« 続・蛍光灯のスペクトルに10本の水銀輝線を見る | トップページ | 簡易分光器の原理(仕組み) (2) »

2016年7月23日 (土)

簡易分光器の原理(仕組み) (1)

プリズムを使った分光器だとその挙動を考えるとき屈折率を波長で微分したもの___つまり実測するか資料を漁らないとわからないようなもの___が必要になるのですが回折格子を使った分光器はいたってかんたんです。

Photo

どこにでも書いてあるようにこの場合

  λ = ±m * d * ( cosθ1 - cosθ1 )  d: 格子定数、 λ: 波長
  ±m * λ = d * ( cosθ1 - cosθ1 )  d: 格子定数、 λ: 波長

が成り立ち、すべてはここから導かれます。どう導かれるかは例えば

  国立天文台 - 誰でもできる高分散分光器の設計

にあります。

上の式は回折格子への入射光が平行光線であることを前提としています。ですから(コリメータを使わないので)決してそうならない簡易分光器になるととたんにややこしくなります。

まず同じ波長の光の入射角が違うときを考えます。
__2

これだと入射角がわかっても出射角がどうなるか(学力不足で)よくわかりません。

そこで次にこんなのを考えます。
__3

入射点がRsからR1に変化しても出射光はQに届くとします。これは

入射角(そして出射角)が変化しているわけですからこの場合Rsに入射した光とR1に入射した光ではQで強くなる波長は異なります。

もしこの二つの波長がそれほど違わなければ半値幅は小さく(色分解能は大きく)大きく違っていれば半値幅は大きい(色分解能は小さい)ということになります。

この場合は次のように考えれば入射点がR1の場合の出射角を簡単に求めることができます。
__レンズの焦点距離をf、Pからレンズの主点Oまでの距離をf1、レンズの主点からQまでの距離をf2としたとき

  1/f = 1/f1 + 1/f2

の関係が成り立てばPを出た光はどのような経路をとってもQに届きます。

Pから出た光はどのような経路をとってもQに到達するということは、言葉を変えればPがQに到達するまでの時間はどういう経路を通っても同じであるということを意味しています。

光は例えばP点からQ点に向かうとき必ず時間が最短になる経路を通ります。P点から出る光がすべてQ点に届くということはP点からQ点に到達するまでの時間はどの経路を通っても同じであるということです。

このことについて簡単に説明すると....
P~Rs~O~Qと通過する光は定規で測った距離は短いのですが(レンズの中ではその屈折率の分だけ光の速度が落ちるので)レンズの分厚い部分を通過することで到達するまで時間がかかります。一方P~R1~R~Qと通過する光は定規で測った距離は大きいのですが速度が落ちるレンズの部分はほとんど通らないのでQに案外早く到達します。そしてR1を通ってもRsを通っても到達するのにかかる時間が同じになるような点P、Qが存在し、そのとき

  1/f = 1/f1 + 1/f2

の関係が成り立つと考えてもいいと思います。

このことを前提にするとR1に入射する光がQ点に到達するとすれば必ずPとR1を結ぶ直線上を通るわけでそのことから出射角がわかります。またRsに入射する光はP~Rsの距離からP~R1の距離を引いた分だけRsに入射する光とはQへの到達時間が違うということになります。

次の記事簡易分光器の原理(仕組み) (2)ではこのことをもっと具体的に考え、その上で実際の簡易分光器の特性を検討したいと思います。


前の記事 「
続・蛍光灯のスペクトルに10本の水銀輝線を見る
この記事 「
簡易分光器の原理(仕組み) (1)
次の記事 「簡易分光器の原理(仕組み) (2)


まとめ記事
  「
簡易分光器 - 作り方・使い方のまとめとリンク集
    簡易分光器とは?
    簡易分光器の実力
      太陽光(フラウンホーファー線)
      蛍光灯
    原理・設計
    製作・材料
      スリット

      回折格子
      構成/構造
    フラウンホーファー線の撮影法
    簡易分光器の性能評価
    トラブルが起きたときの対処法
    画像の数値化・グラフ化
    デジカメの分光感度特性
    スペクトルデータの再画像化

    分光器の応用
      光害カットフィルターの特性を調べる
      半導体レーザー出力光の波長の変化
      簡易分光器では手が出ないようなもの

    スペクトル(画像)の実例(a18)
      フラウンホーファー線(a19)

    スペクトルに関する資料・参考サイト・書籍 (a17)
      波長表
      スペクトルについての知識
      分光器原理設計
 分光器構造
        回折格子他
      観測装置
      いろんなスペクトルの例
      フラウンホーファー線など
      太陽、光源について
      炎色反応

      スペクトルの分析
      応用
      分光観測の歴史
      色について


---------


  「
測定対象別記事一覧(測定、電子工作、天文計算)
  「
過去記事の一覧(測定、電子工作、天文計算)

« 続・蛍光灯のスペクトルに10本の水銀輝線を見る | トップページ | 簡易分光器の原理(仕組み) (2) »

簡易分光器とスペクトル」カテゴリの記事

コメント

この段階では 0次の反射光の話だと思いますが、このモデルを土台に1次の回折光の計算に入るということなんでしょうか。wktk

後が続くかどうかわかりませんが.... (^^;;

この記事の話は入射角と出射角の関係は何も考えていないので±m次(m=0, 1, 2,.....)を含むすべての反射光を考えています。
入射角と出射角が決まればそこからQ点で強度が大きくなる波長が決まるからそれがどう変化するか調べようというのが次の記事の話になります。

入射光がどの方向にでも反射すると考えて問題ないわけですから効率悪いですね。鏡面反射を使ったちゃんとした回折格子がほしくなりますが、先立つモノが....

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 簡易分光器の原理(仕組み) (1):

« 続・蛍光灯のスペクトルに10本の水銀輝線を見る | トップページ | 簡易分光器の原理(仕組み) (2) »

フォト

サイト内検索

  • 記事を探されるんでしたらこれがいちばん早くて確実です。私も使ってます (^^;; 検索窓が表示されるのにちょっと時間がかかるのはどうにかしてほしいです。

新着記事

リンク元別アクセス数

  • (アクセス元≒リンク元、原則PCのみ・ドメイン別、サイト内等除く)

人気記事ランキング

  • (原則PCのみ、直近2週間)
無料ブログはココログ