十円玉をピカピカに磨く - サンポールの作用
「10円玉をピカピカにしようと思ったら白くなってしまった話」 にある十円玉(サンポール(塩酸 9.5%)に6時間つけておいたら白っぽくなってしまった十円玉の右半分だけをプラスチック用コンパウンドで磨いたもの)をもう一度サンポールにつけ置きしてみました。
今回は7時間経過したあとの写真です。もし白っぽくなるのが十円玉がサンポールによって腐食した(銅、亜鉛、錫のいずれかが溶出した)せいだとすればまた全体的に白っぽくなりそうなものですが、そうはなっていません。
長時間サンポールの中に置いていたのにもかかわらず右側はちゃんと光沢が残っています。ただ若干輝きが失われているようには見えます。また、サンポールの中に緑色の沈殿は見られませんでした。
(追記)全体的に少し赤みがましたように見えます。また右側の方ですが、(コンパウンドなどは使わず)脱脂綿(綿棒)で磨いただけでもとの光沢を取り戻しました。また(写真がありませんが)上の画像の裏側の面に何かが付着したように見える黒ずみが見られました。
まだまだ材料不足ですが、前回・今回の結果をもとに何が起きているか考えて(想像して)みました。
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A1. 錆びた十円硬貨(つまりふつうの十円硬貨)をサンポールにつける。
・表面の酸化物(や緑青)が溶け出す。
A2. 表面の錆(主に酸化物)が溶けてしまったあと(この状態ではサンポールには銅イオンが含まれているはずです)
・十円硬貨に含まれる亜鉛が溶け出し、銅イオンが銅となって表面に析出する。
B1 錆のない十円硬貨をサンポールにつける(今回の実験)
・十円硬貨に含まれる亜鉛(と錫?)が溶け出す。
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つまり(銅は塩酸には溶けないことを前提に)
・十円玉の表面の錆はサンポールできれいに落ちる(溶け出す)
・十円玉に含まれる亜鉛は塩酸に溶けるはずだが、見かけに対する影響はそれほど大きくない。
・長時間サンポール中に放置すると亜鉛が溶け出すのとともにサンポール中の銅イオンが析出す。このことのみかけに対する影響は大きく表面が白っぽくなってしまう。
ということだと思います。
ただ未解決の疑問もあります。
1. 亜鉛が溶ければ水素の気泡が発生しそうなものだが、それらしいものが見当たらない。
上のA2.の場合は水素は発生しなくても不思議ではありません。これはB1のケースのときの疑問です。
2. 長時間サンポールにつけておくと表面が黒ずむ場合がある。
これも見た感じは何か付着しているように見えるのですが、それが何かは予想がつきません。
ところでサンポールの塩酸 9.5%というのは微妙な数値ですが、塩酸が10%を越えると劇物指定になるそうなのでそれを避けるためなのでしょう。
関連
「十円玉をピカピカに磨く - サンポールの作用」 (この記事)
「10円玉をピカピカにしようと思ったら白くなってしまった話」
「十円玉はピカピカに磨くより写真を撮るのが難しい」
「年銘別貨幣流通枚数を推測する(1)」
「過去記事の一覧(測定、電子工作、天文計算)」
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