蛍光灯のスペクトルに10本の水銀輝線を見る
簡易分光器の色分解能の理論的限界を検討しているのですが、どういうわけか2,000くらいになってしまいます。実際には10,000~15,000(半値幅 0.04nm @590nm)くらいが実現できているわけで不思議なことです。計算かその前の式の立て方が間違っているのだと思いますが....
さて今回は蛍光灯の分光写真です。これはもう何度もやったのですが今回は蛍光灯のスペクトルの中にできるだけたくさんの水銀の輝線を見つけてみようというのがテーマです。タイトルには10本11本と書きましたがうち2本はちょっとあやしいです。
オリジナルの画像はこれです。25%ほどに縮小してあります。

代表的な輝線435.8nm、546.1nmそして577.0nmと579.1nmのペアははっきりわかります。
左の方(波長の短い方)から順に見て行きます。
なおこの画像の撮影条件は「(詳細撮影条件付き)三波長型蛍光灯の分光スペクトル」とほぼ同じですがカメラの焦点距離は28mmとしてあります。できるだけ広い範囲の波長を撮影したかったからです。
それからこの記事で蛍光灯というのは一般家庭にあるような三波長型蛍光灯のことです。一般型蛍光灯(「蛍光灯でもこれだけ違うスペクトル - 自作DVD分光器」 )だともう少し簡単に水銀の輝線を見ることができると思います(分光器の色分解能が悪いと状況はかえって悪化しますが)
さて今回は蛍光灯の分光写真です。これはもう何度もやったのですが今回は蛍光灯のスペクトルの中にできるだけたくさんの水銀の輝線を見つけてみようというのがテーマです。タイトルには10本
オリジナルの画像はこれです。25%ほどに縮小してあります。

代表的な輝線435.8nm、546.1nmそして577.0nmと579.1nmのペアははっきりわかります。
左の方(波長の短い方)から順に見て行きます。
なおこの画像の撮影条件は「(詳細撮影条件付き)三波長型蛍光灯の分光スペクトル」とほぼ同じですがカメラの焦点距離は28mmとしてあります。できるだけ広い範囲の波長を撮影したかったからです。
それからこの記事で蛍光灯というのは一般家庭にあるような三波長型蛍光灯のことです。一般型蛍光灯(「蛍光灯でもこれだけ違うスペクトル - 自作DVD分光器」 )だともう少し簡単に水銀の輝線を見ることができると思います(分光器の色分解能が悪いと状況はかえって悪化しますが)
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画像はJPEGとRAWデータ(PEF)の両方で保存してあり、以下それらが混在しています。グラフと再画像化したものはJPGから作っています。
まず400nm~450nmあたりです。この画像はPEFから取り出し200%に拡大してあります。さらにトーンカーブを調整したものです。

珍しく404.7nmの輝線が見えています。その右側にあるのは407.8nmで間違いないと思います。
それから435.8nmの左にうっすらと輝線らしきものがあります。これは434.8nmのようです。さらにその左になんとなく見えるのがあります。波長は433.9nmなので、もしこれが輝線だったら水銀に違いなのですがあんまり輝線っぽくないのでちょっとあやしいです。
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次に430nm~550nmあたりです。

真ん中の蛍光物質のルミネッセンスの中に輝線らしきものがありますが、波長から考えて491.6nmの水銀の輝線と思われます。
右側の緑の蛍光物質のルミネッセンスから少し離れたところに緑色の輝線らしきものがありますが、これは水銀の輝線ではなさそうです。該当する波長のものがありませんでした。
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520nm~640nmのところです。

