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2016年2月21日 (日)

GPS受信モジュール1PPS対決 - GE-612T vs GM-5157A

セット優先(リセット優先)RSフリップフロップのテストを兼ねてGPS受信モジュールGE-612T/1PSとDS3234/1PPSの比較を前記事(超高精度SPIバスRTC(リアルタイムクロック)DS3234Sは一ヶ月に0.2秒進む)で行いました。これはGPS受信モジュールの1PPS出力が正しいという前提です。

今回はおそらく同程度の確度があるだろうと思われるGPS受信モジュール同士の比較です。ただタイトルには“対決”と書いてしまったのですが今のところどちらが正しいか判定するための材料がなくて単に比較してみましたというだけの記事になっています。

それから今回の比較ではGM-5157Aの出力にコンパレーターが入っています。コンパレータはゲートとは違って遅延が大きいのでフェア(?)ではないのですが、ぎしぎしに組んであって外すのが難しいことと、片方がちょっと遅延していた方が比較しやすいということでそのままにしてあります。ほんとうはコンパレータを入れる場所を交換して測定するというのが測りやすくまた正確な結果が得られると思います。

ブロックダイアグラム
Bd2

  

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GM-5157Aの出力にコンパレータが入っているのは上に書いたとおりです。コンパレーターの遅延時間は動作条件によってかなり違ってくるので予測しづらいのですが0.5μs~1.0μs程度と思われます(データシートには1.3μsという数値があるのですが、グラフを見るとこれは最悪に近い条件での値のようです)

周期を測る周波数源にはふつうの水晶発振器を使っています。RTCとGPSでは1PPSの出力タイミングの違いは0秒~1秒と広いので、必要とする分解能に見合った確度が要求されます。だから標準電波/JJに同期したTCXOを使ったのですが、GPS同士あれば1PPSの出力タイミングの違いはμ秒のオーダーのはずです。周波数源の確度は1/1000もあれば十分なことになります。そのかわり分解能を上げるため周波数が48MHzのものを用意しました。これによってほぼ0.02μ秒(1/48μ秒)の分解能を得ることができます。

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測定結果
Gps_tdandtemp

測定を始めたはいいのですが、GE-612Tが悲しくなるほどにポジションフィックスできません。ポジションフィックスできなくなったところに縦に赤い一点鎖線が入れてあります。

GE-612TもGM-5157Aも窓際においてあって確かに条件は悪いのですがGM-5157Aは1PPSを出し続けるのに対しGE-612Tはすぐに途切れてしまうのです。

どちらも屋外に出してやりたかったのですが信号線だけでなく電源をどうするとかいろいろあってそのまま測定してしまいました。

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ブロックダイアグラムにあるようにGE-612TでRSフリップフロップをセットしコンパレータがあるため出力タイミングが遅くなるはずの)GM-5157Aでリセットしています。

平均的に見るとGM-5157Aが0.75μ秒ほど遅れています。これがコンパレーターの遅延時間なのでしょう。上に書いたようにコンパレーターの遅延時間としては妥当な数値です。

ただその後 NEO6M-ANT-4P とGE-612Tの1PPS出力タイミングを比較するとGE-612Tが1.0μ秒~1.3μ秒早くなっていた という測定結果が出ており現時点でこの0.75μ秒がコンパレーターの遅延と決めつけるのは早すぎるようですが、この記事ではひとまずこれをコンパレーターの遅延として話を進めます。ました。コンパレータの遅延を今回の使用状態で実測したところ0.52μ秒でした。データシートにあるよりずっと強くオーバードライブしているのでこの値になるのだと思います。

この0.75μsのところに横線が入れてあります。二つの受信モジュールの出力タイミングの差はこの横線を縫うように推移しています。GE-612Tの1PPSが出なくなる直前・直後を除けばだいたいこの線の±0.25μ秒の中に入っています。

つまり今回の測定時、GE-612Tの1PPS出力は0.23μ秒GM-5157Aの出力に先行しており、その差はだいたい-0.02μ秒~0.48μ秒の間で変動している、ということになります。

<==== あらためて同じ実験をしたところGE-612TとGM-5157Aの出力タイミングは一致しました。また変動もほとんどありませんでした。こういう実験は電波の状態がいいときやらないと意味がなさそうです。
あるいは電波の状態が悪いとこういうことが起こりうるとお考え下さい。


