスボンベに反射して受信ユニットで受信できるように配置します。こうすればガスボンベの前後の動きを検出できるはずです。

超音波送信ユニットと受信ユニットは分解能0.1mmの超音波距離計(ノギス)の製作 - 原理とその検証と同じ構成の回路に接続してあります。ただしデータの記録はADコンバーター+SDカードではなく、平衡変調器+ボイスレコーダーを使っています。

使用している波長や測定方法から考えて1Hz以下から数百Hzの0.01㎜~数㎜くらいの振幅の振動が記録できると思われます(振動数が低い方は振り子の長さに依存します)

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実際に測っているのは距離そのものではなく受信波の位相なので距離と出力の関係には周期性があります。
Photo_3

ただし記録方法(出力電圧で5kHzを平衡変調しボイスれーコーダーに記録)からくる制約でマイナスの電圧はプラスに折り返されてしまいますので実際はこうなります。
2

ここでAあたりの範囲を使えばおもりの動きにほぼ比例した出力が得られます。
Bの範囲まで使ってしまうと“折り返し”が出てしまいます。ただこれは折り返しが起きたことが一目でわかるのでどういう動きをしていたかわからないことはないです。
Cの範囲の方を使ってしまうとこれも“折り返し”が起きるのですが、こちらは折り返しが起きているかどうか判断が難しいケースがあります。
とにかく送受信ユニットの位置を調整してできるだけAの範囲で使うようにします。ほんとに地震が来たらAの範囲は簡単に超えてしまうとは思いますが....

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1分ほど測ってみました。途中で台をこつんこつんしたりしています。
0

まず30秒から40秒のあたりの拡大図です。
1

周期1秒の単振動(減衰振動)が起きていますが、コツンコツンやりすぎてガスボンベが振り子になってしまったためです。ただ矢印で示したあたりには振り子運動とは関係ない細かな振動が記録されています。

この振り子運動は実際の地震計ではダンパーを使って抑えるのだと思います。

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次に20秒から25秒です。
2_2

これも単振動なのですが、振幅が大きすぎて(Bの範囲を使ってしまい)折り返しが起きてしまっています。

これも同じく矢印のあたりに振動が見られます。

ダンパーをちゃんとするのがいちばんだと思いますが、記録は数値データとしてあるのでFFTで振り子運動の分を取り除くとかもやってみたらおもしろいかもしれません。

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最後に最初から10秒です。
3

最初の方にいくらか振り子運動が見られますが、矢印のところに振動が見られます。7秒のところはコツンとやったところでしょう。

24時間続けて記録し続ければ小さな地震のデータが採れるかもしれませんが、ただ上の結果を見ているともっと周期を長くする(振り子の長さを長くする)とか、慣性を大きくする(おもりを重くする)とか、振り子運動を抑えるかとか、地面に固定する(無理なら建造物に固定する)とか、そういうのが先決のようです。

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