フラウンホーファー線(475nm~495nm)
前回
「DVD簡易分光器で見えるフラウンホーファー線(515-535nm)」
ではE線、b線のあたりでしたが今回はHβ線(F線ともいいます)のあるところです。
次の画像の黄色でマークした範囲です。
Hβ線がありますので国立天文台岡山天体物理観測所のスペクトル画像と比較してみます。
国立天文台岡山天体物理観測所
- 太陽のスペクトル - The Solar Spectrum - - 水素 Hβ線
提供 国立天文台 「自然科学研究機構 国立天文台 ウェブサイト 利用規程」によります。
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これも雰囲気的には合ってるわけですが、b線(の最新版)やE線の比較結果
「簡易分光器の限界に挑む - フラウンホーファー線(b)」
「E線はど~れ? - 簡易分光器によるフラウンホーファー線」
よりよくないです。分離できるはずの487.214nmの吸収線と0.13nm離れた隣の吸収線がくっついてしまっています。
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その後もう少しマシなのが撮れました。これは半値幅0.04nm程度が実現できています。
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ところで国立天文台岡山天体物理観測所のスペクトル画像ですが撮影は
65cm太陽クーデ望遠鏡+高分散分光器
(2000年8月17日,18日にデジタルビデオにて撮影)
と書いてありました。この望遠鏡は今は使われていないはずです。
高分散分光器というのは
「自作簡易分光器とすばる望遠鏡の高分散分光器HDSを比較してみた」
などを参考にしてください。
----------あんまり状態がよくないので画像のサイズを「DVD簡易分光器で見えるフラウンホーファー線(515-535nm)」の半分にしようかと思ったのですが統一がとれないしそのうちちゃんとしたのが撮れたら差し替えればいいだけの話なので同じサイズでアップしておきます。その後撮影したものと差し替えます。
差し替えました。
簡易分光器で太陽光のスペクトル画像を撮影し、数値化・一次元化したあと再度画像に変換したものです。暗線の波長はわかっている範囲で書き込んであります。
記号の意味
Mg(b2/b2) 517.27
マグネシウムの吸収線です。理科年表にb2、Wikipediaにb2という記号であります。
波長はいずれも517.27nmです。
Mg(b4/-) 516.73
理科年表にあるマグネシウムの吸収線でb4という記号がつけられています。
波長は516.73nmです。
Mg(-/b4) 516.89
Wikipediaにあるマグネシウムの吸収線でb45という記号がつけられています。
波長は516.89nmで理科年表とは異なります。
Fe 525.02
理科年表の「おもな太陽吸収線」の表にあるものです。
Cr I/OAO 524.76
岡山天体物理観測所の太陽のスペクトルの画像にあったものです。
なお Cr I の “I”はおそらく中性原子によるものという意味だと思います。
Fe/CST 522.72
理科年表の「紫外部、可視部、近赤外部の主なスペクトル線の波長」の表にあったものです。これはそこに吸収線があるかもしれないというだけであって、そこにある吸収線とちゃんと対応したものかどうかは確かめていません。(そもそもあるかどうかも調べていませんが、Feはだいたいあるみたいです)
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