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GM-5157Aが「Timing Accuracy ±10ns RMS (1PPS output)」、GE-612Tが「Signal Accuracy <60ns (99%)」であることを考えるとこの変動幅はちょっと大きすぎる値のようですが、データシートの値は受信条件が適切であることが条件なのでしょう。

念のために書いておくと上の二つGPS受信モジュールの誤差の数値を見てもどちらが誤差が小さいかはわかりません。波形のわからない信号のP-P電圧と実効値電圧を示されてもどちらが大きな信号か言えない(あるいは比較できない)のと同じです。

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±0.25μ秒のばらつきがあるとすれば12.8M Hzの周波数を測ったとき、どちらか一方にこの変動があるとすれば3Hz~4Hzの、両方とも同じように変動しているとすれば2Hz程度の変動が出るようにも見えるのですが、実際にはそれはないです。誤差はランダムでなく緩やかに変化しており1PPSが0.25μ秒遅延した場合、次の1PPSも0.25μ秒近く遅延してその間隔は正確な1秒に近くなるからでしょう。どちらかというと、長時間積分するほど誤差は小さくなる、という理論(確度0.0005ppmの周波数測定 - GPSの1PPS出力を使った高精度周波数カウンタ)に不安を抱かせる結果になっています。

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両方とも不確かさが大きいがたまたま同じように変化したから±0.25μ秒におさまっているという可能性が考えられますが、この二つはチップセットが別メーカのものですし、それは考えなくてもいいと思います。少なくとも今考えることではないと思います。

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1PPSが途切れる前後では差は大きく変動し2μ秒にも達します。これはVM39S5Gの周波数測定でも経験したことがあります。こちらもなめらかには変化はしていますが、1秒が毎秒0.5μ秒前後短く(あるいは長く)なっているところがあります。周波数測定でもその変動ははっきりわかるはずです。だから精密な周波数の測定は1PPSが出始めてから少なくとも10分くらい待ってから行っています。

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今回はちょっと消化不良の感があります。もう一度条件をちゃんと整えた上でやってみたいと思います。また測定方法に問題がないかも点検しておいた方がよさそうです。

GPS受信モジュール1PPS出力・巴戦 - NEO6M-ANT-4P * GE-612T * GM-5157A」へ続く

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追記 コンパレータの遅延を補正したグラフ
Gps_tdandtemp2


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関連

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(改訂版)GPS受信モジュールあれこれ
  「高精度発振器をGPS受信モジュールとPLLで作る - はじめに

  「GPS受信モジュール1PPS対決 - GE-612T vs GM-5157A」 (この記事)
  
GPS受信モジュール1PPS出力・巴戦 - NEO6M-ANT-4P * GE-612T * GM-5157A
  「GPS受信モジュール1PPS出力タイミング変動の高精度測定の方法を考えてみた
     (RSフリップフロップ+XO、分解能:1/48,000,000秒)

  「続・GPS受信モジュール GM-5157A vs GE-612T 1PPS対決
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GPS受信モジュール・GE-612T vs GM-5157A 1PPS対決(高分解能版)
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100万分の1秒くらいずれている?GPSの1PPS出力 GE-612T vs. GM-5157A
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  「GE-612T vs GM-5157T 1PPS対決(GPS受信モジュール)
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  「セット優先RSフリップフロップとリセット優先RSフリップフロップ(RS-FF)
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コメント

GPSメーカ固有のくせのようなものがあるのですかね。0.23μsの違いってどちらのデータシートが正しいとしても発生し得ない大きなものですよね。私もやっと2種類持つことになったので測定したほうがよいのかもと考えさせられました(←測定回路をマネするとしてもほとんど部品を持ってないですが^^;)

ちなみにブロックダイアグラム図で、コンパレータへの入力がRTCになってますが、これをGM5157Aとして読めばいいのですよね?

あ~、すみません。ブロックダイアグラム間違ってますね。差し替えておきました m(._.)m
おっしゃる通り予想以上の差です。距離に換算すると70mくらいになるわけで、何かの間違いであることを祈っています (^^;;
受信状況が悪いせいなのかなあと思っているのですが、開けた場所でのテストはムリなのでなんとも言えません。まあ、日常使う状態でのテストとすればこれでいいわけですが。
じつはもっとすごい結果も出ていますが、1μ秒程度あるいはそれ以下の違いにどういう意味があるか考えるとどうでもいいいような気もします。

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