半導体レーザー出力光の波長の長期的・短期的変動
とある日の朝半導体レーザー出力光のスペクトル画像を撮ってみました。
ちょっと幅広なのが半導体レーザーの出力光です。今回はネオン管の出力光もいっしょに撮ってあります。ネオン管の600~700nmくらいのところにたくさん輝線も持っておりそれといっしょに写しているわけですから半導体レーザー出力光の波長は0.1nmのオーダーまで求めることができるはずです。
その日の午後撮った画像です。
左右のネオン線と比較するとわずかではありますが明らかに波長が変化しています。
--------
朝撮った画像の分析結果です。
半導体レーザー出力光の波長は656.2nmでした。
午後撮った画像の分析結果です。
こちらは656.7nmになっています。
つまり6時間くらいで0.5nm変化しています。
原因はわかりませんが、おそらく気温の変化が影響しているのでしょう(このときは気温を測っていませんでした)
ネオン線の波長を書き入れるのは面倒なので今回は省力しましたが、波長を書き入れたグラフが「ナトリウム炎色反応のスペクトル(二つのD線)」にあります。また数値データは「簡易分光器用 - 輝線・吸収線の波長表(フラウンホーファー線を含む)」からダウンロードできるExcelファイルにあります。
---------
最初の画像の右半分くらいのところを並べてみました。
上下の画像でネオン線の太さ(半値幅)が違いますが、これは分光器の色分解能が違っているためです。1000を超えるような色分解能になるとちょっとしたことに影響され一定の色分解能を維持すること(常に一定の色分解能のスペクトル画像を撮ること)が難しいです。
一方半導体レーザーは上下ほぼ同じ太さ(半値幅)になっています。これは半導体レーザーの輝線は分光器の色分解能の影響で太くなっているのではなくもともとある大きさ(1nm程度)を持っていることを意味しています。つまり半導体レーザー出力光の波長は数十秒(これは露出時間です)で見たとき1nm程度の変動を持っているとともに数時間のオーダーで見たときそれとは別の変動が起きていることがわかりました。
<=== 「吾唯知足 〜 吾が身の丈 身の程 身のこなし〜 - 理科教科書における光スペクトル再定義の必要性(白熱灯・蛍光灯・LEDを理解する)」によれば半導体レーザーの出力はエレクトロルミネッセンスの共鳴増幅であるとのことです。そのため(ネオンの輝線とは違って)幅があるのであって波長が変動しているというのとは違うようです。
前の記事 「簡易分光器用 - 輝線・吸収線の波長表(フラウンホーファー線を含む)」
次の記事 「DVD簡易分光器のスリット間隔とフラウンホーファー線の見え方の関係」
まとめ記事
「DVD簡易分光器の自作とトラブルシューティング」
「光源別スペクトル(分光分布)一覧表 - DVD簡易分光器による」
--------
関連
「簡易分光器の作り方と反省点 - DVD-ROM使用」
「DVD簡易分光器の改良 (1)」
「DVD簡易分光器の改良 (2) - 構造・作り方 」
「DVD簡易分光器の改良 (3) - 仮組立 」
「DVD簡易分光器の改良 (4) - 組み立て」
「簡易分光器にDVD-ROMを使うとゴーストが出る理由」
「DVD簡易分光器のスリット幅と色分解能の関係」
「DVD簡易分光器の波長と画像位置の関係」
「簡易分光器の作り方 - 回折格子をどうする」
「DVD簡易分光器の性能チェック - 色分解能の調べ方」
「簡易分光器 - スリットの間隔の決め方と作り方」
「簡易分光器用 - 輝線・吸収線の波長表(フラウンホーファー線を含む)」
「DVD簡易分光器のスリット間隔とフラウンホーファー線の見え方の関係」
「デジカメの分光感度特性と白熱電球のスペクトル」
「デジカメの分光感度特性補正の試み - スペクトル画像のグラフ化」
「スペクトル画像(分光写真)を数値化(グラフ化)する方法」
「DVD簡易分光器の色分解能を岡山天体物理観測所と比較する」
「DVDで作る簡易分光計 - 蛍光灯の分光スペクトル」 (三波長型蛍光灯)
