純水(蒸留水/精製水)の電気抵抗率(電気伝導度)を測ってみた
水の電気抵抗の測り方のポイントがなんとなくわかってきたので、今回は精製水の電気抵抗・導電率を測ってみました。
今回の測定対象は古河薬品工業のこれです。
「純水の電気分解に必要な電圧は20V」 に使っているのも同じものです。
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私の“用語”ではこういうのは蒸留水というのですが、上の写真のとおり精製水という名前で販売されています。容器裏面の説明書きの最後に製造工程がありますが、“蒸留”という工程はないからみたいです。
A3相当みたいです。
A1、A2、A3、A4とあるのですが、電気伝導率について言えばA2、A3、A4は同じです。
(これらを規定したJIS K 0557 用水・排水の試験に用いる水 を読むと電気伝導率の規定も微妙に違うようにも思えるのですが、よくわかりません)
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まず水道水の測定から始めます。
水温
前回のやり方で電気伝導率を求めます。
前回測ったまま三日間放置していたものです。電気伝導率は35mS/mと前回よりちょっと大きくなっていますが、誤差の範囲っぽい気もします。
この後水道水を捨てて精製水を入れて測ったのですが、電気抵抗が高すぎてまともに測れませんでした。電流検出用のオペアンプの帰還抵抗が1kΩのものを使っていたのですが、ここで100kΩのものに変更して再度測ります。
リアクタンスも測ってはいるのですがキャリブレーションをやっていないのでキャパシタンスの数値はあんまりあてになりません。
水道水を捨てて精製水を入れたところが“精製水(1)”、それを捨てて再度精製水を入れたところが“精製水(2)”です。
温度
精製水(1)のところの電気伝導率
電気伝導率は一挙に百分の一になっています。考えようによっては精製水の百分の一の水道水が残っていたということかもしれません。
精製水(2)のところの電気伝導率
電気伝導率はさらに二分の一くらいになっています。ただA3の水の電気伝導率は0.1mS/mのはずなのですが、そこまでは行っていません。
この値はJIS K 0557 用水・排水の試験に用いる水 では「水精製装置の出口水を,電気伝導率計の検出部に直接導入して測定したときの値」とされていますので実際容器に入れて市販されているA3の水はこの値を満たしていないのかもしれません。一方メーカーによってはこれよりはるかに小さい実測値を示しているところもあります。ただこれも上の定義によるもののようです。
このあとこれを捨てて精製水を注ぐというのを電気伝導率が一定になるまで繰り返さなければいけないのですが、キャリブレーションが不十分とか、他にやりたいことがあるとか、で今回はここでいったん実験を終了しています。
<== やってみたのですが、導電率はあんまりかわりませんでした。結果は次の記事にあります。
精製水の電気伝導率の測定は引き続きやってみたいと思います。
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「水の電気伝導度(電気抵抗)を測る - 水の純度の推定」
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「氷点 - 摂氏0度の作り方」
「水の三重点セルの作り方を考えてみた」
「過去記事の一覧(測定、電子工作、天文計算)」
参考
JIS K 0213 分析化学用語(電気化学部門)
JIS K 0130 電気伝導率測定方法通則
JIS K 0102 工場排水試験方法
JIS K 0557 用水・排水の試験に用いる水
「第十六改正 日本薬局方 」 (2.51 導電率測定法、常水、精製水、注射用水、等)
「日本分析機器工業会 - 分析の原理
- 電気化学測定の原理と応用 - 電気伝導率計の原理と応用 」
「産業技術総合研究所 - (技術資料)電気伝導率標準液に関する調査研究 」
<== 他の資料には書いてないようなことが書いてあり参考になります。
「HORIBA - LAQUA - やさしいpH・水質の話 」
「栗田工業 - 水処理教室 」
「日本冷凍空調学会 - 用語集 - 超純水」
「八光電機 - 熱の実験室 」 <== おもしろいです!
「雑学 H2O - 水質の化学」 <== 興味深い記事があります。
「東所沢 2-31-12 - 溶液の電気特性 <== 実測値があります。
- 1章:溶液の電気特性測定用電極の製作
- 2章:A、B、C電極の水道水テストとD、E電極の試作
- 3章:食塩水の電気特性 」
「厚生労働省 - 水質基準項目と基準値(51項目) 」
「東京都水道局 - 水質検査結果」
「川崎市上下水道局 - 水質検査結果 」 (工業用水の電気伝導率の測定結果があります)
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