« “ガセ”だったGPS受信モジュールの1PPS出力タイミングの違い | トップページ | 続・GPS/1PPSで標準電波/JJYの位相変動(周波数変動)を調べてみた »

2016年2月25日 (木)

GPS/1PPSで標準電波/JJYの位相変動(到達時間差)を調べてみた

前記事“ガセ”だったGPS受信モジュールの1PPS出力タイミングの違いでJJYにロックしたVM39S5Gの12.8MHzを分周して作った1PPSを基準にGPS受信モジュールの1PPS出力タイミングの変動を調べました。

このような結果が得られました。
Neo6mant4p_ge612td2

このグラフを見ると数十分の間にGPS受信モジュールの1PPS出力タイミングが変化しているように見えますが、これはあきらかにおかしいです。GPS受信モジュールの1PPS出力は時間軸を長くとるほど正確になるからです。本来なら横軸に平行な直線にまとわりつくようなグラフになるはずです。

=====
 
もっと長い時間の変化を調べてみます。
Gpsjjy201602231600jst

横軸が経過時間となっていますが、これは2016年3月23日16時00分UTCからの経過時間です。つまりグラフは16時50分UTCから20時10分UTCのものです。

基準信号とタイミング差がかなり変化しています。まず最初に思いつくこととしてはPLLが正常に動作していないということですが、深夜誰もいない部屋で室温も大きく変化することはないのでこのような変化をするとは思えません。

次に思いつくのはJJYの受信は自体位相変動しているのではないかということです。JJYの電波は(特に夜間は)地表波と空間波の干渉したものになります。空間波は電離層の状態によって到達時間が変化しますのでJJYにロックした発振器から作られる1PPSも出力タイミングが変化することになります。

-------

JJY受信波の位相がどのように変化するのかは、NICTが小金井本部で実測したものをほぼリアルタイムで公開しているものがあるのでこれをグラフにしてみました。

120160223

今回の受信地は小金井から数十km離れていますし、アンテナもその設置方法もまったく違うのですが、二つのグラフを比べてみるといくつか共通点もあります。

・全体的な動き
 前半部から後半部にかけて位相が遅れていきます。
 後半部は変動幅が小さくなります。
 NICTのデータの位相変化は2μ秒、今回の測定データは3μ秒と同じオーダーです。 

・細かい動き
 変動の大きさ、変動の周期が同程度です。

-------

これを見る限りGPS/1PPSとのタイミング差(位相差)はJJYの電波伝播の状況によるもののように思えます。

これを数日間測定を続けNICTの受信データと比較すればもっとはっきりしてくると思います。

前の記事 “ガセ”だったGPS受信モジュールの1PPS出力タイミングの違い
次の記事 続・GPS/1PPSで標準電波/JJYの位相変動(周波数変動)を調べてみた

--------

関連

  「
(改訂版)GPS受信モジュールあれこれ
  「高精度発振器をGPS受信モジュールとPLLで作る - はじめに
  「
JJY受信機で作る高精度発振器と時刻標準 - はじめに

  「GPS受信モジュール1PPS出力タイミング変動の高精度測定の方法を考えてみた
  「
“ガセ”だったGPS受信モジュールの1PPS出力タイミングの違い
     (RSフリップフロップ+XO+JJY/TCXO、分解能:1/48,000,000秒)

  「
GPS受信モジュール1PPS対決 - GE-612T vs GM-5157A
  「GPS受信モジュール1PPS出力・巴戦 - NEO6M-ANT-4P * GE-612T * GM-5157A
     (RSフリップフロップ+XO、分解能:1/48,000,000秒)

  「続・GPS受信モジュール GM-5157A vs GE-612T 1PPS対決
  「
GPS受信モジュール・GE-612T vs GM-5157A 1PPS対決(高分解能版)
  「
100万分の1秒くらいずれている?GPSの1PPS出力 GE-612T vs. GM-5157A
     (XOR+バイナリカウンタ+XO、分解能:1/8,000,000秒)


  「GE-612T vs GM-5157T 1PPS対決(GPS受信モジュール)
     (動画、分解能:1/100,000秒)


  「セット優先RSフリップフロップとリセット優先RSフリップフロップ(RS-FF)
  「
超高精度SPIバスRTC(リアルタイムクロック)DS3234Sは一ヶ月に0.2秒進む

  「
測定対象別記事一覧とリンク集
  「
過去記事の一覧(測定、電子工作、天文計算)

« “ガセ”だったGPS受信モジュールの1PPS出力タイミングの違い | トップページ | 続・GPS/1PPSで標準電波/JJYの位相変動(周波数変動)を調べてみた »

趣味の実験」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: GPS/1PPSで標準電波/JJYの位相変動(到達時間差)を調べてみた:

« “ガセ”だったGPS受信モジュールの1PPS出力タイミングの違い | トップページ | 続・GPS/1PPSで標準電波/JJYの位相変動(周波数変動)を調べてみた »

フォト

サイト内検索

  • 記事を探されるんでしたらこれがいちばん早くて確実です。私も使ってます (^^;; 検索窓が表示されるのにちょっと時間がかかるのはどうにかしてほしいです。

新着記事

リンク元別アクセス数

  • (アクセス元≒リンク元、原則PCのみ・ドメイン別、サイト内等除く)

人気記事ランキング

  • (原則PCのみ、直近2週間)
無料ブログはココログ