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2016年7月14日 (木)

フラウンホーファー線の詳細リストとD3線が存在しないこと

D3線はいずこ? - 簡易分光器の限界に挑むに書いた(Wikipediaの)D3線ですが、実際には存在しないことがわかりました。

追記 2018.06.02
  ないはずのD3線があることになっている事情について
    「フラウンホーファー線にD3線が見当たらない理由
  に書きました


後記するようにフラウンホーファー線の詳細リストが見つかりました。そこで撮影した画像とリストを付きあわせてみました。

Imgp4086ddngm4d65650750586590gr

1がD1、2がD2ですが、3.、4.は詳細リストから波長が特定できたものです。これによってWikipediaにあるD3線の波長がスペクトル画像のどこに相当するかが正確にわかるようになりました。これが5.の位置です。結論は

  (少なくとも半値幅0.04nmの分光器で見る限り)D3線の位置に吸収線は存在しない。

となります。ちょっと左に吸収線っぽいものがありますが、これはD3線とは波長が異なることが今回は言い切れます。

理科年表(というかその元ネタ)にD3がないのは

  1. 暗線の位置を調べたらHeの波長のようだ。
  2. Heの波長587.565nmの吸収線にD3という名前をつけよう。
  3. 正確に測定したらHeの波長のところには吸収線がない。
  4. D3はなかったことにしよう。

ということなんじゃないでしょうか。

なお6.の緑の線はネオンのスペクトルから拾ってきたものです。わずかに左にに吸収線がありますが、これも別物で吸収線の方は地球大気中の水蒸気のようです。

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フラウンホーファー線の詳細リストというのは

  The Interactive Database of Spectral Standard Star Atlases
      - SpectroWeb frontpages - Interactive Spectral Atlases

にありました。私のところではセキュリティの設定のせいかJavaのところが動かないのですがそれでも必要なデータは入手できました。

太陽をはじめいくつかの天体のスペクトルを知ることができます。

原子の吸収線、分子の吸収線、地球大気の吸収線にわけられています。強度も知ることができるので吸収線を同定するとき便利です。

ちなみにD線のある587.5-590.0nmの2.5nmの範囲に39本の原子の吸収線、113本の地球大気の吸収線がありました。

逆にこれだけわかってしまうと面白みがないとも言えますが (^^;;

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上のサイトに行き着くまでにいろんなサイトを巡った(たどった)のですが、こんなのがありました。

  Observational Astronomy - Astronomical spectroscopy - Sun Spectrum Index
    - Sun Spectrum - 5150 to 5200 Angstroms - Magnesium Triplet Absorption Lines

私の大好きなb線のところですが、じつにすばらしいです。機材や撮影条件、結果の処理に関する詳細な説明もあります。

半値幅 0.2930Å、色分解能 17,607ということなので残念ながらちょっと負けています。画像を比較すると私の画像は暗線はだいたいとらえているのですが鮮明度がちょっとというかかなり落ちます。ペアになっているところの分離が悪いというのも目立ちます。

でも機材を比較するとけっこう健闘していると自分をほめてやりたくなります (^^;;

参考 「Sun Spectrum - 5150 to 5200 Angstroms - Magnesium Triplet Absorption Lines」のタイトルの下にある画像と同じ範囲の簡易分光器で撮影した画像(撮影条件は簡易分光器・半値幅0.04nmの撮影条件にあります)
Imgp4089svg23dngm4d69515520_2




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