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2017年7月22日 (土)

海上保安庁水路部の惑星位置の略算式 - 天王星の視赤経・赤緯

水路部の略算式には2系統あると書いたのですが、細かく書くと次のようになります(長沢工「天体の位置計算」地人書館、1981 によります。太字はすでに記事を書いたものです)

    A-1. 太陽 (天測暦 昭和53年版)
    A-2.  (天測暦 昭和55年版)
    A-3. 金星・火星・木星・土星(天測暦 昭和54年版)

    B-1. 水星 (水路部研究報告 No.15 1980)
    B-2. 天王星・海王星・冥王星 (昭和54年度経緯度研究会集録)

今回はB-2にある略算式で天王星の(日心)黄経・黄緯を求めそれから視位置(視赤経・視赤緯)を算出してみます。

この記事に相当するExcelファイルは

  ダウンロード PlanetsUranus_LonLatDist_20170714A.xlsx (147.8K)

からダウンロードできます。

---------------------

天王星の略算式は係数がすべてラジアンになっています。ですからそのまま計算したあと度に変換することになります。

ラジアンなのでこれまでと比べると小さめの係数が並びます。

00

(動径(r)の係数は途中で切れています)

計算式を同じ形にするため(=Excelで計算式を生成するため)どの項も4つの係数から計算する形にしてあります。



=======================

係数がラジアンということを除けば計算方法は水星と同じです。最終的に算出した視位置を国立天文台 - 暦計算室 - 暦象年表の値と比較してみました。

元の資料を参照できないので長沢工「天体の位置計算」地人書館、1981 によるのですが、時刻の起点(原点)はJ2000.0、得られる黄経・黄緯は 瞬時の平均春分点と黄道に基づく座標系における値 だそうですので赤経・赤緯の算出もそれに基づいています。

01

かなり誤差があります。特に赤経は0.05度つまり太陽・月の直径の1/10ほど違います。平均軌道傾斜角を使うか真黄道傾斜角を使うかというようなことはどうでもいいレベルです。

係数を何度も見直したのですが、誤入力はないようです。何か問題があるのか、もともとこの程度の精度なのかまだ確認できていません。

黄経・黄緯の時点で暦象年表の値とかなり違っています。

02

どうしようかと思い一週間以上放っておいたのですが、検討して原因を教えてくださる方がいらっしゃるかもと思い記事を書いておくことにしました。

--------------------

参考

  長沢工「天体の位置計算」地人書館、1981
  福島登志夫編「天体の位置と運動」日本評論社、2009
  長沢工「日の出・日の入りの計算」地人書館、1999
  長沢工「日食計算の基礎」地人書館、2011
  「国立天文台 - 暦計算室 - 暦象年表
  「(NASA)JPL Horizons Web-Interface

  水路部の略算式

    「海上保安庁水路部の略算式 - 水星の視位置(視赤経・視赤緯)

    「海上保安庁水路部の惑星位置の略算式 - 火星の(日心)黄経・黄緯

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  海洋情報部の近似式
    「太陽の赤経・赤緯・地心距離をExcelで求める(海洋情報部の計算式) 2017年版
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惑星光行差を計算してみましょう。
惑星から地球へ光が到達する時間の分…座標位置は遡ります。
この時太陽の位置も再計算することになります。

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