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2016年3月 7日 (月)

CMOSオペアンプNJU7034Dのバイアス電流を測ってみた

以前「オペアンプのバイアス電流の測り方 - バイポーラLM324編」というのを書きましたがタイトルにあるとおりバイポーラのオペアンプでした。次はJ-FET入力にするつもりだったのですが、一挙にCMOSオペアンプに挑戦してみました。

バイポーラのときの測定方法は
Lm324biasr

というようなものですが、CMOSとなるとこんなんじゃ絶対に測れない感じです。R1での発生する電圧が小さすぎるというのもあるのですが、R1が勢い高抵抗になるので私の環境だと(おそらくノイズで)まともに動作しているようには思えないという方が先にあります。

ボルテージフォロワーにして、In+の方に高抵抗を入れるというもやってみました。
Biasr_2

まあ少しはましという程度で測定するところまで行きませんでした。

  

=====
  
そこで今回は次のような回路でやってみました。
Biasc_2

オペアンプのIn+に接続したコンデンサの端子電圧を測定するようになっています。

コンデンサのキャパシタンスと電圧と電荷には

  Q=CV

の関係があります。時間で微分すると

  dQ/dt = CdV/dt

となるわけですが、 dQ/dtはコンデンサに流れ込む電流Iですから

  I = CdV/dt

となり、コンデンサーの端子電圧の時間変化からコンデンサに流れ込む電流、つまりバイアス電流を測定できることになります。

この方法のいいところは電流そのものではなく電流の積分値を測っていることです。塵も積もれば山となるわけで微少な電流を測りやすいです。そしてこのことと関連しますが高い周波数のノイズを受けにくくなるのもメリットです。

ところでメーカーはCMOSオペアンプのバイアス電流をどうやって測っているんでしょうか。何かとんでもない測定器とかあるんでしょうか。不思議です。

一つ見つけたので紹介しておきます。
  「
アナログ・デバイセズ - オペアンプ特性を簡単に測定する方法

-----------

さて測定結果です。
Biasctvsv


キャパシタンスはまず470pF、次に4700pF、そして最後に235pF(470pFを二個直列)でやっています。それぞれの結果からdV/dtつまり直線の傾きを求めます。そしてその値にキャパシタンスを掛ければバイアス電流が求まります。

キャパシタンス
(pF)
dV/dt
(mV/s)
IB+
(pA)
235 0.586 0.14
470 0.281 0.13
4700 0.0607 0.29

235pFと470pFのときはだいたい同じ値で0.1pA程度ですが、4700pFのときは0.3pAとちょっと違った値になっています。これだけ違うと何か実験に不手際があったように感じるのですが、今のところちょっと理由・原因を思いつきません。

もっともこのオペアンプのデータシート上のバイアス電流は1pAなのでどうでもいいくらいの違いとも思えますが。

-------

この実験をするときコンデンサーの等価並列抵抗の影響が出るのではないかと思っていました。
Biascr

つまり時間が経つにつれてdV/dtがだんだん小さくなるのではなると予想していました。でもグラフを見る限りそんな様子はありません。バイアス電流の1/10でも等価並列抵抗に流れればグラフでもわかりそうなものです。それがないということは等価並列抵抗は

  0.25V / ( 0.1pA * 0.1 ) = 2.5TΩ

より大きいということになりそうで、これはこれでヘンな気もします。

何か根本的な勘違いをしているような気もしてきました。

------

バイポーラでバイアス電流を測定したときこんな回路も使いました。
Lm324biasdiode

バイアス電流をダイオードに流し順方向電圧からバイアス電流を求めようという方法です。ダイオードは電流と電圧が対数関係になっているので微少な電流でもそれなりの電圧になるので測りやすいのです。
今回も最後の方でちょっとやってみています。
Biasd

バイポーラのときの順方向電圧は50mVくらいだったのですが、11mVと一段と小さくなっています。同じダイオードを使っているわけではないし、室温も違うのでこれからバイアス電流を求めることはしませんが、こういう方法もありそうだということで書いておきます。

なおちなみダイオードを逆向きにしても測ってみました。
Biasdr

逆方向電圧は20mVと順方向電圧とたいして違わない値になっていました。

参考までに書いておくと使っているダイオードは前回も今回も1S4148です。前回の測定値では

  飽和電流 3.61nA
  理想係数 1.89

となっていました。飽和電流が3.6nAですから、pAの領域になると挙動がぜんぜん違ってくるのもあたりまえでしょう。CMOSオペアンプのバイアス電流はダイオードの電圧電流特性を調べるのに何か利用できるかもしれません。

------

関連


  「オペアンプのバイアス電流の測り方 - バイポーラLM324編
  「
CMOSオペアンプNJU7034Dのバイアス電流を測ってみた」 (この記事)
  「オペアンプの特性比較(オフセット電圧、バイアス電流、スルーレート他)
  「
オペアンプのオフセット電圧とバイアス電流の測定 - PIC16F1705
  「
高精度オペアンプOPA277PAのオフセット電圧の温度特性を調べてみた

  「pn接合(VBE)の理想係数と飽和電流の簡単な求め方
  「
pn接合順方向電圧(VBE)の温度係数を測ってみた(高精度版)

  「測定対象別記事一覧(測定、電子工作、天文計算)
    温度、気圧をはじめいろんな物理量の測定方法について

  「過去記事の一覧(測定、電子工作、天文計算)

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