海上保安庁水路部の略算式で求めた月の位置を図にしてみた
数字の羅列だけではイメージがわかないと思うので、これまでの計算結果を図にしてみました(正確に書くと、計算結果を図にして検討する方法を考えてみました)
2017年1月1日 中央標準時21時00分の月の位置を材料にします。水路部の略算式では黄経・黄緯が求まりますが、これを(地心からの)視赤経・視赤緯に変換したものと、さらにそれを元に算出した東京からの視赤経・視赤緯です。またそれぞれの正解は「(NASA)JPL Horizons Web-Interface」 で調べてあります。
これを図にしてみます。
赤が地心からみた月の位置、緑が東京から見た月の位置です(但し月の見かけの大きさは半径0.25度に固定してあります)
このくらいのスケールで見ると「(NASA)JPL Horizons Web-Interface」 のデータとよく一致しています。
Excelファイル(ダウンロード Moon_LonLatDist_20170707A.xlsx (59.3K))を見るとわかるようにこのときの月は西の空、地平線近くにあります(じつは沈んでしまっていて東京からは見えません。地球が透明で見えるとすれば、みたいな話になっています。そういうのがきらいな方は次の4月1日のデータで考えればいいと思います。地平線に対して対称の位置で見えるところにあります)
いずれにしても水平線近くにありますので上の図でもわかるように視差は大きいです。
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上の図はSVGで描いています。SVGを作るところは上のExcelファイルの“SVG”のシートにあります。まだ作っている途中で自動的に処理しているところと手動で入力しなければならないところが混在しています。
生成されるSVGの例
今回は位置の問題なので半径同一の円を描いて終わりにしましたが、こんな風に欠け方がわかるものが欲しい方もいらっしゃると思います。
こういうのは輝面比をはじめいろんなものを計算しなければならずけっこうたいへんです。
興味のある方は「2014年8月の星食(掩蔽)予測」など星食予測の記事からダウンロードできるExcelファイルを参考にしていただければと思います。
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参考
長沢工「天体の位置計算」地人書館、1981
長沢工「日の出・日の入りの計算」地人書館、1999
福島登志夫編「天体の位置と運動」日本評論社、2009
長沢工「日食計算の基礎」地人書館、2011
「国立天文台 - 暦計算室 - 暦象年表」
「(NASA)JPL Horizons Web-Interface」
水路部の略算式
「海上保安庁水路部の略算式 - 月の位置の略算(1) 黄経」
「海上保安庁水路部の略算式 - 月の位置の略算(3) 観測地から見た赤経・赤緯と方位角・高度」
「海上保安庁水路部の略算式 - 月の位置の略算(2) 黄緯と赤経・赤緯」
「海上保安庁水路部の略算式 - 太陽位置の略算(1)」
「海上保安庁水路部の略算式 - 太陽位置の略算(2) 黄経」
「海上保安庁水路部の略算式で太陽の視位置(赤経、赤緯)を求める」
「日の出・日の入りの計算」の略算式で太陽の黄経を求めてみた」
「理科年表(暦象年表)における太陽の黄経の意味」
「海上保安庁水路部の略算式はいつまで使えるか? - 太陽の黄経を例に」
海洋情報部の近似式
「太陽の赤経・赤緯・地心距離をExcelで求める(海洋情報部の計算式) 2017年版」
「月の赤経・赤緯・地心距離をExcelで求める(海洋情報部の計算式) 2017年版」
「惑星(金星・火星・木星・土星)の赤経・赤緯・地心距離をExcelで求める(海洋情報部の計算式) 2017年版」
海洋情報部の近似式の発展(係数の決定法)
「海洋情報部方式で水星の視位置(赤経・赤緯)を求めるには....」
「水星視位置の海洋情報部近似式の係数の求め方」
天体の位置計算について
「恒星の位置計算 - ヒッパルコス星表の使い方から大気差の計算式まで」
「月の視位置計算で地心距離の計算に誤りが.....」
「このブログの変更履歴・正誤表など」
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