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2016年5月11日 (水)

デジカメの分光感度特性と白熱電球のスペクトル

この記事はアプローチの仕方が間違っているようです。

こちらが正しい方法だと思います。

  デジカメの分光感度特性はRAWデータを調べればわかる?

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これまで波長しか気にしてこなかったのですが光害カットフィルターLPS-P2の分光特性(1) - DVD自作分光器みたいな話しになってくると光の強さが問題になってきます。

波長の基準になるものはいくらでも見つかるのですが、強度となるとそうそうなさそうです。標準光源というものはあるのですがとても素人に手が出せるようなものではありません。

よくよく考えると白熱電球は原理から言って黒体輻射に近いはずです。ググッてスペクトルをいくつか見たのですがそれらしい感じになっています。黒体輻射と仮定してもだいたいのところはわかりそうです。

そこで今回は白熱電球のスペクトルを撮ってみました。

_2282_s

 
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白熱電球の光はこの範囲では(少し左下がりになるものの)おおむねフラットなはずですのでだいたいの傾向を見てみます。

いちばんショックなのは波長の短い側つまり青、紫方向の伸びがあんまりないことです。450nm以下になるとまともに写らないんじゃないでしょうか。これまでHg:404.7nmの輝線がぜんぜん写らず分光器の構造に問題がある__遮光板の入れ方がまずい__と思っていたのですが、カメラが対応していなかっただけのようです。となると曲がりなりにも写っていたHg:435.9nmはすごい強度を持っていたことになります。

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一方波長の長い赤・赤外側は感度は低くなるもののある程度伸びています。これは実感でそうです。標準レンズで天の川を撮ったらカリフォルニア星雲が写っていましたから。

青のセンサは650nmの真っ赤なところでかなり大きなピークがあります。また赤のセンサーは470nmの真っ青なところで小さいなピークが見られます。

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黒体輻射の分光放射輝度を計算します。温度をどうするかが問題ですが、ひとまず2500Kということにします。

2500k

よく見かける図になっていますしピークは1200nmあたりにあるのでたぶんだいじょうぶでしょう。

これを最初の分光感度特性の図に書き入れるのですが、以前調べた感度特性にしたがって次のようにします。

  RGB値に相当する数値はEV値(から適当な値を引いてもの)に36をかけたものとする

前記事の結果を見るとこの仮定自体かなり怪しいのですが、他に材料がないのでひとまずこれで行きます。

_2282_s_2

黒体輻射がこのグラフ上でどのような曲線になるかのまだまだ検討する必要があるのですが、仮にこれが正しい(というか正しい曲線が決定できた)とするとあとは次のようなやり方になると思います(実際にやった例がデジカメの分光感度特性補正の試み - スペクトル画像のグラフ化にあります)

まずそれぞれのセンサが“担当する”波長領域を決めます。基本的には感度特性の曲線が交わるところあたりにすればいいのではないでしょうか。

そして各センサの感度特性曲線をつなぎ一つの曲線としたものと黒体輻射の曲線との差を計算します。

この差を波長の関数として表す方法を決めます(テーブルルックアップみたいになると思いますが)

新たにスペクトルを調べてたらその値に上で計算した差をプラスしてやればセンサの分光感度特性がフラットな場合のスペクトルが得られるはずです。

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前の記事にも書いたのですがググッてみたら上に書いたようなことを実際に行った(行おうとした?)方がいらっしゃいました。

  廊下のむし探検 - カメラの波長感度3

そうそう簡単にはいかなさそうです。

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