「蛍光灯でもこれだけ違うスペクトル - 自作DVD分光器」
「DVDで作る簡易分光器 - 水銀灯の分光スペクトル」
「DVDで作る簡易分光器の校正のために - ネオン管のスペクトル」
「プラズマボールのクリプトンとキセノンのスペクトル」
「ナトリウムランプのスペクトルの詳細 - 改良版DVD簡易分光器」
「ナトリウム炎色反応のスペクトル(二つのD線)」
「D線が存在しない高圧ナトリウムランプのスペクトル - DVD簡易分光器」
「自作DVD分光器で調べるナトリウムランプのスペクトル」
「メタルハライドランプのスペクトル - DVD簡易分光器」
「半導体レーザー(レーザーポインター)のスペクトル」
「半導体レーザー出力光の波長の長期的・短期的変動」
「太陽光のスペクトルと主要なフラウンホーファー線」
「フラウンホーファー線の画像が画期的に改善! - 太陽光のスペクトル」
「DVD簡易分光器で見るフラウンホーファー線(太陽光のスペクトル)」
「フラウンホーファー線 - DVD簡易分光器による太陽光のスペクトル」
「光害カットフィルターLPS-P2の分光特性(1) - DVD自作分光器」
「色分解能 (3)」 (「色分解能 (1)」、「色分解能 (2)」、「色分解能 (2)」)
「色分解能 - 1 - ドップラー効果とかゼーマン効果とか....」
「色分解能 - 2 - ドップラー効果とかゼーマン効果とか....」
「ゼーマン効果で太陽の磁場を測る?」
「ドップラー効果で太陽の自転速度を測る話し」
「Hαフィルターを使わずにHα写真を撮る方法」
「測定対象別記事一覧(測定、電子工作、天文計算)」
「過去記事の一覧(測定、電子工作、天文計算)」
参考
「国立科学博物館 - 理工学研究部 - 若林文高 - DVD分光器の回折条件」
「Welcome to my homepage. - DVD分光器」
「星は空の彼方、月よりも遠く
- 光害除去フィルター(3)透過特性の観察(2016/03/05)
- 光害除去フィルター(4)-脱線(簡易分光器の直線性)(2016/03/18)」
「ラジオペンチ - DVDのメディアで簡易分光器を作る-その1」
DVDから回折格子の切り出し方
「ラジオペンチ
- DVDのメディアで簡易分光器を作る-その2、(フラウンホーファー線が何とか見えた)」
スリットの作り方
「DVDのメディアで簡易分光器を作る-その3、(まとめ)」
「廊下のむし探検 - 手作り分光器」 (記事一覧)
「ブログ「廊下のむし探検」付録 - 手作り分光器の作り方」
「Web Page of T.Nomoto - スペクトル色々」 (「ネオンランプと水銀ランプ」)
「国立天文台 - 分光宇宙アルバム」
「国立天文台岡山天体物理観測所 - ☆スペクトル物語☆~デジタルアトラス~」
「原子スペクトルの観察と波長の測定 - リュードベリ定数の測定及び原子のエネルギー準位」
「資源エネルギー庁 - 太陽エネルギーの基礎知識」
「岩崎電気 - ランプ光源情報」
「ライトエッジ - 放電ランプ - メタルハライドランプ」
国立天文台編 「理科年表 第88冊」 丸善出版、2014
« プラズマボールのクリプトンとキセノンのスペクトル | トップページ | DVD簡易分光器のスリット間隔とフラウンホーファー線の見え方の関係 »
「簡易分光器とスペクトル」カテゴリの記事
- 水を注いだコップの中のコインは真上に浮き上がって見えるのか?(2018.08.27)
- 水深2mのプールの見かけの水深は? 屈折と光線追跡(2018.08.23)
- CD-R簡易分光器の限界は? - 「イラストレイテッド光の実験」(2018.07.20)
- 簡易分光器の回折格子 - CDとDVDの違い(2016.07.28)
- 簡易分光器の特性をExcelでシミュレーションする(2016.07.26)
この記事へのコメントは終了しました。
« プラズマボールのクリプトンとキセノンのスペクトル | トップページ | DVD簡易分光器のスリット間隔とフラウンホーファー線の見え方の関係 »
コメント