DVDで作る簡易分光器の校正のために - ネオン管のスペクトル
簡易とは言っても分光器である以上校正が必要になります。波長が短い方に関しては(577.0nmと579.1nmのところに気をつければ)蛍光灯が使えます(「DVDで作る簡易分光計 - 蛍光灯の分光スペクトル」)
水銀灯を使えばよりシャープなスペクトルが得られます(「DVDで作る簡易分光器 - 水銀灯の分光スペクトル」 )おうちに水銀灯があるという方はあんまりいらっしゃらないと思いますが、探せば水銀灯の街灯はすぐに見つかると思います。もっとも「新宿区 - 2020年までに小型水銀灯4,529基すべてをLED化します」 みたいな話もあるので今後どうなるかわかりませんが。
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そこで波長の長い方をどうするかということになりますが、これはネオン管が使えるはずです。昔真空管の時代にパイロットランプとしてよく使われていたものです。骨董品となった真空管と違ってネオン管は今でもふつうに売っています。
ネオン管は600nm~700nmあたりを中心に輝線がいくつもあります。これについては
「Web Page of T.Nomoto - スペクトル色々 - ネオンランプと水銀ランプ」
がとても参考になると思います。ただ私の持っているネオン管はパイロットランプ用のもので小さくて分光器との位置関係を正しくというか適切にできなかったみたいでインテンシティについてはかなり異なった結果になりました。
<== これは単にカメラの分光感度特性の問題のようです。
またより色分解能が高い画像が「DVD簡易分光器の改良 (1)」 にあります。
<== さらに色分解能を高めたDVD簡易分光器によるネオンランプのスペクトル画像
(「ナトリウム炎色反応のスペクトル(二つのD線)」より)
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ネオン管のスペクトルを撮影したもの
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まず画像位置とRGB値の関係をグラフにします。
このデータをこれまでの結果に当てはめたり、「Web Page of T.Nomoto - スペクトル色々 - ネオンランプと水銀ランプ」にあるグラフと比較したり 国立天文台編 「理科年表」 丸善出版、2014 と付きあわせたりしながらそれぞれの輝線の波長を決定していきます。
画像位置と波長の関係がなめらかになっているか常に確認します。
そして結果はこうなりました。
(この図は輝線を取り違えたものになっていたので差し替えました)
輝線は密集していますが、それぞれは問題なく分離できており簡易分光器の校正に十分使えると思います。
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「色分解能 - 2 - ドップラー効果とかゼーマン効果とか....」
「ゼーマン効果で太陽の磁場を測る?」
「ドップラー効果で太陽の自転速度を測る話し」
「Hαフィルターを使わずにHα写真を撮る方法」
「測定対象別記事一覧(測定、電子工作、天文計算)」
「過去記事の一覧(測定、電子工作、天文計算)」
参考
「国立科学博物館 - 理工学研究部 - 若林文高 - DVD分光器の回折条件」
「Welcome to my homepage. - DVD分光器」
「星は空の彼方、月よりも遠く
- 光害除去フィルター(3)透過特性の観察(2016/03/05)
- 光害除去フィルター(4)-脱線(簡易分光器の直線性)(2016/03/18)」
「廊下のむし探検 - 手作り分光器」 (記事一覧)
「ブログ「廊下のむし探検」付録 - 手作り分光器の作り方」
「Web Page of T.Nomoto - スペクトル色々」 (「ネオンランプと水銀ランプ」)
「国立天文台岡山天体物理観測所 - ☆スペクトル物語☆~デジタルアトラス~」
「原子スペクトルの観察と波長の測定 - リュードベリ定数の測定及び原子のエネルギー準位」
「資源エネルギー庁 - 太陽エネルギーの基礎知識」
「岩崎電気 - ランプ光源情報」
「ライトエッジ - 放電ランプ - メタルハライドランプ」
国立天文台編 「理科年表 第88冊」 丸善出版、2014
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