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2016年5月28日 (土)

ナトリウム炎色反応のスペクトル(二つのD線)

高圧ナトリウムランプやメタルハライドランプのスペクトルを観察するとD線(吸収線)がなんとなく二つに分かれているようにも見えます。この二つのD線D2、D1は589.0nm、589.6nmと0.6nmしか離れておらず簡易分光器の観察対象としては相当に難しい部類になります。

吸収線が二つに分かれて見えるのなら輝線だって二つに分かれて見えるように思えます。
低圧ナトリウムランプの光を見てみればすぐにわかるのですが、その低圧ナトリウムランプが近所に見当たりません。高圧ナトリウムランプだったらいくらでもあるのですが。

そこで炎色反応を利用してナトリウムD線を見てみることにしました。

まず次のような配置でネオン管のスペクトルを調べます。
Photo

 

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次に光源にナトリウムの炎色反応を追加します。
Photo_2


なぜわざわざこういうことをするのかというと二つ理由があります。

一つはナトリウムのスペクトルはD線のみが強く他の輝線は露出によっては写らず、ナトリウムの炎色反応だけだと撮影されたものが確かにナトリウムのD線であることを示すには説得力不足だからです。

もう一つの理由は輝線が二つに分かれて見えたときそれが間違いなく二つの輝線であることを確認するためです。
ピントが合っていないとき一つの輝線が二つに分かれて見える場合がありますし、さらに簡易分光器にDVD-ROMを使うとゴーストが出る理由にあるように存在しない輝線が見えてしまうということもあります。。

幸いD線はネオン管の輝線が密集しているあたりにあります。ネオン管の輝線が正常に撮影されていてD線が二つに分離して見えればそれはD1、D2に間違いないはずです。

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結果です。
Imgp7665_682d691000

ネオン管の588.2nmのスペクトルのすぐとなりに炎色反応による輝線が見えます。間違いなくD線ですし、しかも確かに二つに分かれています。

上の画像は(クリックして表示される状態で)ピクセル等倍なのですが、これを4倍に拡大してみます。
Imgp7665_682d6910002

D1とD2に間隔は5ピクセルしかありません。間の黒い部分は1ピクセルか2ピクセルというギリギリのところで写っています。ここにはわずか1.4nmの幅のところに3本の輝線があります。分光器の色解像度よりカメラの空間解像度の方が心配になってきます。

この画像は一発で撮れたわけではありません。ピントが合ってない、露出が過大、さらに炎色反応とシャッターのタイミングが合わなかった、とかいろいろあって何度も繰り返す中でやっと撮れた奇跡の一枚です。

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上の画像をグラフにして波長を書き入れたものです。
Imgp7678na

DVDで作る簡易分光器の校正のために - ネオン管のスペクトルの頃から考えるとずいぶん進歩したものです。それぞれの輝線はとてもシャープです。

なおナトリウムD線の吸収線が二つに分離している例はナトリウムランプのスペクトルの詳細 - 改良版DVD簡易分光器にあります。


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DVD簡易分光器の自作とトラブルシューティング」 (この記事)
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Welcome to my homepage. - DVD分光器
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