月の赤経・赤緯・地心距離をExcelで求める(海洋情報部の計算式) 2017年版
2018年版(2013年1月1日~2018年12月31日)のExcelファイルを作りました。
「太陽の赤経・赤緯・地心距離をExcelで求める(海洋情報部の計算式) 2018年版」
“太陽の”となっていますが、ダウンロードできるExcelファイルは太陽のシートをアクティブにしてあるだけで、月のシートも惑星のシートも2018年版になっています。
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太陽に引き続き月の赤経・赤緯・地心距離を求めるためのExcelシート2017年版を作りました。2013年1月1日~2017年12月31日の範囲で月の視位置を有効数字7桁~8桁で求めることができます。
「Excel_Sun_Moon_Star_2017.xls 」
(Excelファイルを開くと"太陽視位置"のシートが開きますので"月視位置"を選択してください)
この中の計算式には誤りがあります。
(今差し替える時間的な余裕がなく)お手数ですが修正の上お使いください。
“月視位置”のシートで地心距離を計算しているC29(E29、G29、...も)のセルは
=1737.4/TAN(D33)/384400
とありますが
=1737.4/SIN(D33)/384400
が正しいです。
「月の視位置計算で地心距離の計算に誤りが.....」
「このブログの変更履歴・正誤表など」
なお海洋情報部の式は(暦象年表と同じく)地心から見た赤経・赤緯を求めるものであって地表の観測地からものではありませんので、地心視位置=>観測値視位置の変換も用意しました。
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遅くなりましたが訂正版を作成しました。このExcelファイルには月、太陽、惑星、恒星の視位置を求めるシートが含まれています。
「ダウンロード Excel_Sun_Moon_Planets_2017A.xlsx (217.1K)」
誤りは月視位置、観測地の月視位置、恒星視位置の三つのシートにありました。いずれも“(月の)地心距離”を計算しているセルでsin()を使うべきところでtan()を使ってしまっており、地心距離の5桁目が正しい値(=「暦象年表 - 月の地心座標」 )と1程度違うケースがあります。なお恒星の視位置の計算結果への影響はありません。(2016年11月23日 「月の地平視差と視半径・地心距離の関係」による)
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目的
任意の中央標準時における月の赤経・赤緯・地心距離を求める
座標系
ICRS/ICRF、J2000.0座標系、平均位置、真位置、視位置(地心)、視位置(測心)
適用期間
2013年1月1日~2017年12月31日(拡張可能)
計算手法
海上保安庁海洋情報部の計算式による(記事本文参照)
精度
度の表示で小数点以下第5桁目に若干の誤差あり
(小数点以下第5桁=度分秒の0.04秒、時分秒の0.002秒)
備考・使用上の注意
同様の太陽の視位置の計算も含まれています。
恒星の星表位置から視位置を求めるシート(「基本公式」)も用意しました。
(2016年版以前にあった固有運動及び年周視差の計算の誤りを修正してあります)
地心から見た月の視位置の計算結果と「国立天文台 - 暦計算室 - 暦象年表」との比較
観測地から見た月の高度・方位の計算結果と「国立天文台 - 暦計算室 - 暦の計算」との比較
(暦象年表には観測地から見た月の視位置はないため高度・方位で比較しています。
ただこの程度の精度であれば一致してあたりまえですが....)
