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2016年6月12日 (日)

DVD簡易分光器の性能チェック - 色分解能の調べ方

天体望遠鏡だったら(空間)分解能が気になるわけですが、分光器だとそれは色分解能ということになります。現在作っているDVD簡易分光器がどの程度の色分解能を持っているか調べてみました。

ただ現在フラウンホーファー線の撮影に使っている分光器はスリット回折格子間の距離が300mmあってスリットの前後にレンズが入れてあるので“簡易”というのははばかられるのですが、ありあわせの材料を使った手作りなので“簡易分光器”ということにします。

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色分解能を次のように定義します。

  色分解能 = 輝線の波長 / 輝線の像の半値幅(半値全幅)

学術的(?)な定義もたぶんこれとそんなに違わないと思います。

以下マカリとかもちだしてやってますが、目分量でやっても結果はたいして変わらないと思います。

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どこにでもあるものということで蛍光灯を使うことにします。最近だったら蛍光灯がない家庭というのもあるのかもしれませんが....

まず蛍光灯のスペクトル画像を撮ります。蛍光灯は三波長型でもそうでなくてもどっちでもいいのですが三波長型つまり一般家庭にふつうにあるものの方が調べやすいと思います。

Imgp8275m47d3132524502650e1000

緑と黄色の間あたりにある水銀の二本の輝線に注目します。

拡大図
Imgp8275m47d3t1000_2

二つの輝線はくっきりしていますが、その右側はどれもぼんやりしており蛍光物質の発光であることがわかります。

 

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この輝線の波長は576.959nmと579.065nmです。したがってどちらか一方の輝線の幅が何nmあるか調べて、それで580nmを割れば色分解能がわかることになります。

ただこれは面倒なのでもっと簡単な方法でやります。簡易分光器の場合輝線の画像上の位置と波長はほぼ線形になっています。

輝線の幅をピクセル数で求めれば輝線の間隔は2.1nmですから次の式で輝線の幅が求まります。

  輝線の幅(nm) = 2.1nm * 輝線の幅(ピクセル) / 輝線の間隔(ピクセル)

これで(この波長での)色分解能を知ることができます。

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輝線の幅のピクセル数や輝線の間隔は目見当で十分ですが、今回は国立天文台のマカリで数値化して調べてみました。
Imgp8275

半値幅となると輝度が半分になったところつまり1EV分暗くなったところがどこかというのが問題です。以前調べたところPENTAX Qの場合は1EV分暗くなるとRGB値がだいたい32減るのでひとまずRGB値が30減ったあたりを“半値”ということにします。

半値幅は画像を見ても上のようにしてグラフから求めても4ピクセルから5ピクセルと言ったところでしょうか。ここでは控えめに5ピクセルとします。

一方576.959nmの輝線の位置は2537ピクセル、579.065nmの位置は2582ピクセルでその差(間隔)は45ピクセルです。よって輝線の幅は

  2.1 * 5 / 45 = 0.23nm

ということになります。したがって色分解能は

  580 / 0.23 = 2500

ということになります。

ちなみに輝線の幅を6ピクセルとすると2100、4ピクセルとすると3100ですからかなりアバウトな結果です。色分解能は2000くらいと考えておいた方が無難なようです。

もっと焦点距離の長いレンズを使えばそれなりに正確な結果は得られると思います。

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フラウンホーファー線の波長の差1.1nmのb1(518.362nm)とb2(517.270nm)の輝線を分離するのには最低でも500の分解能が必要で、波長の差0.5nmのb2(517.270nm)とb4(516.733nm)を分離するのには最低でも1000の分解能が必要なはずです。

この分光器ではこれまで記事にしたようにb1、b2、b4を分離することができています。

Imgp8275b

ただ実際問題としてフラウンホーファー線つまり吸収線の分離は輝線の分離より難しいです。迷光の影響が大きいからとかいろいろあるのだと思います。
同じ分光器で見てもナトリウムのD線の輝線ははっきり二つに分かれているのに吸収線はなんとなく二つに分かれている程度というのがふつうです。
だからフラウンホーファー線の場合は必要とする色分解能の倍くらいの色分解能がある分光器を用意した方がいいと思います。前記事でも書きましたが色分解能というのはそれだけあれば必ず分離できるという意味ではなくそれだけないとぜったいに分離できないという意味です。これも天体望遠鏡の分解能の意味に似ています。

この吸収線の方が輝線より実質的な色分解能が低くなるというのは迷光の対策が不十分であるというようなことが原因のようです。注意深く作れば吸収線でもとても高い色分解能を実現できます。

  「
簡易分光器・半値幅0.04nmの撮影条件

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