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2016年2月 4日 (木)

GPS受信モジュールNEO6M-ANT-4PのTIMEPULSE出力の周波数安定度

これは何度か記事にしたのですが、ちょっと消化不良だったので再度実験してみました。

GPS受信モジュールの1PPS・TIMEPULSE出力は積分時間を長くすればそれに比例して確度が向上すると思われます。これは疑う理由は考えられず、それを否定するような実験結果もありません。

だから、TIMEPULSEを基準にPLLでVCOをロックすれば高精度の発振器ができるはずだ、となるのですが、短時間でのTIMEPULSEの安定度には若干疑問があります。そこで実際にどんな感じなのか確かめようというのがこの実験です。

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GPS受信モジュールはGPS受信モジュールNEO6M-ANT-4Pはまじおすすめ、でももう在庫切れ (^^;;に書いたNEO-6Mです。1PPS(TIMEPULSE80kHz)端子に80kHzを出力させこれを4分周した20kHzを基準周波数に使っています。

VCOはVM39S5Gを使っており12.8MHzを640分周して20kHzにしています。

PFDはCD4046BEのものを使っています。出力が安定してそうな Phase Comparator I Out の方を使っていますが、後で出てくるグラフで位相差が時間とともに変化しているのはこれが原因と思われます。もう一つPhase Comparator II Out というのがあってこちらは位相差が常にゼロになるようです。

ループフィルターは時定数が100秒程度のものですがPFD出力はADコンバータで毎秒1回測定し、これを平滑化した上でループフィルターに入れています。

なぜ20kHzと低い周波数にするのかとか、なぜS&Hや平滑化が必要なのかと思われるかもしれませんが、雑音や秒信号+狭帯域フィルターの影響が避けられないJJYの40kHzを基準にPLLを使うことを考えているのでこういう方式にしています。40kHzでなく20kHzにしているのは現在のJJY受信機の方式では得られる40kHzの矩形波のデューティー比が50%にならないことと40kHzの信号を引き回すとアンテナに回り込んでしまうためです(20kHzは矩形波なら40kHzの成分はほとんどありません)

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まずPFD出力とVCO入力電圧のグラフです。
Neo6mvsvm39s5gpfdvco

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PDFの出力電圧を示す線が太く見えます。VCOの周波数が上がれば下げようとし、下がれば上げようとするわけですがPLL(PFD)にも分解能というものはあるわけで、(この太さが妥当かどうかは別として)こうなるのは不思議ではないと思います。

問題は周期が1分から2分くらいの細かい変動が見られることです。これは基準周波数かVCOがこういう動きをしているかどちらかに急な周波数変動があってそれに追随するための過渡現象のどちらかと思われます。

基準周波数源がGPS受信モジュール、VCOがVM39S5GとなるとGPS受信モジュールの方を信用したくなるのですが、この細かい変動はおそらくGPS受信モジュールの出力に原因があるのではないかと思います。

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同じ仕組みで基準周波数源をVM39S5Gに変えて実験した結果があります。
Vm39s5gvsvm39s5gpfdvco

線の太さはより大きくなってはいますが、GPS受信モジュールを基準にしたときのような細かい変動は見られません。VCOの制御電圧も(たぶん温度によるドリフトに対応して)大きく動いてはいますが動きは上のグラフよりずっとスムーズです。

確たる証拠というわけではありませんが、これが最初のグラフでGPS受信モジュールの出力周波数が安定していないのではないかと疑う理由です。

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いずれにしてもVCOの出力には周波数変動があるということになります。最初のケースについて位相差のグラフを見てみます(位相差は双方の40kHzで比較しています)
Neo6mvsvm39s5gpfdphi

動作が安定している最後の方を見ると10分間で位相が8度大きくなっています。450分間で1サイクルということになりますから1/(450*60)Hzつまり0.00004Hzくらい高くなっています。
(位相差を時間で微分したものが周波数変動です)

細かい変動は大きくても1分間にプラスマイナス3度くらいですから±0.0001Hz前後でしょうか。原因はGPS受信モジュールにあるという見方が正しければVCOの出力に含まれる細かい周波数変動はこれより小さいはずです。これを大きいと見るか小さいと見るかは使用目的によると思います。

最初のグラフを見るとPFDの出力が細かく変動している影響がVCOの入力にも表れています。これはループフィルターの時定数をもっと大きくすればカバーできると思いますが、VCOに使っているのはただのTCXOなのでドリフトについていけなくなる可能性がありそれはちょっと辛そうです。これは断熱容器に入れるだけでもかなり違ってくるとは思います。VM39S5Gを試験管に入れて氷水の中につけてみようかと本気で考えています。

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最後にVM39S5GとVM39S5Gのケースの位相差のグラフです。
Vm39s5gvsvm39s5gpfdphi

最後の方の大きな変化は窓を開けたためと思われます。こういうのを見るとやっぱりPhase Comparator II Out を使うべきなのかなあと思ってしまいます。

こちらは10分から12分の間は-0.00001Hzで12分のとき位相差-123度、13分になるとほぼ±0.00000Hzで位相差は-137度になります。
1分間で位相差が-14度変化したわけで、これを埋め合わせるため12分~13分の1分間周波数が-0.0006Hzくらいに下がっていたことになります。

書いててどうでもよくなってきました  (^^;;

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参考

  小宮浩 「高周波PLL回路のしくみと設計法」 CQ出版社


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