海上保安庁水路部の略算式 - 月の位置の略算(2) 黄緯と赤経・赤緯
月の視赤経・視赤緯を求めるまでに必要な係数や計算式は次のExcelファイルにあります。
「ダウンロード Moon_LonLatDist_20170628A.xlsx (68.9K)」
黄緯の求め方は前記事に書いた黄経とほとんど同じです。項数は黄経よりは少ないのですが、それでも50項ほどあります。だからセルの計算式を“計算式の作成”のシートで作っているのも同じです。
1979年、1980年、1999年、2017年について1点~4点黄緯を求めてみました。

結果はこれまでと同じく「(NASA)JPL Horizons Web-Interface」と比較します。
黄経と同レベルの精度の値が得られています。
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黄経と黄緯が求まったのでこれを地心と春分点を結ぶ直線の周りに軌道傾斜角分回転すれば赤経・と赤緯が求まります。軌道傾斜角は(ちょっと釈然としないところもあるのですが)平均軌道傾斜角を使います。
これも「(NASA)JPL Horizons Web-Interface」と比較するのですが、視赤経・視赤緯の比較対象は“1. Astrometric RA & DEC”ではなく“2.Apparent RA & DEC”です。
なお、月は上にあるとおり“Moon[luna][301]”です。
赤経・赤緯も海洋方法部の近似式に比べると誤差が大きいですが、黄経・黄緯と同程度の精度が得られていますので、計算方法には問題ないと思われます。
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参考
長沢工「天体の位置計算」地人書館、1981
長沢工「日の出・日の入りの計算」地人書館、1999
福島登志夫編「天体の位置と運動」日本評論社、2009
長沢工「日食計算の基礎」地人書館、2011
「国立天文台 - 暦計算室 - 暦象年表」
「(NASA)JPL Horizons Web-Interface」
水路部の略算式
「海上保安庁水路部の略算式 - 月の位置の略算(1) 黄経」
「海上保安庁水路部の略算式 - 月の位置の略算(3) 観測地から見た赤経・赤緯と方位角・高度」
「海上保安庁水路部の略算式 - 月の位置の略算(2) 黄緯と赤経・赤緯」
「海上保安庁水路部の略算式 - 太陽位置の略算(1)」
「海上保安庁水路部の略算式 - 太陽位置の略算(2) 黄経」
「海上保安庁水路部の略算式で太陽の視位置(赤経、赤緯)を求める」
「日の出・日の入りの計算」の略算式で太陽の黄経を求めてみた」
「理科年表(暦象年表)における太陽の黄経の意味」
「海上保安庁水路部の略算式はいつまで使えるか? - 太陽の黄経を例に」
海洋情報部の近似式
「太陽の赤経・赤緯・地心距離をExcelで求める(海洋情報部の計算式) 2017年版」
「月の赤経・赤緯・地心距離をExcelで求める(海洋情報部の計算式) 2017年版」
「惑星(金星・火星・木星・土星)の赤経・赤緯・地心距離をExcelで求める(海洋情報部の計算式) 2017年版」
海洋情報部の近似式の発展(係数の決定法)
「海洋情報部方式で水星の視位置(赤経・赤緯)を求めるには....」
「水星視位置の海洋情報部近似式の係数の求め方」
天体の位置計算について
「恒星の位置計算 - ヒッパルコス星表の使い方から大気差の計算式まで」
「月の視位置計算で地心距離の計算に誤りが.....」
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