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2016年7月20日 (水)

蛍光灯のスペクトルに10本の水銀輝線を見る

簡易分光器の色分解能の理論的限界を検討しているのですが、どういうわけか2,000くらいになってしまいます。実際には10,000~15,000(半値幅 0.04nm @590nm)くらいが実現できているわけで不思議なことです。計算かその前の式の立て方が間違っているのだと思いますが....

さて今回は蛍光灯の分光写真です。これはもう何度もやったのですが今回は蛍光灯のスペクトルの中にできるだけたくさんの水銀の輝線を見つけてみようというのがテーマです。タイトルには10本 11本と書きましたがうち2本はちょっとあやしいです。

オリジナルの画像はこれです。25%ほどに縮小してあります。
Imgp8762e1000

代表的な輝線435.8nm546.1nmそして577.0nm579.1nmのペアははっきりわかります。
左の方(波長の短い方)から順に見て行きます。

なおこの画像の撮影条件は(詳細撮影条件付き)三波長型蛍光灯の分光スペクトルとほぼ同じですがカメラの焦点距離は28mmとしてあります。できるだけ広い範囲の波長を撮影したかったからです。

それからこの記事で蛍光灯というのは一般家庭にあるような三波長型蛍光灯のことです。一般型蛍光灯(蛍光灯でもこれだけ違うスペクトル - 自作DVD分光器)だともう少し簡単に水銀の輝線を見ることができると思います(分光器の色分解能が悪いと状況はかえって悪化しますが)
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画像はJPEGとRAWデータ(PEF)の両方で保存してあり、以下それらが混在しています。グラフと再画像化したものはJPGから作っています。

まず400nm~450nmあたりです。この画像はPEFから取り出し200%に拡大してあります。さらにトーンカーブを調整したものです。
Imgp8762pefm4d14e1000v

珍しく404.7nmの輝線が見えています。その右側にあるのは407.8nmで間違いないと思います。
それから435.8nmの左にうっすらと輝線らしきものがあります。これは434.8nmのようです。さらにその左になんとなく見えるのがあります。波長は433.9nmなので、もしこれが輝線だったら水銀に違いなのですがあんまり輝線っぽくないのでちょっとあやしいです。

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次に430nm~550nmあたりです。
Imgp8762pefm4d14e1000b

真ん中の蛍光物質のルミネッセンスの中に輝線らしきものがありますが、波長から考えて491.6nmの水銀の輝線と思われます。
右側の緑の蛍光物質のルミネッセンスから少し離れたところに緑色の輝線らしきものがありますが、これは水銀の輝線ではなさそうです。該当する波長のものがありませんでした。

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520nm~640nmのところです。
Imgp8762pefm4d14e1000g_3

ここには特に目新しい輝線はありません。
579.1nmの右側にあるルミネッセンスのピークと思っていたところの波長は580.4nmでした。ということはこれも水銀の輝線のようです。ルミネッセンスが重なっていたため、そのピークのように見えていただけのようです。

579.1nm
の右側にあるルミネッセンスのピークと思っていたところの波長は580.2nmでした。水銀の輝線は580.4nmにあり違いすぎるので、これはやっぱり水銀の輝線ではないようです。また一般型蛍光灯や水銀灯のスペクトル画像を調べても該当する輝線はありませんでした。

611nm(実測 611.3nm)の輝線っぽいのは蛍光物質のルミネッセンスのピークと思われます。すくなくとも水銀の輝線ではないです。

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600~700nm
Imgp8762jpgm4d14e1000r
690.7nmに比較的強い水銀の輝線があるはずですが、今回は特定することはできませんでした。おそらく上の画像にマークした位置のように思えます(画像の一部のトーンカーブを変化させています)

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水銀の輝線についてまとめると

  404.7nm ◎ 強・確実に写っている
  407.8nm ○ 弱・たぶん間違いない
  433.9nm △ 微・ちょっとあやしい
  434.8nm ○ 弱・たぶん間違いない
  435.8nm ◎ 強・確実に写っている
  491.6nm ○ 弱・たぶん間違いない
  535.4nm ☓ (痕跡なし)
  546.1nm ◎ 強・確実に写っている
  567.6nm ☓ (痕跡なし)
  577.0nm ◎ 強・確実に写っている
  579.0nm ☓ (弱いはずなので下の579.1nmから分離するのは難しそう)
  579.1nm ◎ 強・確実に写っている
  580.4nm ○ 弱・たぶん間違いない

  580.4nm ☓ (痕跡なし)
  588.9nm ☓ (痕跡なし、蛍光物質ルミネッセンスの中)
  589.0nm ☓ (痕跡なし、蛍光物質ルミネッセンスの中)
  623.4nm ☓ (痕跡なし、蛍光物質ルミネッセンスの中)
  671.6nm ☓ (わずかにピークがあるが、ノイズと判別不能)
  690.7nm △ 微・ちょっとあやしい


ということになります。

  この結果の再検討記事が
    「
続・蛍光灯のスペクトルに10本の水銀輝線を見る
  にあります。


波長は

  国立天文台編 「理科年表 第88冊」 丸善出版 (2014)

によるもので

  簡易分光器用 - 輝線・吸収線の波長表(フラウンホーファー線を含む)

にまとめてあります。

強としたものはよほどヘンなことをしないかぎり見えます(写ります)
弱としたものは露出条件、色分解能によっては写らないことがあります。
微としたものはそれないの努力が必要です。
400nmあるいは700nm近辺はケラレに注意します。つまり十分口径の大きいレンズを使い回折格子にカメラを近づけて撮影することが必要です(もしそうできなければ回折格子との位置関係を調整して長い波長あるいは短い波長が中央よりに写るようにします)

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スペクトル画像(分光写真)を数値化(グラフ化)する方法で数値化してグラフにしたもの
Imgp8762svg28jpgm4d1415411560lamdai

スペクトルデータをExcelでSVG画像にしてみたにある方法で波長の変化が直線的になるように再画像化したもの(一部トーンカーブを調整してあります)
Imgp8762svg28jpgm4d1415411560400700



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