月の視位置計算で地心距離の計算に誤りが.....
これまで公開した計算シートで、月視位置の地心距離の計算に誤りがあることがわかりました。誤りの内容は以下のとおりです。訂正するとともにお詫び申し上げます。
またこのことをご指摘いただいたきなこ 様に感謝いたします。
参考 「このブログの変更履歴・正誤表など」
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遅くなりましたが訂正版を作成しました。このExcelファイルには月、太陽、惑星、恒星の視位置を求めるシートが含まれています。
「ダウンロード Excel_Sun_Moon_Planets_2017A.xlsx (217.1K)」
誤りは月視位置、観測地の月視位置、恒星視位置の三つのシートにありました。いずれも“(月の)地心距離”を計算しているセルでsin()を使うべきところでtan()を使ってしまっており、地心距離の5桁目が正しい値(=「暦象年表 - 月の地心座標」 )と1程度違うケースがあります。なお恒星の視位置の計算結果への影響はありません(2016年11月23日 「月の地平視差と視半径・地心距離の関係」による)
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先日次の三つの記事を書いています。
「太陽の赤経・赤緯・地心距離をExcelで求める(海洋情報部の計算式) 2017年版」
「月の赤経・赤緯・地心距離をExcelで求める(海洋情報部の計算式) 2017年版」
「惑星(金星・火星・木星・土星)の赤経・赤緯・地心距離をExcelで求める(海洋情報部の計算式) 2017年版」
じつはこれらの記事からダウンロードできるExcel計算シートで月の地心距離の計算に誤りがあることがわかりました(この三つだけでなくこれまでの計算シートで月の地心距離を計算しているものはすべて間違っていると思います。
これは上の最初の記事をご覧になった方からのご指摘で気付きました。そのまま引用させていただきます。
初めまして、セピーナ様。
Excel_Sun_Moon_Star_2017.xlsは、とても素晴らしいツールです。
天体のシミュレーションソフトの単体試験にとても有効です。
一つ、質問があります。
シート名=月視位置 において、
[C29]=1737.4/TAN(D33)/384400
と、なっておりますが、
[C29]=1737.4/SIN(D33)/384400
ではないでしょうか。
月の半径と、その接線は直行していると思います。
よろしく、ご確認をお願い申し上げます。
もし、私の考えがまちがっていたら、取り消し、ここにお詫び申し上げます。
以上
2016/9/13
どう間違っているかもご指摘のとおりです。
海洋保安庁海洋情報部のデータは月に関しては(地心距離ではなく)地平視差が与えられています。これを使うとき次のように間違った解釈に相当する式を使ってしまっていました。
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じつはご指摘をいただいて間違っていることに気がついた後も高をくくっていました。天文計算の対象になる天体はうんと遠くにあるのだからsin()を使おうがtan()を使おうが結果はたいしてかわらないのでは、と思ったのです。
しかし月は近すぎます (^^;;
0.9368711 暦象年表の値
0.936858 これまでの計算結果
0.936869 誤りを修正した計算結果
(2017年12月31日09時00分00秒(中央標準時)の地心距離)
暦象年表と比較すると修正によって誤差がかなり小さくなっていることがわかります(誤差がゼロにならないのは海洋情報部の計算式はあくまで近似式であるからです)
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