DVDで作る簡易分光器 - 蛍光灯の分光スペクトル
三波長型蛍光灯のスペクトル画像
上の画像をいったん数値化したのち一次元化した上で再度画像としたもの(クリックで拡大されます)
(波長軸が直線的になるように画像化してあります)
蛍光灯スペクトルの中の水銀輝線については
「蛍光灯のスペクトルに11本の水銀輝線を見る」
に詳細があります。
簡易分光器に関する記事の一覧とリンク集は
「簡易分光器 - 作り方・使い方のまとめとリンク集」
にあります。
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以前「Hαフィルターを使わずにHα写真を撮る方法」 などという記事を書きました。その後本気で作るつもりで材料を集めたりしていたのですが諸事情あって挫折してしまいました。
今回は地道にDVDを回折格子の代わりに使った分光器から始めたいと思います。まず蛍光灯のスペクトル観察から始めます。
この記事はDVD-ROMで作ったのですが、実際にはDVD-Rの方が好結果が得られました。
「フラウンホーファー線の画像が画期的に改善! - 太陽光のスペクトル」
なお蛍光灯と言っても三波長型と言われるものとそうでないものがあります。ここで取り上げるのは三波長型です。そうでないものについては「蛍光灯でもこれだけ違うスペクトル - 自作DVD分光器」にあります。
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自作分光器はいろいろな方が製作記事を書いていらっしゃるわけですが、この記事で参考したのは
「国立科学博物館 - 理工学研究部 - 若林文高 - DVD分光器の回折条件」
です。r=30mmとr=20mmの解析例があるのですが、r=20mmの方を作りました。じつは間違って最初r=30mmの方を作ったのですが、この資料にある通りちょっと撮影用には使えない感じです。r=20mmでもカメラを少し下向きにする必要がありました。
製作の詳細は
「簡易分光器の作り方と反省点 - DVD-ROM使用」
にあります。
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蛍光灯の分光スペクトル
(画面上の位置と波長の関係を調べたり水銀灯のスペクトルと比較してみたところ577nm、579nmとした輝線は別のもののようです。おそらく上にある__つまり波長が短い方にある__2本が577nm、579nmのようです。精査した上で新たに記事を書きたいと思います。“水銀の黄色の輝線”とあったのでこれらが水銀の輝線だと思い込んでしまいました。「DVDで作る簡易分光器 - 水銀灯の分光スペクトル」 参照)
波長は「国立科学博物館 - 理工学研究部 - 若林文高 - DVD分光器の回折条件」 を「Wikipedia - 水銀灯」にある蛍光灯の輝線スペクトルを参考にして書き入れました。波長と画像上の位置に整合性があるかはまだ調べていないので“?“付きにしてあります。
この写真は「Welcome to my homepage. - DVD分光器」 にある写真と似ていますが、「若林文高 - DVD分光器の回折条件」 にある写真とはちょっと違います。「若林文高 - DVD分光器の回折条件」 の方は輝線がはっきりしておりまた500nmあたりの明るくなっている部分もありません。「若林文高 - DVD分光器の回折条件」 は“DVD分光器(図 1)で観測した白色蛍光灯の可視スペクトル”とありますが、水銀(灯)のスペクトルのようにも思えます。
違う蛍光灯で撮影してものと比較してみました。
輝線の位置は同じです。これは当たり前のことなのかどうかよくわかりません。 <== 蛍光物質によってぜんぜん違ったりします()
いろんな種類の蛍光灯のスペクトルを調べてぜんぶ一致していたら、昼光色とか電球色というのはきっと蛍光物質は同じでその配合比(?)が違うだけなんでしょう。
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この分光器は「若林文高 - DVD分光器の回折条件」 によれば
“水銀の黄色の輝線を分離できる十分な分解能をもつ”
とあり「DVD分光器」には
“太陽のスペクトルに黒い線(フラウン・ホーファー線)が観察できます。”
とあります。確かに水銀の黄色の輝線は分離できているようですので、次はフラウンホーファー線ということになります。
「星は空の彼方、月よりも遠く - 光害除去フィルター(4)-脱線(簡易分光器の直線性)(2016/03/18)」 には“簡易分光器”で撮影したフラウンホーファー線の写真があります。どのような“簡易分光器“なのかおそらく過去記事にあるのだと思いますが、まだ探していません。ただ簡易分光器となると市販のものでもそれほど色解像度は高くないはずなのでフラウンホーファー線の撮影に期待が高まります。
==> 製作に関する記事が見つかりました。
「星は空の彼方、月よりも遠く
- 光害除去フィルター(3)透過特性の観察(2016/03/05)」
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輝線がはっきりしたものとしてネオン管はどうだろうと思い、実際やろうとしたのですが輝度が低くまだ写真を撮れていません。もしうまくいったらまた記事にします。
===> 「DVDで作る簡易分光器の校正のために - ネオン管のスペクトル」
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その後また撮影してみました。
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さらに改良版簡易分光器で撮った画像を拡大したものです。
A、B、Cのシャープなものが水銀の輝線です。それ以外は蛍光物質の発光です。
Dも比較的シャープですが、これはユーロピウム系蛍光物質によるものと思われます。
次の記事 「DVDで作る簡易分光器 - 水銀灯の分光スペクトル」
まとめまとめ記事
「簡易分光器 - 作り方・使い方のまとめとリンク集」
簡易分光器とは?
簡易分光器の実力
太陽光(フラウンホーファー線)
蛍光灯
原理・設計
製作・材料
スリット
回折格子
構成/構造
フラウンホーファー線の撮影法
簡易分光器の性能評価
トラブルが起きたときの対処法
画像の数値化・グラフ化
デジカメの分光感度特性
スペクトルデータの再画像化
分光器の応用
光害カットフィルターの特性を調べる
半導体レーザー出力光の波長の変化
簡易分光器では手が出せないもの
スペクトルに関する資料集
スペクトル(画像)の実例
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「測定対象別記事一覧(測定、電子工作、天文計算)」
「過去記事の一覧(測定、電子工作、天文計算)」
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コメント
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これは面白そうですね。太陽の成分分析記事が近々公開されるのでしょうか^^。
工作も気合を感じます^^。
投稿: ほよほよ | 2016年5月 6日 (金) 11時28分
これもいろいろと創意工夫が必要だという意味ではけっこう楽しめますよ。
蛍光灯以外に水銀灯、ネオン管、太陽光(フラウンホーファー線)と写したのですが、どれもまだ今ひとつのところがあります (^^;;
投稿: セッピーナ | 2016年5月 6日 (金) 12時07分