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2016年2月19日 (金)

“Lチカ”は水に沈めても点滅するか?

確かめてみました。

 

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実験に使ったのはLMC555を利用したLチカです。
Imgp14001000

タイミングを決めるのはCとRでこれらは外部に露出しているので水の影響があればすぐにわかるはずです。

Imgp14011000

LMC555以外は___と言ってもLEDと33kΩ、620Ωの抵抗、10μFのコンデンサだけですが___表面実装部品にしてあります。このあたりの基本的な(?)部品はだいたいそろってきました。

写真をご覧になればわかるように接触したらまずいところをのぞいて絶縁はしてありません。電源電圧は低い方がいいとは思うのですがひとまず3.3Vで実験しています。

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肝心な水ですが、ちゃんとチカチカさせるためにはもちろん水道水ではダメなはずで、今回はAmazonで買った古河薬品工業の精製水を使います。電気伝導率は東京都水道局の水の1/200前後で電気抵抗率はグラスに注いだ状態でも0.5MΩ/cm以上あるようです(自作導電率計による測定値)

なお水の電気伝導率といった場合交流で測定します。電圧も電気分解が起きないように設定しているつもりです。直流、あるいは交流がのった直流に対するこの水の挙動はまだあんまり調べていません。問題は電気伝導率より電気分解の影響でしょうか。

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で、結果なのですが、上の動画にあるようにちゃんとチカチカしました。点滅周期も大気中とほとんどかわらないようです。

これ、どんな水でもこうなるとは考えない方がいいです。まだアップできていませんが、水道水ではチカチカしなかったという動画もあります。



最初の動画では勢いで余計なことを書いてしまいましたが、せいぜい“この回路定数、使い方であれば水は絶縁体とみなすことができる”というところでしょうか。

なんでも、超純水(これは電気抵抗率が18MΩ/cm以上とされ、理論純水の値に近いです)で半導体を洗浄すると静電気で壊れる、なんて話がありました。水がこすれ合って(?)発生した静電気の逃げ場がなくてたまってしまうのでしょう。そこまで純度の高い水でなくてもLEDなり液晶なりの時計を電池ごと水槽の中で動かすとかできるかもしれません。

電波時計だったら水の中でも電波を拾えそうなので好都合なんじゃないでしょうか。

その後電極間(部品・配線材間)の起電力がけっこう問題になりそうな情勢になってきました。
  「水道水に同種の金属を入れても電池ができる不思議な話

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なお、追試してみたいという方は熟慮の上お願いします。上の回路定数も水の影響を受けにくいような値に設定したつもりです。また今回の実験は数十秒程度でした。数分、数時間、数日、となったときどうなるかよくわかりません。また水の中に入れて実験するのは簡単ですが、そのあとがたいへんです (^^;;


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参考

  JIS K 0213 分析化学用語(電気化学部門)

  JIS K 0130 電気伝導率測定方法通則
  JIS K 0102 工場排水試験方法
  
JIS K 0557 用水・排水の試験に用いる水

  「第十六改正 日本薬局方 」 (2.51 導電率測定法、常水、精製水、注射用水、等)

  「
日本分析機器工業会 - 分析の原理
    -
電気化学測定の原理と応用 - 電気伝導率計の原理と応用

  「
産業技術総合研究所 - (技術資料)電気伝導率標準液に関する調査研究
      <== 他の資料には書いてないようなことが書いてあり参考になります。

 【化学補助教材】 放送大学:濱田研究室 - 第14章 エネルギー変換の化学 - 3.電気分解

  「HORIBA - LAQUA - やさしいpH・水質の話
  「栗田工業 - 水処理教室

  「日本冷凍空調学会 - 用語集 - 超純水

  「
八光電機 - 熱の実験室 」  <== おもしろいです! 氷の電気伝導度とかあります。

  「雑学 H2O - 水質の化学」  <== 興味深い記事があります。

  「
東所沢 2-31-12 - 溶液の電気特性  <== 実測値があります。
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1章:溶液の電気特性測定用電極の製作
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2章:A、B、C電極の水道水テストとD、E電極の試作
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3章:食塩水の電気特性


  「
厚生労働省  - 水質基準項目と基準値(51項目)
  「
東京都水道局  - 水質検査結果
  「川崎市上下水道局 - 水質検査結果 」 (工業用水の電気伝導率の測定結果があります)

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コメント

この動画はインパクトがあって面白いですね!
超純水は18MΩにもなるのですか~、不純物がH+やOH-を作って電気が通りやすくなるのですね。

やっているうちに何でも動きそうに思えてきて、デジタル時計を入れてみようかと思い始めている自分が怖いです (^^;;
思いとどまるためにチカチカしない動画も追加しておきました (^^)

精製水といってもどう見てもただの水なんですが、こういうのをやるとありがたみがわかってきます。
水は本来絶縁体に近いけれど不純物があると電気を通すようになるということですね。
化学の実験はどんな簡単なものでも奥が深くておもしろそうなのですが、お金がかかりそうであんまりやりたくありません。

普通の水道水に入れても大丈夫なのが驚きました。
Lチカが止まるだけなんですか。
なんとなくショートして電源にダメージを与えるような気がしてました。
昔TVを超純水に入れて写ってるのをみたことがあった気がしますが、ここで再び似たようなものを見るとは驚きました^^。

おそらく水道水+DIPパッケージだと交流で見たときの端子間の抵抗値がkΩのオーダー、静電容量(電気二重層)が0.1μFのオーダーだと思います。今回みたいに回路の中に33kΩの抵抗があったりするとまともに動作しなくなります。電解質(食塩なんか)がちょっと入るとやばい状況になりそうです (^^;;
水の(電気的)等価回路はあんまり簡単ではなく直流での特性を調べていないのででどういう水でどこまで動くかは手探り状態です。
昔のテレビだとフライバックトランスで数万Vは行ってるでしょうからそうとうな勇気がいりますね。超純水がなせるわざでしょうか。

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