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2016年6月17日 (金)

DVD簡易分光器のスリット間隔とフラウンホーファー線の見え方の関係

スリットの間隔(スリット高、スリット幅)についてはいろいろ理屈みたいなことばかり書いてきたので今回はスリットの間隔(とスリット・回折格子間の距離)を変えるとスペクトル画像がどう変わるかをフラウンホーファー線を例に書いてみたいと思います。

まずスリット、回折格子、カメラの位置関係(角度関係?)はDVD簡易分光器の波長と画像位置の関係にある図と同じです。

スリットの間隔 s と、スリットと回折格子間の距離 L を変えて太陽光のスペクトルの撮影を行います。

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スリットの間隔 はs=0.1mm、0.25mm、0.4mm、0.7mmの四種類を使います。スリットは

ラジオペンチ
    - 
DVDのメディアで簡易分光器を作る-その2、(フラウンホーファー線が何とか見えた)

にあるアルミホイルを利用する方法で作りました。実際にやってみるととても簡単ですしエッジもきれいでなかなかいいです。これからはスリットは全部この方法で作ろうと思っています。強度を増すための工夫はやってみたいと思います。

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スリットと回折格子間の距離はL=190mm、310mmをやってみました。

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カメラはPENTAX Q + 06 TELEPHOTO ZOOMで f=15mm で使います。絞りと感度はF8、ISO125に固定し露出は露出時間で調整しています。

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この条件で撮影するとこんな画像が得られます。
Imgp8767e1000_2

(吸収線の記号は理科年表にあるものを使っており、Wikipediaでの記号が違うものはそれをかっこ内に書きました。なおb4とE(E2)に関しては理科年表とWikipediaでは波長も違っています。この色分解能で問題になるような差ではありませんが、もうちょっと色分解能が上がればどういうことなのかわかるかもしれません)

今回はこの中で矢印で示したb線(b1、b2、b4)とE線のあたりをチェックしました。
Imgp8824m54d7900120019001600_4

このスペクトルも s=0.1mm、L=310mmで撮影しているのですがf=28mmと焦点距離を倍くらいにして写しています。この画像は今まででいちばんよく写っているものですが、単に焦点距離を倍にしたからよく写ったということではないです。

参考

上の画像を数値化したもの

Photo_2

さらに再画像化したもの

Imgp8824m54d7900120019001600new

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難易度順チェックポイント

A. b線(のグループ)が見えるか?

B. E線(と隣接する暗線のグループ)が見えるか?

C. b1とb2/b4が分離して見えるか?

D. b2/b4が分離して見えるか?

E. E線が隣接する暗線から分離して見えるか?

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この記事の範囲を越えますがその後クリアできたことを追加しておきます。

F. b2とb4の間に暗線が何本見えるか?
  (
簡易分光器の限界に挑む - フラウンホーファー線(b)」)

G. E線のきわめて近くにある暗線が分離できるか?

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C.は“D1/D2が分離して見えるか?”程度でここまでは難易度というほどのことではないのですが、D.になると(簡易分光器としては)ちょっと難しくなり、E.はけっこう難しいと思います。E線は上の画像にあるとおりそんなに目立つ吸収線ではないです。ふつうE線と言っているのは周りにある吸収線と一緒になって帯状に暗くなって見えるところだと思います(これを言うともっと高い分解能で見たらどうなるんだということになってキリがないのですが)

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ここから結果ですが、今回はそれぞれの撮影条件ができるだけ同じになることに重点を置きました。個別に最高の写りを追求したということではないです。ですから画像は少なくともこのくらいには写りそう、という程度と考えていただければと思います。

No.1 L=190mm、s=0.7mm
Imgp8812m54d71400132019001500

b、Eともに写ってはいるのですが、それらしい特徴はありません。フラウンホーファー線の撮影を始めたばかりの頃だと波長から調べてどの暗線がb、Eに相当するのかがやっとわかるレベルです。

No.2 L=190mm、s=0.4mm
Imgp8809m54d71400132019001500

これも同じレベルですが、こちらは“ここがb”というのはだいたいわかります。

No.3 L=190mm、s=0.25mm
Imgp8808m54d71400132019001500

bの左側が二つの暗線(b2/b4)からできていることがなんとなくわかるくらいになります。
Eは相変わらずもわっとした感じです。

No.4 L=190mm、s=0.1mm
Imgp8807m54d71400132019001500_2

bの左側が二つの暗線からできていることがはっきりわかります。またEもなんとなくばらけて見えます。

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以下Lが変わります。

No.5 L=310mm、s=0.7mm
Imgp8804m54d71400132019001500

L=310mmになるとs=0.7mmであってもb線、E線の雰囲気は出てきます。

No.6 L=310mm、s=0.4mm
Imgp8802m54d71400132019001500

b線の左側が二つに分かれているのがなんとなくわかるようになります。

No.7 L=310mm、s=0.25mm
Imgp8801m54d71400132019001500

b2/b4ははっきりと分離します。E線も複数の暗線からできているのがなんとなくわかります。

No.8 L=310mm、s=0.1mm
Imgp8800m54d71400132019001500_2

b2/b4の分離はより明瞭になり、E線がどこにあるかわかるようになります。
ただ上のNo.4 L=190mm、s=0.1mmのケースと比べるとあんまり代わり映えがしません。おそらくピントが正しく合っていないなどの理由でスリット間隔のちいささを有効に利用できていないのだと思います。有効に利用できると最初から二番目の画像みたいなのが撮れるはずです。



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