ここには特に目新しい輝線はありません。
579.1nmの右側にあるルミネッセンスのピークと思っていたところの波長は580.4nmでした。ということはこれも水銀の輝線のようです。ルミネッセンスが重なっていたため、そのピークのように見えていただけのようです。
579.1nmの右側にあるルミネッセンスのピークと思っていたところの波長は580.2nmでした。水銀の輝線は580.4nmにあり違いすぎるので、これはやっぱり水銀の輝線ではないようです。また一般型蛍光灯や水銀灯のスペクトル画像を調べても該当する輝線はありませんでした。
611nm(実測 611.3nm)の輝線っぽいのは蛍光物質のルミネッセンスのピークと思われます。すくなくとも水銀の輝線ではないです。
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600~700nm

690.7nmに比較的強い水銀の輝線があるはずですが、今回は特定することはできませんでした。おそらく上の画像にマークした位置のように思えます(画像の一部のトーンカーブを変化させています)
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水銀の輝線についてまとめると
404.7nm ◎ 強・確実に写っている
407.8nm ○ 弱・たぶん間違いない
433.9nm △ 微・ちょっとあやしい
434.8nm ○ 弱・たぶん間違いない
435.8nm ◎ 強・確実に写っている
491.6nm ○ 弱・たぶん間違いない
535.4nm ☓ (痕跡なし)
546.1nm ◎ 強・確実に写っている
567.6nm ☓ (痕跡なし)
577.0nm ◎ 強・確実に写っている
579.0nm ☓ (弱いはずなので下の579.1nmから分離するのは難しそう)
579.1nm ◎ 強・確実に写っている
580.4nm ○ 弱・たぶん間違いない
580.4nm ☓ (痕跡なし)
588.9nm ☓ (痕跡なし、蛍光物質ルミネッセンスの中)
589.0nm ☓ (痕跡なし、蛍光物質ルミネッセンスの中)
623.4nm ☓ (痕跡なし、蛍光物質ルミネッセンスの中)
671.6nm ☓ (わずかにピークがあるが、ノイズと判別不能)
690.7nm △ 微・ちょっとあやしい
ということになります。
この結果の再検討記事が
「続・蛍光灯のスペクトルに10本の水銀輝線を見る」
にあります。
波長は
国立天文台編 「理科年表 第88冊」 丸善出版 (2014)
によるもので
「簡易分光器用 - 輝線・吸収線の波長表(フラウンホーファー線を含む)」
にまとめてあります。
強としたものはよほどヘンなことをしないかぎり見えます(写ります)
弱としたものは露出条件、色分解能によっては写らないことがあります。
微としたものはそれないの努力が必要です。
400nmあるいは700nm近辺はケラレに注意します。つまり十分口径の大きいレンズを使い回折格子にカメラを近づけて撮影することが必要です(もしそうできなければ回折格子との位置関係を調整して長い波長あるいは短い波長が中央よりに写るようにします)
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「スペクトル画像(分光写真)を数値化(グラフ化)する方法」で数値化してグラフにしたもの

「スペクトルデータをExcelでSVG画像にしてみた」にある方法で波長の変化が直線的になるように再画像化したもの(一部トーンカーブを調整してあります)

前の記事 「カルシウム炎色反応のスペクトル画像とその波長」
この記事 「蛍光灯のスペクトルに10本の水銀輝線を見る」
次の記事 「続・蛍光灯のスペクトルに10本の水銀輝線を見る」
まとめ記事
「簡易分光器 - 作り方・使い方のまとめとリンク集」
簡易分光器とは?
簡易分光器の実力
太陽光(フラウンホーファー線)
蛍光灯
原理・設計
製作・材料
スリット
回折格子
構成/構造
フラウンホーファー線の撮影法
簡易分光器の性能評価
トラブルが起きたときの対処法
画像の数値化・グラフ化
デジカメの分光感度特性
スペクトルデータの再画像化
分光器の応用
光害カットフィルターの特性を調べる
半導体レーザー出力光の波長の変化
簡易分光器では手が出ないようなもの
スペクトルに関する資料集
スペクトル(画像)の実例
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「測定対象別記事一覧(測定、電子工作、天文計算)」
「過去記事の一覧(測定、電子工作、天文計算)」
画像はJPEGとRAWデータ(PEF)の両方で保存してあり、以下それらが混在しています。グラフと再画像化したものはJPGから作っています。
まず400nm~450nmあたりです。この画像はPEFから取り出し200%に拡大してあります。さらにトーンカーブを調整したものです。