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「海上保安庁海洋情報部」では太陽の視位置の概算式を提供しています。
概算式とは言ってもこの海洋情報部の計算式はけっこうな精度があります。ウソだと思ったら「天文計算サイトの精度比較 - 月の視位置(赤経・赤緯・黄経・黄緯・位相角・輝面比)」を御覧ください (^^;;
「海上保安庁海洋情報部 - 海の情報 - 天文・暦情報」 にデータがあります。
なお海上保安庁海洋情報部というのはその昔海上保安庁水路部という(天文計算マニアには)懐かしい名前だったところです。
「平成29年版 解説と計算例 」
「解説と計算例」 (2016年版)
「解説と計算例」 (2015年版)
「解説と計算例(PDF)」 (2014年版)
「解説と計算例(PDF)」 (2013年版)
に計算方法があり
「平成29年版計算用数値 」 (PDF)
「計算用数値(PDF)」 (2016年版)
「計算用数値(PDF)」 (2015年版)
「計算用数値(PDF) 」 (2014年版)
「計算用数値(PDF) 」 (2013年版)
あるいは
「平成29年版計算用数値 」 (テキスト)
「計算用数値(txt)」 (2016年版)
「計算用数値(txt)」 (2015年版)
「計算用 「数値(テキスト) 」 (2014年版)
「計算用 「数値(テキスト) 」 (2013年版)
が計算に必要なデータ(係数)があります。
この式で求められるのは地心から見た座標です。任意の観測地から見た月の赤経・赤緯の求め方は「観測地から見た月の視位置(赤経・赤緯)を求める 」にありますが、それ用のシート「観測地の月視位置」も用意しました。
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月だけでなく、太陽(つまり太陽に対する地球)、惑星(金星、火星、木星、土星)、黄道傾斜角、主な恒星の位置を知るためのデータ(係数)が提供されています。
ただ一点難点があって月の場合毎月計算に必要な数値を変更しなければなりません。 月がいちばん複雑で他は係数の一つの組で四ヶ月くらい使えます(この記事からダウンロードできるExcelのファイルでは係数の切替は自動的に行うようにしてあります)
こういう略算式には
軌道計算(+摂動)から理論的に得られたもの
軌道計算の結果を数学的な関数と考えて近似したもの
があるようですが、上記で提供されているものは数式の形から考えて後者と思われます。
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今回作成したExcelのシートでは年月日から使用する係数の組を選択することによって2013年1月から2017年12月の期間で使えるようにしてあります。計算方法は「解説と計算例」 (2017年版)にしたがっています。年度によって計算方法が変わるわけではありませんがΔT(地球時-世界時) は年度によって異なりますので注意します。
来年8月頃になると2018年用の係数が公開されるはずなので、そのデータを追加すれば2013年~2018年に渡って使えるものになります。データは2008年のものからあり2008年から通して使えるものも作れるのですがあんまり必要性がないのでまだ作ってません。
関連
「太陽の赤経・赤緯・地心距離をExcelで求める(海洋情報部の計算式) 2017年版」
「月の赤経・赤緯・地心距離をExcelで求める(海洋情報部の計算式) 2017年版」
(Excelシートは同じものです)
「惑星(金星・火星・木星・土星)の赤経・赤緯・地心距離をExcelで求める(海洋情報部の計算式) 2017年版」
(太陽、月、恒星の視位置の計算シートも含まれていますが、それらの暦象年表との視位置の比較は含まれていません)
「恒星の位置計算 - ヒッパルコス星表の使い方から大気差の計算式まで」
水路部の略算式
「海上保安庁水路部の略算式 - 月の位置の略算(1) 黄経」
「海上保安庁水路部の略算式 - 月の位置の略算(3) 観測地から見た赤経・赤緯と方位角・高度」
「海上保安庁水路部の略算式 - 月の位置の略算(2) 黄緯と赤経・赤緯」
「海上保安庁水路部の略算式 - 太陽位置の略算(1)」
「海上保安庁水路部の略算式 - 太陽位置の略算(2) 黄経」
「海上保安庁水路部の略算式で太陽の視位置(赤経、赤緯)を求める」
「日の出・日の入りの計算」の略算式で太陽の黄経を求めてみた」
「理科年表(暦象年表)における太陽の黄経の意味」
「海上保安庁水路部の略算式はいつまで使えるか? - 太陽の黄経を例に」
「記事目次・趣味の天文計算」
「記事目次・掩蔽(星食)」
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