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2016年2月26日 (金)

続・GPS/1PPSで標準電波/JJYの位相変動(周波数変動)を調べてみた

前回は24日未明での測定結果でしたが、今回は25日未明の測定結果です。

Nictvsgpsjjy_201603250100a

  

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測定方法は前記事と同じです。

経過時間というのは2016年2月25日午前1時(24日16:00UTC)からのものです。なぜわざわざUTCを書いているかというとNICTのデータ

  NICT - 日本標準時グループ
    - Q&A及び資料・データ
      - 公開データ
       -
長波標準周波数(JJY)小金井本部 受信データ

がUTCで、そのことをすぐに忘れそうになるからです。NICTからは二つの受信機による結果が公開されており、前回は受信機1の方だけでしたが、今回は受信機2のデータも表示しています。と言ってそんなに結果が違うわけでもありません。

位相差というのは

表示時刻における標準周波数との相対的な位相のずれ

と説明されています。私の方は

JJY受信波にロックした12.8MHz発振器の出力を分周して作った1PPSの表示時刻におけるGPS受信モジュールの1PPS出力との相対的な位相のずれ

です。位相のずれだったらラジアン(あるいは度)で表示すべきだと思いますが、実用的には時間差の方が扱いやすいです。

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肝心の結果ですが、24日未明とは全体的にちょっと違った動きです。受信地もアンテナも違うので両方の結果もかなり違いますし、同じような動きを示しているところ、相反する動きを見せているところさまざまです。ただ変動のパターンが類似しているところを見ると電波伝播に伴う現象と思ってもいいように思います。

ただこのグラフを見てとても気になるところがあります。NICTの位相変動が2μ秒なのに対し我が家の測定結果の位相変動が5μ秒もあることです。

これは胸に手をあてて考えると思い当たることがないでもないです。そこを考慮した次の実験にとりかかっています。

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ところで位相差というのは時刻標準的な受け取り方だと誤差そのものなのですが、周波数標準的な受け取り方だと位相差自体は誤差とは違います。二つの信号源がまったく同一の周波数であっても位相差は発生します。

周波数標準的観点からだと位相差の変化(位相差の微分)が誤差になります。私の測定結果はまだあやしいところがあるのでNICTの測定データで考えてみます。

Nictvsgpsjjy_201603250100b

位相差の変化が大きくてわかりやすいところとして経過時間60分~70分のところに注目します。ここで位相差が-1.0μ秒変化しています。これは遅れていた位相がどんどん進んで行っているわけですからこの10分間は周波数が標準周波数より一定値上昇していることを示します。

10分間=600秒間でこれだけ変化したわけですから毎秒0.0017μ秒つまり0.0017ppm周波数が上昇していたことがわかります。

NICTの資料にはJJYの受信から得られる不確かさは100秒積分で0.001ppmくらいとあったと思います(NICTの資料に0.001ppmと書いてあったということではなく、NICTの資料にあったグラフを見ると0.001ppmの不確かさが確保できるように見えた、という意味です)が、上のグラフを見る限りそこまでの精度はないようです。もっとも午前2時というのはJJY受信ではおそらく最悪の時間帯なので通常は不確かさはもっと小さいと思います。

なお私の作ったグラフは下向きが上昇になっているものと上向きが上昇になっているものが混在しています。これからどちらかに統一すうようにします。

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測定回路は前回と同じですが、タイミングの取り方がわかりにくそうなので追記してあります。

Bd6

周期の測定なのでトリガーモードは“Toggle mode is disabled”にしています。周期・周波数の測定ではTIMERの割り込みを使ってカウンターのオーバーフローに対応するわけですが、今回の測定ではそれはやっていません。今やっている測定では時間も周波数も数ppmあるいはそれ以下の変化を問題にしているので65,536の剰余がわかれば十分だからです。測定中割り込みができない(割り込み処理ができない)測定とかもあるので、これで割り込みの可否を考える必要がなくなりますし、プログラミングの自由度が大きくなります。

測定は1PPSの割り込みで(設定した秒数間隔で)開始します。毎回測定が終わるごとにマルチプレクサで入力信号の選択を変え、二つのGPS受信モジュールに対する位相差を交互にはかります。どちらの信号が選択されたときのデータか後でわかるようにマルチプレクサの制御ピンの状態をSDカードに測定データとともに記録するというような機能もあるのですが、そういう付加的なところは上のブロックダイアグラムでは省略してあります。

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