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2017年3月11日 (土)

10円玉をピカピカにしようと思ったら白くなってしまった話

10円玉のサビを希塩酸(サンポール)で落とそうとしたら白くなってしまった、どうしてだろう?、という記事です。

ところでこの手の記事には“貨幣損傷等取締法”について触れたものが多いです。これは

  電子政府の総合窓口 - 法令検索 - 貨幣損傷等取締法

にあるのですが、条文は三つしかないので引用しておきます。

   貨幣は、これを損傷し又は鋳つぶしてはならない。
   貨幣は、これを損傷し又は鋳つぶす目的で集めてはならない。
   第一項又は前項の規定に違反した者は、これを一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。

なお貨幣というのは法律用語では“硬貨”のことだそうです(Wikipedia等による)

これでいちばん最初に思いつくのはアルミニウムの“利用”です。以前電気分解や電池の実験をいろいろやっていたとき電極として一円玉を使う誘惑にかられました (^^;;
(一円玉は手近にあるアルミニウム製品としては最高に純度が高いようです)

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今回の実験対象は昭和50年の年銘があるこの十円硬貨です。

Imgp4900trm800


一度磨いたので比較的きれい(ピカピカ)なのですが、図の黄色い矢印で示したところを見るとわかるようにまだ汚れが残っています。

この汚れは超音波洗浄機で洗ってもエチルアルコールに浸しても取れないのでおそらく錆なのでしょう。

先の細いもので磨いていってもいいのですが、面倒なのでサンポール(塩酸9.5%、他に界面活性剤等)につけ置きします。

Imgp4951enl800

サンポールだと希塩酸で十円玉が溶けてしまうのではないかと心配されている方もいらっしゃるようですが、少なくとも銅は希塩酸には溶けないはずです。錫と亜鉛は溶けてしまいそうな気もしますが。

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6時間つけ置きしておいたらこんなことになってしまいました。

Imgp4969enl800

真ん中が6時間サンポール(希塩酸)に放置した昭和50年の年銘があるものです。両側の二つは比較のためのもので、左側は昭和28年の年銘があるもので超音波洗浄機で洗ったもの、右側は平成25年の年名があるもので何もしていないものです。

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色はヘンですが汚れ(錆?)は完璧に落ちています。

Imgp4969trm800

トーンカーブを調整し、印影を強調して10円玉っぽい感じ(?)にしたもの。
Imgp4969trm800tc

なかなかいい感じです。

(光の当て方にもよるのですが)印影があんまり感じられないというのは汚れが落ちてきれいになったということでもあります。

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なぜ白く(白っぽく)なったかが問題です。

10円玉に含まれている錫あるいは亜鉛が溶けたから、というのを思いつくのですが、どうして錫や亜鉛が溶けたら白っぽくなるか、というは(私には)説明できません。これは今後の課題です。

銅にしても錫・亜鉛にしても希塩酸に溶ければ水素が出てきそうです。6時間やっててルーペで見えるほどの気泡も見当たらなかったのでいずれも溶け出していないのではないかと思いますが....
(塩酸を使うのは酸化銅を溶かすためですが、この反応では水素は発生しません)

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経過はときどき見ていたのですが、徐々に白っぽくなったのではなく、白さが目立つようになったのは4時間経過した頃からだったように思います。

4時間経過したときの写真があります。
Imgp4954enl800

ここで注目していただきたいのは10円玉ではなく洗浄液の方です。周辺(特に下側)に緑色の沈殿ができています。

(これもちゃんと分析してみないと断言はできないのですが)塩化銅ではないかと思います。錆(主に酸化銅)が希塩酸に溶け、水分が蒸発して濃縮され析出してきたものかもしれません。

こういうことから、ひょっとしたら酸化銅から希塩酸に溶け出した銅イオンが再び析出して十円玉の表面に付着したため10円玉が白くなった原因ではないかというのが私の推測(想像)です。

これも銅が表面に析出したら白っぽくなる理由が必要ですが、硫酸銅に入れた鉄釘に付着する銅もこんな色をしていたような気がするようなしないような....

  このことについては追加の実験をしてもう少し考えてみました。
    「
十円玉をピカピカに磨く - サンポールの作用

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半分だけプラスチック用コンパウンドで軽く磨いてみました。
Imgp5003trm1600

黄色い矢印で示したようなところが磨けてないのは相変わらずですが、全体的な印象はかなりきれいになっています。

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関連
  「
十円玉をピカピカに磨く - サンポールの作用
  「
10円玉をピカピカにしようと思ったら白くなってしまった話」 (この記事)

  「
十円玉はピカピカに磨くより写真を撮るのが難しい
  「
年銘別貨幣流通枚数を推測する(1)

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過去記事の一覧(測定、電子工作、天文計算)

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趣味の実験」カテゴリの記事

コメント

10円玉と言えば青銅だったでしょうか?腐食により微結晶の表面が出て乱反射するから白っぽく見えるんだと思います。

あ、こちらのリンクの方だ説得力あったかも。
http://www.jfe-tec.co.jp/jfetec-news/35/2p.html

コメント、ありがとうございます。
リンク先も拝見も拝見しました。電子顕微鏡とか使えれば何が起きているかもっとよくわかるんでしょうね。
おっしゃる通り乱反射して白っぽく見えているのだと思います。
腐食が原因なのか析出が原因なのか、今それを確かめる実験をしてみようと準備しています。
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追記
腐食(亜鉛、錫の溶出)と考えるのが自然な気はします。
溶液が飽和しないようにしておけば析出はないでしょうから、
それでも白っぽくなれば腐食が原因と考えてよさそうです。
でも亜鉛、錫の溶出だったらなぜ水素の気泡がまったく見られないのが不思議です。

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