(電気分解用)白金チタン電極 - 入手法とか価格とか
これまであんまりまともじゃない電極を使っていました。
ピンヘッダ
これは秋月他秋葉原に行けばどこでも売っていますが、なんだかよくわかりません。
金メッキニッケルのつもりで使っています。
シャープペンシルの芯
これもどこでも手にはいります。炭素電極のつもりです。
製造法を調べると炭素電極と考えてよさそうですが...
ユニクロ線
百均。これは鉄を亜鉛メッキしさらにクロムでメッキしたもののようです。
サンドペーバーでゴシゴシやって鉄電極のつもりで使っています。
アルミ針金
百均。
アルミ電極として使っているわけですがアルミとは言ってもアルミ合金のようです。
他の金属(おそらく銅)がかなり含まれているような気がします。
(「塩橋(隔壁、液絡)をティッシュで代用してみた - ボルタの電池風電池の起電力」の最後の写真)
一円玉(これは純アルミとされています)を電極にしたい誘惑にかられます。
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ちゃんとした電極と言うとやっぱり白金でしょうか。白金がどういう場合も優れているというわけではなさそうなのは「電気分解に使う電極の選び方」 にも書いたのですが、基準にできるという意味ではやっぱりこれでしょう。
秋葉原に買いにいったら「お取り寄せになります」ということですごすごと帰ってきたわけですが、白金とは別に白金チタン電極というものがあります。
どうも白金とは電気的特性(電気化学的特性)が違うようにも見えるのですが購入してみました。
たぶん白金電極(として使える白金線)も買うことになると思いますが。
白金チタン電極によるテトラトリタ炭酸ナトリウム水溶液の電気分解実験中
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白金チタン電極は私の知る範囲では入手先は二つあります。
「株式会社ナリカ - 理科.com - 電解装置用電極KN型 白金めっきチタン電極」
¥3,500.- (税抜き)
ナリカは法人向けみたいです。個人向けだと
「科学のお店:サイボックス - 電解装置用電極KN型 白金めっきチタン電極 」
¥3,780.- (税込) --- 消費税を考えると上と同じお値段です。
「有限会社ターナープロセス - 白金チタン電極」
¥2,036.- (税込み)
お値段(と送料)を考え今回は後者にしました。
白金電極の場合塩素イオンがある電解液の場合どうなのかが気になります。
「電解装置用電極KN型 白金めっきチタン電極」 にはそういう説明がありません。しかしこの電極を使っていると思われる「簡易版電解装置 EA-2PT」 には
実験可能な水溶液:水酸化ナトリウム水溶液、塩酸、塩化ナトリウム水溶液
という説明があります。これを見る限り塩素イオンがあってもよさそうです。一方の「白金チタン電極」には電解液に関する記述はなく
使用上の注意:長時間の連続使用はおやめください。性能が劣化する場合があります。
とだけあります。ちょっと気になったので購入するとき確認してみました。
塩酸、塩化ナトリウム水溶液の電気分解でのご使用の可否につきまして、白金は通常塩酸では溶解しませんので、ご使用は可能でございます。
とのことです。ただこの書き方だと逆にちょっと気になってしまいます。そしてもうひとつ
電極には寿命がございますのであくまで消耗品としてご使用くださいませ。
とありましたので、やっぱり塩素イオンは、という気がするのですが、これから使って何か気がついたら記事にします。
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この白金チタン電極は上の写真でわかるように銀色(灰色?)です。そこはなんとなく白金ぽいのですが金属光沢はありません。「白金黒(電極)の作り方」に書いたような方法で作ったものなのかもしれません。白金黒というと“真っ黒”の代名詞ですが、白金黒電極がどういう色をしているのか見たことがないので実際どうなのかよくわかりません (^^;;
写真にあるようなシリコンのゴム栓に差し込んで販売されているのですが、注文時にお願いすると電極とゴム栓を別にして送ってもらえます。
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さてこの電極で「水の電解に必要な電圧が1.23Vであることを検証する (3)」に書いたのと同じようなことをやってみました。
「水の電解に必要な電圧が1.23Vであることを検証する (3)」 に書いた“理論”がまったく成り立たない困ったことになっています。
どう解釈(説明)すればいいのか、ただいま思案中です。
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関連
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「水の電気分解のポイント - 電極・電解液の入手法付き」
「純水(精製水)の電気分解 - 電源や電極」
「白金チタン電極 - 入手法とか価格とか」
「鉄電極の水素過電圧+酸素過電圧を測ってみた - 水の電気分解」
「水の電気分解 - ほんとうに1.23V必要なのか?」
「電気分解に使う電極の選び方」
「水の電気分解 - セスキ炭酸ソーダ/炭素電極 低電圧編」
「水の電解に必要な電圧が1.23Vであることを検証する (1)」
「白金黒電極の作り方」
「水の電解に必要な電圧が1.23Vであることを検証する (2)」
「水の電解に必要な電圧が1.23Vであることを検証する (3)」
「水の電気分解で電池はできるか? - 電気二重層の静電容量」
「何が正しいかよくわからない化学の世界 - 硫化銅の導電性を例に」
「ボルタ電池の起電力とその変化(1.1V,0.8V,0.4V) - みんな自信満々、でも...」
「ボルタの電池の初期電圧はなぜ1.1Vなのか?」
「ボルタの電池風電池の起電力 - 銅/炭素+酢酸+アルミニウム」
「塩橋(隔壁、液絡)をティッシュで代用してみた - ボルタの電池風電池の起電力」
「測定対象別記事一覧(測定、電子工作、天文計算)」
温度、気圧をはじめいろんな物理量の測定方法について
「過去記事の一覧(測定、電子工作、天文計算)」
「水の電気伝導度(電気抵抗)を測る - 水の純度の推定」
「水道水に同種の金属を入れても電池ができる不思議な話」
「水の電気抵抗(電気伝導度)を測るときの周波数、電圧、波形、温度、電極」
参考
渡辺正・金村聖志・増田秀樹・渡辺正義 「基礎化学コース 電気化学」 丸善、2001
「【ナレッジ】酸素化電圧について教えてください」
「鈴木智恵子・居林尚子 - 水の電気分解における電極と電解質の関係についての再検討」
「谷川直也・森勇樹 - 水の電気分解の実験条件に関する再提案」
「田中貴金属 産業用製品 - 様々な場面で使用される不溶性電極」
日本化学会編 「教育現場からの化学Q&A」 丸善、2002
「化学のはてな? - 221 純水の電気分解」
「加熱による水の電気分解装置の工夫」
「CiNii - 純水の電気分解実験(私の工夫)」
「哲猫 - 電気分解に於ける電極の溶出 (マイクロスケールケミストリー)」
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