ダイソーの発泡スチロールカッターのニクロム線と電流値
以前、ニクロム線を買ってきて、発泡スチロールカッターを作るにはどのようなニクロム線を使ってどのくらい電流を流せばいいか、ということで
「発泡スチロールカッターを作るのに必要なニクロム線と電流値 」
という記事を書きました。
ただ現実問題として発泡スチロールカッターが必要だったら百均に売ってるものを使った方が簡単で安上がりな解決法でしょう。例えばダイソー(DAISO)では次のようなものを売っていました。
Aが“刃先”にあたるニクロム線です。“刃渡り”2.5cmです。
B.は電池ホルダーです。C.のUR14(単2)の電池を使います(電池は別売です)
ビニール袋の中に何か入ってますが、予備のニクロム線です。これは20cmありました。少なくとも4回は取り替えられそうです。
2.5cmしかないのですが、薄い板状の発泡スチロールを切るのであればぜんぜん問題なかったです。スパッと切れます。ただもたもたしているとスチロールがけっこう溶けていくのでもう少し電流を抑えてもいいような気もしました。
ここからが本題になります。
このダイソーの発泡スチロールカッターに使われているニクロム線は線径0.25mmでした。(こういう商品にそういうのを期待するのが間違ってると思いますが)ニクロム線の材質や抵抗値、抵抗率についての表示は何もありませんでした。
使用状態で電圧と電流を測ってみました。電圧は無負荷1.5V、使用時1.3Vでした。電流は1.2~1.3Aでした(電池もダイソーで買ったものですが、2mx1mくらいの発泡スチロール板の切断でけっこう使ったあとのものです)
電圧・電流はAmazonで買った2,000円のもので、これも電流測定時の内部抵抗がどの程度かよくわからないのですが、10Aレンジだと0.01Ωくらいのものだと思います。となると実際は1割増しくらいの電流が流れてるんじゃないかと思いますが、ひとまず1.3Vで1.3Aだったということにします。とすると抵抗値はちょうど1Ω、1cmあたりの発熱量は0.68Wということになります。
以上から電気抵抗率を求めると 2.0μΩmということになります。
( 1 / 0.025 * π * (0.00025/2)^2 )
電気抵抗率が心持ち高めのような気もしますが、現時点でこれ以上詳しい測定はできないので勘弁してください。
「発泡スチロールカッターを作るのに必要なニクロム線と電流値 」 にある表に今回の結果を追加してみました。
単位長さあたりの発熱量と使ったときの印象
単位長さ あたりの 発熱量 |
使用時50Ω/mの |
5V電源、 |
切れ味 |
0.25W/cm | 0.5A | 20cmくらい |
押しつければ発泡スチロールに食い込みますが切れるというとこまでいきません。 |
0.30W/cm | 0.6A | 17cmくらい |
ゆっくり電熱線を動かせば切れないこともないです |
0.35W/cm | 0.7A | 14cmくらい |
ゆっくり電熱線を動かせばスムーズに切れるようになります |
0.40W/cm | 0.8A | 12cmくらい |
抵抗感なく切れます |
0.45W/cm | 0.9A | 10cm強 |
切れ味はいいですが、電熱線にスチロールがこびりつくようになります |
単位長さ あたりの 発熱量 |
使用時の 電流 (電源電圧1.3V) |
ニクロム線の長さ |
備考 |
0.68W/cm | 1.3A | 2.5cm |
上の適正と思われる電流・発熱量より大きいのですが、線径が0.25mmと大きくそのぶん表面積も大きくなっているのでこのくらい必要なのかもしれません。使っているうちにもうちょっと電流を減らした方がいいような印象は持ちましたが.... |
実際に作る場合は(電流ではなく)単位長さあたりの発熱量を目安にしてください。
最適な発熱量は電熱線の太さや気温によって変化します(上の実験は20℃くらい)
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予備のニクロム線がついているのでこれを15cm前後に調整して5V電源を接続すればちょうどいい感じになるのではないかという気もします。つまり
ちょっと厚めの発泡スチロールを切ることができて
1A出力くらいのUSB電源が使える
のではないかということです。
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ダイソーのやついいね‼‼‼‼‼
投稿: | 2021年7月10日 (土) 22時56分