年銘別貨幣流通枚数を推測する(1)
硬貨には製造年らしきものを示す年号が刻印されています。これを正式には“年銘”というようです。この記事の目的は硬貨の年銘ごとの現時点での流通枚数を推測するにはどうしたらいいか、というのを考えることです。
まず年銘別の製造枚数は公表されています。
「独立行政法人造幣局 - 貨幣を知る - 貨幣に関するデータ - 年銘別貨幣製造枚数[PDF]」
例えば昭和26年には約1億枚の十円玉が作られています(正確に書くと昭和26年の年銘のある十円玉は約1億枚作られています)
硬貨も使っているうちにキズが付いたり変形したりします。こういうのは銀行でカウントするときなどに回収されてしまうはずです。また側溝に落ちてなくなる(流通しなくなる)なんてものもあるでしょう。したがって昭和26年の10円玉が現時点で1億枚流通しているとは思えません。
じゃあ現在昭和26年の10円玉はどれほど流通しているのかという疑問が湧いてきます。
使えなくなった10円玉を回収するときわざわざ年銘を確認しているとは思えませんし“自然消滅”した10円玉は数えようがありません。だから製造枚数の資料はあっても流通枚数の資料はないはずだ、と思ってこの記事を書いています。
もしそういう資料があるのをご存知の方がいらっしゃったらぜひお教えください。
(昭和二十八年の年銘がある十円硬貨、周囲にギザギザがあります)
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「十円玉はピカピカに磨くより写真を撮るのが難しい」みたいな記事を書いていると自然とできるだけ年銘のことなる十円玉を集めてみようかというような気が起きてきて、今数百枚の十円玉が手元にあります。そこで年銘別の枚数を数えてみました。表にしたものが記事の最後にあります。背景が黄色くなっているのは周囲にギザギザのある十円玉が製造されたところです。
年号・西暦の右に造幣局の資料にあった製造枚数がありその右が私が持っている十円玉の枚数です。全部で241枚ありました。
1970年以前のものはあんまりありませんが、ぜんぜんないわけでもないです。いちばん古いものは昭和28年のものでした。
いちばんたくさん持っているのは意外と古い昭和56年の14枚でした。この年は十円玉が大量に製造された時期にあたっており、昭和56年の年銘のものは13億7千万枚作られています(平成28年のものは2億枚くらいです)
製造枚数と手元にある十円玉の関係です。
最近の十円玉は製造枚数50,000,000枚につき1枚くらい持っている勘定ですが、古い十円玉になると200,000,000枚につき1枚くらいの勘定になっています。
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ここで製造枚数に対する持っている十円玉の比率を考えてみます。13億7千枚にたいして14枚だと0.0000000102ということになりわかりにくいのでppbつまり10億分率で扱います。そうすると10.2ppbと手頃な値になります。
年銘が昭和26年から平成28年まで十円硬貨をぜんぶ合わせると約339億枚が製造されています。今持っているのが241枚ですから私は製造された十円硬貨の7.1ppbを所有しているということになります。
たいていの方は十円玉を使うときそれが何年の年銘があるかというのはほとんど気にしないと思います。どの十円玉も同じように使われて世の中を巡っていくわけです。
もし製造された十円硬貨がすべてそのまま流通しているとすれば入手する十円硬貨の出現数は製造枚数に比例するはずなので年銘別の所有率はどの年銘のものでも7ppb前後になるはずです。
ところが下の表を見るとわかるようにそうはなっていません。もちろんサンプルが少なすぎてばらつきが大きいということもあるのですが、全体的に見ると古いものほど製造枚数に対する所有率が低下しているようです。
※ 最新の平成28年の十円玉の出現率が小さいですが、これはまだ銀行の金庫の中にあるとかお釣り用に準備されているとかで十分に撹拌(?)されていないからだと思います。
以上のことはグラフを作るとよくわかります。
緑色の線が“所有率”を示していますが、明らかに右肩上がりになっています(わかりやすいように一次の近似線をいれてありますが、一次で近似していいかどうかはまだわかりません)
これは分母が製造枚数だからでしょう。ある年銘の硬貨が現れる確率は流通枚数に比例することから、このグラフは古い硬貨ほど製造枚数に対する流通枚数の比率が小さくなるという当たり前のことを示しています。
では流通枚数に対する手元の10円玉の数でグラフを作ったらどうなるかというと、出現数は流通枚数に比例するのですから出現率は一定値になるはずです。
ということは上の緑のグラフが一定になるように(x軸と平行になるように)分母=流通枚数を仮定すれば流通枚数が推測できるはずです。
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ということでもう少し(1,000枚~10,000枚くらい?)十円玉が溜まったら流通枚数の推測をやってみようと思っています。
関連
「10円玉をピカピカにしようと思ったら白くなってしまった話」
「十円玉はピカピカに磨くより写真を撮るのが難しい」
「年銘別貨幣流通枚数を推測する(1)」
「過去記事の一覧(測定、電子工作、天文計算)」
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現在、10円硬貨の流通枚数は193億枚
投稿: | 2017年3月10日 (金) 16時11分
ありがとうございます。
できれば出典あるいは根拠をお教えいただけませんでしょうか。
投稿: セッピーナ | 2017年3月11日 (土) 08時02分
そう言えば最近は古い年号の硬貨をあまり見かけませんねぇ。
あたしが子供の頃、昭和42年ころまでは各年号の硬貨にいろいろ紙幣(日本国)を集めていたんですけどね、何処へ行っちゃったかしら^^;
国会議事堂の5円玉とか、昭和26年の10円玉はいいわ、大きい50円玉なんて200枚も持ってたのにさ、貨幣価値が、、、、(><
投稿: クリ | 2017年3月14日 (火) 09時04分
古い硬貨や紙幣を集める趣味はないのですが、本の間から古い紙幣が出てきたります。久しぶりに百円札なんか見ると懐かしいです (^^)
十円玉を1,000枚集めると、26年の年銘のものも1枚か2枚はありそうな気がするのですが....
投稿: セッピーナ | 2017年3月14日 (火) 10時11分