珍しく404.7nmの輝線が見えています。その右側にあるのは407.8nmで間違いないと思います。
それから435.8nmの左にうっすらと輝線らしきものがあります。これは434.8nmのようです。さらにその左になんとなく見えるのがあります。波長は433.9nmなので、もしこれが輝線だったら水銀に違いなのですがあんまり輝線っぽくないのでちょっとあやしいです。
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次に430nm~550nmあたりです。

真ん中の蛍光物質のルミネッセンスの中に輝線らしきものがありますが、波長から考えて491.6nmの水銀の輝線と思われます。
右側の緑の蛍光物質のルミネッセンスから少し離れたところに緑色の輝線らしきものがありますが、これは水銀の輝線ではなさそうです。該当する波長のものがありませんでした。
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520nm~640nmのところです。

ここには特に目新しい輝線はありません。
579.1nmの右側にあるルミネッセンスのピークと思っていたところの波長は580.2nmでした。水銀の輝線は580.4nmにあり違いすぎるので、これはやっぱり水銀の輝線ではないようです。また一般型蛍光灯や水銀灯のスペクトル画像を調べても該当する輝線はありませんでした。
611nm(実測 611.3nm)の輝線っぽいのは蛍光物質のルミネッセンスのピークと思われます。すくなくとも水銀の輝線ではないです。
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600~700nm

690.7nmに比較的強い水銀の輝線があるはずですが、今回は特定することはできませんでした。おそらく上の画像にマークした位置のように思えます(画像の一部のトーンカーブを変化させています)
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水銀の輝線についてまとめると
404.7nm ◎ 強・確実に写っている
407.8nm ○ 弱・たぶん間違いない
433.9nm △ 微・ちょっとあやしい
434.8nm ○ 弱・たぶん間違いない
435.8nm ◎ 強・確実に写っている
491.6nm ○ 弱・たぶん間違いない
535.4nm ☓ (痕跡なし)
546.1nm ◎ 強・確実に写っている
567.6nm ☓ (痕跡なし)
577.0nm ◎ 強・確実に写っている
579.0nm ☓ (弱いはずなので下の579.1nmから分離するのは難しそう)
579.1nm ◎ 強・確実に写っている
580.4nm ☓ (痕跡なし)
588.9nm ☓ (痕跡なし、蛍光物質ルミネッセンスの中)
589.0nm ☓ (痕跡なし、蛍光物質ルミネッセンスの中)
623.4nm ☓ (痕跡なし、蛍光物質ルミネッセンスの中)
671.6nm ☓ (わずかにピークがあるが、ノイズと判別不能)
690.7nm △ 微・ちょっとあやしい
ということになります。
この結果の再検討記事が
「続・蛍光灯のスペクトルに10本の水銀輝線を見る」
にあります。
波長は
国立天文台編 「理科年表 第88冊」 丸善出版 (2014)
によるもので
「簡易分光器用 - 輝線・吸収線の波長表(フラウンホーファー線を含む)」
にまとめてあります。
強としたものはよほどヘンなことをしないかぎり見えます(写ります)
弱としたものは露出条件、色分解能によっては写らないことがあります。
微としたものはそれないの努力が必要です。
400nmあるいは700nm近辺はケラレに注意します。つまり十分口径の大きいレンズを使い回折格子にカメラを近づけて撮影することが必要です(もしそうできなければ回折格子との位置関係を調整して長い波長あるいは短い波長が中央よりに写るようにします)
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「スペクトル画像(分光写真)を数値化(グラフ化)する方法」で数値化してグラフにしたもの

「スペクトルデータをExcelでSVG画像にしてみた」にある方法で波長の変化が直線的になるように再画像化したもの(一部トーンカーブを調整してあります)

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