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2016年11月23日 (水)

月の地平視差と視半径・地心距離の関係

太陽の赤経・赤緯・地心距離をExcelで求める(海洋情報部の計算式) 2017年版についてきなこさん、exampapaさん(受験の父さん)から何点か御指摘・御質問をいただいていますので、それについて....

まず、地平視差から地心距離を算出する方法が間違っているのではないかという御指摘がありましたが、これは月の視位置計算で地心距離の計算に誤りが.....に書いたように御指摘のとおりで訂正版を作成しました。

  ダウンロード Excel_Sun_Moon_Planets_2017A.xlsx (217.1K)

誤りは月視位置、観測地の月視位置、恒星視位置の三つのシートにありました。いずれも“(月の)地心距離”を計算しているセルでsin()を使うべきところでtan()を使ってしまっていました。

(以下言い訳)
この誤りは本質的なものですが、ただ月の(平均距離に対する)地心距離で“小数点以下5桁目が1違う”程度の誤りなのでたいていの場合これまでの計算が全部ムダになるというような致命的なものではありません。また恒星視位置のシートでは恒星視位置の計算結果に対する影響はありません。

------------------

さて今回の話題は月の地平誤差から視半径(あるいは地心距離)を計算する方法(というかそのとき使う定数)についてです。

月(や太陽や惑星)の位置については海洋情報部の近似式を使っているのですが、赤経赤緯以外に地心距離や視半径が必要になることがあります。月の場合海洋情報部の近似式から得られるのは赤経赤緯と地平視差なので地平視差から地心距離あるいは視半径を求める必要があります。

常識的には次のような手順になると思います。

1a

 
--------
 
まず月の地平視差から月の地心距離を求めます(月の視位置計算で地心距離の計算に誤りが.....にある図参照)

  地心距離 = 地球半径 / sin(地平視差)

地平視差というのは赤道地平視差のことですから使用する地球の半径は赤道半径ということになります。これは6,378.14km(6,378.137km)でいいでしょう。

次に月の平均地心距離を1としたときの地心距離を求めます。

  地心距離の平均地心距離に対する比 = 地心距離 / 平均地心距離

平均地心距離はたいてい384,400kmになっているのでこれを使います。実際、暦象年表で1914年1月1日09:00(中央標準時)の暦象年表 - 月の地心座標を調べると

  地心距離(平均距離にたいして) 0.9305158
  地心距離 357690km


となっており

  357,690 / 0.9305158 = 384,400km

となり話しがあっています。

最後に月の視半径を求めます。

  視半径 = asin( 月の半径 / 地心距離 )

ここで問題になるのは“月の半径”です。何をもって“月の半径”とするのかがよくわかりません。理科年表を見ると月の形状が複雑なことがわかります(“三軸不等”などという言葉が出てきます)(理科年表をお持ちでない方は天文セミナー 第133回『月探査(5)月の形状』が参考になると思います)

計算した結果の答え合わせは国立天文台 - 暦象年表でやってるわけですから暦象年表をカンニングします。同じく1914年1月1日09:00(中央標準時)の暦象年表 - 月の地心座標 を調べると

  地心距離 357,690km
  視半径 16'41.89"


でした。これから

  月の半径
  = 地心距離 * sin( 視半径 )
  = 357,690km * sin( radians(0.27830) )
  = 1,737.40km


となります。どうやらでは暦象年表では(視半径を求めるための)月の半径は 1,737.4kmとしているようです。

---------

太陽の赤経・赤緯・地心距離をExcelで求める(海洋情報部の計算式) 2017年版つまりダウンロード Excel_Sun_Moon_Planets_2017A.xlsx (217.1K)ではこれと違うやり方をしています。

2

先に視半径をもとめそれをもとに地心距離を求めています。
これには理由があって海上保安庁海洋情報部 - 海の情報  - 天文・暦情報 - 平成29年版 解説と計算例

  6.月の視半径 S.D.

  tにおける月の地平視差H.P.を計算し、S.D.= sin-1(0.2725 sin H.P.)により求める。


と書いてあったからです。これだと月の視半径を計算するのに問題となる月の半径が必要ありません。ただちょっと問題があります。

再び1914年1月1日09:00(中央標準時)の例です。

  地平視差 1.02172
  視半径 = asin( 0.2725 * sin( 1.02172 ) ) = 16'42.08"


ほんとは(つまり暦象年表では)16'41.89"ですからちょっと違います。

そこで太陽の赤経・赤緯・地心距離をExcelで求める(海洋情報部の計算式) 2017年版などでは

  S.D.= sin-1(0.2724 sin H.P.)

としています。正解(=暦象年表)から逆算してこの値を使っています。

  sin(視半径) / sin(地平視差) = 0.27240

これだと

  視半径 = asin( 0.2725 * sin( 1.02172 ) ) = 16'41.89"

となります。

ところで月の地平視差が月から見た地球の視半径であることを考えると地平視差(あるいは視半径)がとても小さいとき

  sin(月の視半径) / sin(月の地平視差) ≒  月の半径 / 地球の半径

です。これまで使った数値を使うと

  sin(月の視半径) / sin(月の地平視差) ≒ 1737.40 / 6378.14 = 0.27240

です。一方海洋情報部の資料では

  月の直径 = 地球の半径 * 0.2725 = 6378.14 * 0.2725 = 1738.0 km

ですから、海洋情報部の近似式では月の半径が1738.0km程度であることを前提としているようです(あるいは、月の視半径の解釈・定義が異なる、なども考えられますが)

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