JJY(標準電波/電波時計)にPLLでTCXO(VM39S5G)を同期させてみた(改良版)
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GPS受信モジュールのTIMEPULSE出力は少し周波数変動(位相変動)が見られるようなだと言ってもきれいな矩形波が連続的に出力されています。だから何も考えずに作っても「GPS受信モジュールNEO-6MのTIMEPULSE出力の周波数安定度」 くらいの結果はすぐに得られます。
JJYの場合受信したものから40kHzを取り出す必要があります。JJYもじつは連続波なのですがスペース部分での振幅は1/10(送信出力は1/100)になってしまいノイズに埋もれがちなので実質秒信号で断続している電波の受信になります。
40kHzの連続波を取り出すために今は2段重ね(水晶振動子は三つ)のクリスタルフィルターを使っています。これでノイズのない連続的な40kHzを取り出せるようにはなったのですが、断続する信号を狭帯域のフィルターに(中途半端に?)通してしまったため激しい位相変動が起きてしまっているようです。
JJYの受信波形ではなくGPS受信モジュールの1PPSを参照したためどういう信号が送られてきているかわかりにくいですが、1秒のところから“1”(0.5秒)、PM(0.2秒)、“0”(0.8秒)、“0”、“0”となっていたと思います。
全体的に出力電圧、つまり位相が変動していることがわかります。A.のところがこうなんですからB.のところもそうなっているはずです。位相が変動すればPLLがまともに動作するわけはないので、今回はその対策として次のような対策をとりました。
PFDの出力を毎秒一回サンプリングする(現在は毎秒0.35~0.40秒あたりでサンプリングしています)
取得したPDF出力電圧を平滑化してVCOの制御電圧にする。具体的には
V = 1/2 * ( Vn + 1/2 * ( Vn-1 + 1/2 * ( Vn-2 + ..........
と計算しています。これがループフィルターのところにADCやPICの型番が書いてある理由です(電圧の出力にはDAC MCP7426 を使っています。上の図に抜けていました)
こうやると平滑化とは言ってもVCOの制御電圧が離散的に変化するので通常のCRで作ったループフィルターも入れてはあります。
なお0.35~0.40秒というのは秒信号が“0”あるいは“1”のときだいたい位相が落ち着く時間です。PMまたはMのときはぜんぜん落ち着いていないわけで、PMとMのときのデータは使わないようにする予定なのですが、現在そこまで仕組みができていません。
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まずPFD出力電圧とVCO入力電圧のグラフから
PFD出力電圧がAとBに枝分かれしていますがこれがPM、Mのデータを捨てていないつけです。AはBは60秒間60回につき7回出現します。だからAよりちょっとまばらです。
でもVCOの電圧は比較的安定しています(少なくとも「標準電波にVCTCXO・VM39S5GをPLLで同期してみた - 長波JJY受信機の製作」と比較するといい結果が得られています。ただ満足できる結果とは言い難いです。
PFD出力電圧とコンパレーター出力・VCOの位相差
予想通りの結果です。荒れています。
ただ荒れた原因は基準周波数源側にあるわけでPDFの出力やVCOの入力をもとに考えると短期的な周波数変動は1/4000Hzくらい(12.8MHz換算でも0.1Hz以下)ではないでしょうか。荒れているとは言っても位相差は一定の範囲に収まっているわけですから長期的な安定度は問題なさそうです。「標準電波にVCTCXO・VM39S5GをPLLで同期してみた - 長波JJY受信機の製作」 のときは長期的な安定度に疑問を感じるような結果でした。
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今後の方針
1. PM、Mのデータを捨てる。アルゴリズムの改善
今よりはいい結果になるとは思いますが、抜本的な改善策とは言えないです。
2. 同期の対象を(フィルターを通す前の)受信波にする。
これはフィルターによる位相の変動はなくなるのですが、雑音による位相の揺らぎが出るのは確実で、それがどの程度影響するか読めません。
2. フィルターを追加して位相の変動を抑える。
これはできたらいちばんいい方法ですが、どの程度頑張れば期待通りのものができあがるのかわかりません。
ということで思い悩んでいます。もっとももともとそれなりの確度をもつVM39S5Gに比べても2桁は改善しているはずで周波数カウンターの基準周波数だったら現状でも別に問題ないような気もします。
だいたい
24時間の周波数比較平均で1×10-11(同様 の割合が1000億分の1)の精度を得ることができ ます。
「情報通信研究機構 - 時空標準研究室
- 日本標準時グループ - 長波帯標準電波施設 」 による
とされているわけで短期的な安定度をJJYに求めるのは筋違い____短期的な安定度が優れた発振器をJJYで校正するというのが正しい利用法?____のような気もします。
