電気二重層キャパシタを作る実験と水の電気伝導率(電気抵抗率)の測定に白金黒を使う理由
水の電気伝導率の測定に使う電極はいろいろあるのですが、“白金黒でコーティングした白金”というのがいいようです(ちなみに私は金メッキしたニッケル(銅かも?)です)
なぜ白金電極ではなく白金黒(「白金黒電極の作り方」)でコーティングしたものを使うのか不思議です。そこでググっていたらそのものずばりのものが見つかりました。
「HORIBA - LAQUA - やさしいpH・水質の話
- よくある質問 (Q&A) - 導電率
- 2. 導電率セル
- 導電率セルについてのー般事項
- なぜ白金黒電極を用いるのですか? 」
この説明というのが難解です。難解というかどうして白金黒電極を使うかの説明にはなっていないように思えるのです。何度読んでもどうして白金黒電極が必要なのかよくわかりませんでした。
その後いろいろ調べた結果からすると、これはQ&Aを書いた人が広報担当で、業務の担当者から聞いた話をよく理解しないままに書いてしまったということのような気がします。
この説明だと“極板間に生じる電気容量(コンデンサー分)「C」”というところを読んだ瞬間に誤解が生じてしまう__話のつじつまが合わなくなる__と思います。
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なお、このHORIBA のサイトには教えていただいたことも多いです。ずいぶんお世話になりました。とても参考になるサイトだと思い記事の最後にもリンクを張っています。ただなぜ白金黒電極を用いるのですか? にある説明だけはおかしいんじゃないかと言っているだけですので念のため。
なぜ白金電極ではなく白金黒(「白金黒電極の作り方」)でコーティングしたものを使うのか不思議です。そこでググっていたらそのものずばりのものが見つかりました。
「HORIBA - LAQUA - やさしいpH・水質の話
- よくある質問 (Q&A) - 導電率
- 2. 導電率セル
- 導電率セルについてのー般事項
- なぜ白金黒電極を用いるのですか? 」
この説明というのが難解です。難解というかどうして白金黒電極を使うかの説明にはなっていないように思えるのです。何度読んでもどうして白金黒電極が必要なのかよくわかりませんでした。
その後いろいろ調べた結果からすると、これはQ&Aを書いた人が広報担当で、業務の担当者から聞いた話をよく理解しないままに書いてしまったということのような気がします。
この説明だと“極板間に生じる電気容量(コンデンサー分)「C」”というところを読んだ瞬間に誤解が生じてしまう__話のつじつまが合わなくなる__と思います。
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なお、このHORIBA のサイトには教えていただいたことも多いです。ずいぶんお世話になりました。とても参考になるサイトだと思い記事の最後にもリンクを張っています。ただなぜ白金黒電極を用いるのですか? にある説明だけはおかしいんじゃないかと言っているだけですので念のため。
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電気化学の本を読んでいたらおもしろいものを見つけました。
電気化学会編
「電気化学測定マニュアル 実践編」
2002年、丸善出版株式会社
何がおもしろいかというとこんなものがあるのです。
第四章 測定法の応用例
4.1 電池・キャパシタ
4.1.7 キャパシタ
a. 電解キャパシタ
b. 電気二重層キャパシタ
電解コンデンサーの電極を作ったり電気二重層コンデンサーを作るという実験があります。電気二重層コンデンサは直径1㎝の円盤状電極を対向させることで1.4Fの静電容量が得られたとあります。
1.4Fというふつうのコンデンサーではぜったい実現できないような容量になっているのはもちろん電気二重層を利用しているからです。でも単に金属製の電極を向かい合わせただけではこのサイズだと(電極間の距離には依存せず)数μFにしかならないはずです(「電気二重層コンデンサができている? - 水の電気抵抗とリアクタンス」)
上の実験では電極に工夫がしてあります。電極を活性炭粉末から作っているのです。これによって電極面積が1000㎝^2/gくらいにできるそうです。電気二重層の厚さはnmのオーダーしかないので電極が微細な構造であっても電極の実質的な表面積が大きくなると電気二重層の広さもそれに比例して大きくなるはずです。確かに1000cm^2/gもあればファラッド越えも実現できそうです。
こういう実験を自分でやれればおもしろいのでしょうが、素人にはちょっと手が出ない感じです。素材に要求される純度がとても高いみたいです。適当なものがないときは蒸留しろと再結晶しろとか....
ところで電解液がテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボラートってどんなものなんでしょう?
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水のもっとも簡単な電気的等価回路は次のように考えればいいようです(「水道水の電気伝導度(電気抵抗)と静電容量(キャパシタンス) - 電気二重層について」)

この等価回路は特定の条件下での水の挙動を示したものです。この等価回路で水の電気的挙動をなんでも説明できるわけではありません。(電気二重層の静電容量は私が使っている電極のものです)
水の電気抵抗の測定というのは上の図の真ん中にある抵抗の値を測定することを言うようです。単に印可電圧と流れる電流から抵抗値を求めようとすると電気二重層の容量分が邪魔になります。上の等価回路の例だと測定周波数1kHzに対し両端の電気二重層で2kΩのリアクタンスがあります。このリアクタンスが小さいほど正確に電気抵抗が求められるはずです。電気二重層の静電容量を大きくしたらいいわけで、これの解決法が電極の表面積を大きくする、つまり白金黒を使うということなのでしょう。
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現在水の電気抵抗を測定するのにLCRメーター方式(ベクトル電圧計)を使っており、純抵抗分とリアクタンス分を分離できます。となると私の場合は白金黒を使わなくてもそれなりに正確な測定ができているのかもしれません。
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「氷点 - 摂氏0度の作り方」
「水の三重点セルの作り方を考えてみた」
「過去記事の一覧(測定、電子工作、天文計算)」
参考
JIS K 0213 分析化学用語(電気化学部門)
JIS K 0130 電気伝導率測定方法通則
JIS K 0102 工場排水試験方法
JIS K 0557 用水・排水の試験に用いる水
「第十六改正 日本薬局方 」 (2.51 導電率測定法、常水、精製水、注射用水、等)
「日本分析機器工業会 - 分析の原理
- 電気化学測定の原理と応用 - 電気伝導率計の原理と応用 」
「産業技術総合研究所 - (技術資料)電気伝導率標準液に関する調査研究 」
<== 他の資料には書いてないようなことが書いてあり参考になります。
「【化学補助教材】 放送大学:濱田研究室 - 第14章 エネルギー変換の化学 - 3.電気分解」
「HORIBA - LAQUA - やさしいpH・水質の話 」
「栗田工業 - 水処理教室 」
「日本冷凍空調学会 - 用語集 - 超純水」
「八光電機 - 熱の実験室 」 <== おもしろいです! 氷の電気伝導度とかあります。
「雑学 H2O - 水質の化学」 <== 興味深い記事があります。
「松尾勉・室松昭彦・井ロ薫 - 電導度計の製作と実験」
「東所沢 2-31-12 - 溶液の電気特性 <== 実測値があります。
- 1章:溶液の電気特性測定用電極の製作
- 2章:A、B、C電極の水道水テストとD、E電極の試作
- 3章:食塩水の電気特性 」
印加電圧が高すぎるような....
「厚生労働省 - 水質基準項目と基準値(51項目) 」
「東京都水道局 - 水質検査結果」
「川崎市上下水道局 - 水質検査結果 」 (工業用水の電気伝導率の測定結果があります)
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