メタルハライドランプのスペクトル - DVD簡易分光器

先日ナトリウムランプの写真を撮りに行きました。幹線道路にあった高圧ナトリウムランプ（「D線が存在しない高圧ナトリウムランプのスペクトル - DVD簡易分光器」）は車道を照らしているわけですが、別に歩道を照らしているランプがありました。

水銀灯と思っていたのですが、DVD簡易分光器（「簡易分光器の作り方と反省点 - DVD-ROM使用」）で撮った分光写真を見ると違うようです。



その後撮影したメタルハライドランプの画像が比較的よく撮れていたので貼り付けておきます。これは上のものとは違うところにあったものです。記事は上の画像をもとにしています。

　

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上の写真を数値化してグラフにしてみました。



水銀灯特有の輝線が見られません。したがって蛍光灯とも違います。また、白熱灯やLEDランプのような滑らかなスペクトルとも明らかに違います。

あと残るのはメタルハライドランプくらいしか思いつきません。試しにメーカーの資料（「岩崎電気 - ランプ光源情報」）を見てみたら比較的似ている分光分布を持つランプが見つかりました。

　　「[HIDランプ]メタルハライドランプ - FECマルチハイエースH」

550nm弱、600nm弱、650nm強のところにピークが見られる、ところどころにディップがある、強度が波長の短い方に伸びている一方波長が長い方は（ピークを除き）あまり伸びていない、等のスペクトルの特徴が似ています。

ということでこれはメタルハライドランプのスペクトルということにしました。

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上のグラフの作り方について簡単に書いておきます。

まずデジカメの画像から得られるRGB値はこのようになります。


これを「デジカメの分光感度特性補正の試み - スペクトル画像のグラフ化」に書いた手法で分光分布にします。


両端で強度が高くなっており不自然です。これは露出が不足しており両端のRGB値がゼロに近くなってしまっていることが原因です。つまり“2. デジカメのRGB値は光の強さの対数に比例する”という仮定が成り立っていません。

デジカメの感度特性について調べた「ISO値の設定によるラティチュードの違い」 のデータをもとに30以下のところのRGB値を上の仮定が成り立つように補正した値に替えて再度グラフを作りなおしたものが最初に示した分光分布になります。

なお今回使用した補正式は次のようなものです（A3がRGB値（16進）です）

=IF($E$1=1,IF(HEX2DEC(A3)<30,-(2^((-1.541*LN(IF(HEX2DEC(A3)=0,1,HEX2DEC(A3))) + 1.7082)+3.533))*36+66,HEX2DEC(A3)),HEX2DEC(A3))


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まとめ記事
　　「DVD簡易分光器の自作とトラブルシューティング」
　　「光源別スペクトル（分光分布）一覧表 - DVD簡易分光器による」

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参考
　　「国立科学博物館 - 理工学研究部 - 若林文高 - DVD分光器の回折条件」
　　「Welcome to my homepage. - DVD分光器」
　　「星は空の彼方、月よりも遠く
　　　　- 光害除去フィルター（3）透過特性の観察（2016/03/05）
　　　　- 光害除去フィルター（４）－脱線（簡易分光器の直線性）（2016/03/18）」

　　「ラジオペンチ - DVDのメディアで簡易分光器を作る-その1」
　　　　DVDから回折格子の切り出し方
　　「ラジオペンチ
　　　　-  ＤＶＤのメディアで簡易分光器を作る-その２、（フラウンホーファー線が何とか見えた）」
　　　　スリットの作り方
　　「DVDのメディアで簡易分光器を作る-その３、（まとめ）」

　　「廊下のむし探検 - 手作り分光器」 （記事一覧）
　　「ブログ「廊下のむし探検」付録 - 手作り分光器の作り方」

　　「Web Page of T.Nomoto - スペクトル色々」　（「ネオンランプと水銀ランプ」）
　　「国立天文台 - 分光宇宙アルバム」
　　「国立天文台岡山天体物理観測所 - ☆スペクトル物語☆～デジタルアトラス～」
　　「原子スペクトルの観察と波長の測定 - リュードベリ定数の測定及び原子のエネルギー準位」
　　「資源エネルギー庁 - 太陽エネルギーの基礎知識」
　　「岩崎電気 - ランプ光源情報」
　　「ライトエッジ - 放電ランプ - メタルハライドランプ」

　　国立天文台編 「理科年表 第88冊」 丸善出版、2014