なおTwitterでEiki さんから 次のようなコメントをいただきました。確かにこういうケースでは有効そうです。
@Seppina1 自分もVCOCXOをJJYに同期させようと挑戦しているのですが、とても参考になります。自分は信号処理でIQ信号のArcTanを取るような、ディジタル的な手法のほうが安定して位相を抽出できるのではないかと考えています。
— Eiki (@eiki_tt) 2016, 2月 5
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左側がJJY受信機(ただしアンテナとプリアンプは屋外)、右側が制御、測定部分です。
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関連
「JJY受信機/電波時計の製作記事を集めてみた」
(ググッて集めたJJY受信機電波時計の製作記事集)
「JJY受信機で作る高精度発振器と時刻標準 - はじめに」
時刻
「時刻標準について」
「GPS受信モジュールあれこれ」
標準電波JJYの仕様
「JJYの報時信号の送出方法」
「JJYの秒信号の送出方法についてNICTに聞いてみた」
「標準電波JJY - 変調波振幅の「最大100%、最小10%」の意味」
「(非公式)JJY(標準電波/電波時計)の呼び出し符号(コールサイン)送出方法」
旧記事
「JJYの受信法」
「JJYを受信したい(要旨)」
参考
「NICT 情報通信研究機構 - 電磁波計測研究所 - 時空標準研究室
- 日本標準時グループ 」
JJYの運用
「標準電波・長波JJYが停波するとき」
「毎日送信してほしいJJY(標準電波/電波時計)の試験電波」
参考
「NICT 情報通信研究機構 - 日本標準時グループ 標準電波運用状況」
長波JJYの性質(電界強度等)
「JJYの電界強度と受信機の必要利得(増幅率)」
「標準電波JJYの電界強度の時間変化 - 電波時計をいつ合わせたらいいか」
「標準電波JJYの電界強度の時間変化を測ってみた(1)」
「JJY搬送波の周波数をGPS/1PPSで測ってみた」
「JJYの40kHzの電波をボイスレコーダーに録音してみた」
「JJY受信機を作る - すでに40kHzのキャリア(連続波)を検出できてるっぽい」
「JJY受信機を作る - JJYの電波がつかめた!」
参考
「NICT 情報通信研究機構 - 日本標準時グループ - 標準電波に関するQ&A」
「NICT - 日本標準時グループ - 長波標準電波の電界強度予測値」
「NICT - 日本標準時グループ - 長波標準周波数(JJY)小金井本部 受信データ 」
「NICT - 日本標準時グループ - ライブラリー他 - Field Strength Pro Ver1.0」
アンテナ・プリアンプ
「JJY受信機を作る - バーアンテナとその特性」
「JJY受信機を作る - アンテナとプリアンプ」
参考
「RFワールド - ラジオで学ぶ電子回路
- 第1部 ラジオのための基礎 第1章 ラジオの電波 」
クリスタルフィルター
「クリスタルフィルターの効果を目と耳で確かめる - JJY受信機を作る」
「JJY受信機を作る - 40kHz/60kHzクリスタルフィルターの功罪」
「JJY受信機/電波時計用クリスタルフィルターの設計」
状態変数型フィルタ
「JJY受信機を作る - 状態変数型フィルタの周波数特性」
参考
「群馬大学 KobaLab@JP - 発振を利用したアナログフィルタの テスト・調整 」
PLL・周波数標準
「高精度発振器をGPS受信モジュールとPLLで作る - はじめに」
「標準電波にVCTCXO・VM39S5GをPLLで同期してみた - 長波JJY受信機の製作」
「高精度発振器の作成に向けて - VCTCXO・VM39S5GをPLLでJJYにロックする」
「JJYに同期した高精度発振器用PLLの過渡特性」
「JJY(標準電波/電波時計)にPLLでTCXO(VM39S5G)を同期させてみた(改良版)」
「JJY(標準電波/電波時計)に同期したTCXO(VM39S5G)の周波数安定度」
プロダクト検波・シンクロダイン検波
「シンクロダイン検波によるJJY秒信号の取得 - GPSとの比較」
「JJY秒信号のシンクロダイン検波による取得の試み」
「平衡変調器で直流をボイスレコーダーに記録する - JJY・GPSの秒信号」
「GoldWaveとawk(gawk)でボイスレコーダーの記録・音声をExcelのグラフにする」
「音で聴くJJY - プロダクト検波による復調」
「四象限アナログ乗算器(マルチプライヤー)EL4083の使い方 - 1」 (アナログ乗算器)
参考
「JR7CWK - 長波JJY受信機の制作」
電波時計モジュール
「JJYを受信する(訂正あり)」
「電波時計モジュールを使ってみた(1)」
「電波時計モジュールを使ってみた(2)」
「電波時計モジュールが「使えない」理由」
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