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2018年7月 6日 (金)

Amazonで買った400000V高電圧発生モジュールの出力電圧

Amazonで

  「直流3V-6V→400kV送電·ブースト·ステップアップ パワーモジュール 高電圧発生400000V」

というのを(送料込み350円也で)買いました。

Imgp5954_trm


400000V、400kVとあるので40万Vということになりますが、これがほんとうなら怖すぎます。

  静電気学会「静電気ハンドブック」オーム社, 1981

にある資料(実験式)からすると40万Vもあれば針状電極同士の間だと76cmくらい離れていても火花が飛びそうです。どう考えても 4万V(40kV)の間違い だと思います。4万Vであれば火花が飛ぶのは(平等電界)で1cm強といったところです(針状電極だと4.3cmくらい)

スタンガンにしか使えそうにないものをどうして買ったかというとスペクトルを見るときの(撮影するときの)光源を作りたかったからです。いろんな放電形態を考えているのですが、火花放電もそのうちの一つです。

まず最初に実際何Vくらいの電圧が得られているのかを調べてみました。抵抗で分圧すればいいのですが、抵抗器の耐圧はふつう500Vくらいなので例えば5万Vを500Vに分圧するとしても抵抗が100個必要ということになります。

そこで今回は安直に火花放電が開始する電極間の距離から電圧を求めてみます。これは電極間距離・気圧の積と放電開始電圧の関係を示す パッシェンの法則 というのがあるのですが、平等電界というのが条件なのでちょっとやっかいです。現実に平等電界を作るのは難しそうですが、実用的には電極間距離に比べて十分大きい直径をもつ球電極を使えば平等電界とみなしてかまわないそうです。

  パッシェンの法則についての記事を書きました。
  「放電開始電圧をパッシェンの法則から知る

 

と言っても金属球なんて手元にありませんのでどうしようかといろいろ考えたのですが、いい方法を思いつきました。

Imgp5951trmtnl

縦置きの缶と横置きの缶は別の板に固定してあります。縦置きの缶を固定した板の上で横置きの缶を固定した板を動かすことで2つの空き缶の位置関係・距離を調整します。放電が起きる部分は塗装を落としてあります。

写真のように空き缶を軸が直行するように配置します。少なくとも空き缶の直径と同じ直径の金属球を使うより電界は一様になるような気がします(あくまで“気がする”です)

あと電源が問題です。製品説明を見ると入力電圧3V~6V、入力電流2A~5Aとなっています。適当な電源がないので公称出力電流1.0A と1.8AのUSB電源(アダプター)を使ってみることにしました。

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で、結果ですが、出力1.0Aの電源アダプターを使ったとき電極間2.5mmで放電が始まり、出力1.8Aの電源アダプタを使ったとき電極間4mmで放電が始まりました。

Imgp59500254

電極(2つの空き缶)の間で放電が発生しています。これは露出過多で目で見ていると放電の経路が光る糸のように見えます(紫外線が出ていそうなので目で見るのはやめた方がいいと思いますが)

上で「パッシェンの法則」が...、と書いたのですが、今回は無精して「静電気ハンドブック」 「標準球ギャップの火花電圧」 の表のお世話になりました。この表を見ると2.5mmというのは9.6kV、4.0mmが14.2kVに相当します(この表にも適用条件というものがあって、今回のケースはその条件を完全に満たしているわけでもないのですが、他に目安になるものがないのでこの表を利用させていただきました。また電極間距離と放電開始電圧の関係は次の記事で表・グラフあるいは式を示すつもりです)

ちょっと低めな感じがしますが、まだまだ電源の容量が不足しているのだと思います。1.8Aの電源アダプタを使った方が5割くらい電圧がアップしているわけですから。少なくとも電源のまともな使い方になっていないのは確かです。

今後の課題としては.

・ちゃんとした電源で実験(アルカリ乾電池がいちばんお手軽?)
・分圧して測定した電圧値と比較
・出力電圧波形、入力電流波形の確認
・球電極同士(円筒電極同士)と針状電極・球電極、針状電極同士の放電距離の違いの確認
  「高電圧モジュールの放電開始電圧 - 円筒電極と針状電極 
  「高電圧モジュールの放電開始電圧 - 針状電極間の放電

・部分放電(コロナ放電)の確認
  「高電圧モジュールの放電開始電圧 - 針状電極間の放電」 にある動画

と言ったところをやってみたいと思います。

あと出力電圧の極性が問題ですが、これについては調べました。

  Amazonで買った「400000V高電圧発生モジュール」の出力極性

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空き缶を見ると放電の痕跡がはっきり残っていました。そのうち放電加工ってどういものか試してみたい気もします。

  武沢英樹「」トコトンやさしいい放電加工の本」日刊工業新聞社, 2014

によれば比較的簡単な装置で放電加工の実験ができるそうです。

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2018年7月9日追記

放電開始電圧をパッシェンの法則から知る で作ったグラフに今回の放電開始時の電極間距離を追記してみました。
上の記事は「標準球ギャップの火花電圧」をもとに書いてありますがパッシェンの法則のグラフの方を使うと放電開始電圧は記事に書いたものより若干高めになります。いずれから求めても放電開始電圧はいろんな要素に左右されますので、目安と考えてください。

Paschenslaw_1


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参考

  「簡易分光器 - 作り方・使い方のまとめとリンク集」  (本来の目的)

  「Amazonで買った400000V高電圧発生モジュールの出力電圧」 (この記事)

  「放電開始電圧をパッシェンの法則から知る
  「高電圧モジュールの放電開始電圧 - 円筒電極と針状電極

  「高電圧モジュールの放電開始電圧 - 針状電極間の放電
  
Amazonで買った「400000V高電圧発生モジュール」の出力極性

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