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2018年7月20日 (金)

CD-R簡易分光器の限界は? - 「イラストレイテッド光の実験」

これまでの簡易分光器の記事はすべて(CD-Rではなく)DVD-Rを利用したものです。言うまでもなくCD-Rに比較してDVD-Rを使った方が色解像度が高くできるからと思ったからです。

簡易分光器を作ろうと考え始めた頃、当然いろいろググって製作記事や実際に撮影されたスペクトル写真を拝見したのですが、「やっぱり簡易分光器ってそんなに色解像度がとれないものなんだなあ」と思わせるようのものが多かったです。だから少しでも色解像度が高いものがほしかったらDVD-Rしかないと思いこんでしたったという事情があります。

前回の一連の記事ではDVD-Rで(“最大瞬間風速”的な意味では)0.05nmくらいの半値幅が実現できるところまで行きました。とするとCD-Rを使っても0.6nm離れたナトリウムのD1、D2線をきれいに分離するくらいのことは容易に実現できそうです。

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先日図書館でたまたま

  田所利康「イラストレイテッド光の実験」  朝倉書店, 2016

という本を見つけました。文字通り反射、屈折、散乱、干渉、偏光など光に関わるいろんな現象の画像とその撮影方法について書かれたものです。簡易分光器とそれを使ったスペクトル写真もあります。蛍光灯、太陽光(フラウンホーファー線)、プラズマボールなどがサンプルとして使われているのですが、フラウンホーファー線の画像を見るとD1線、D2線がきっちり分離し、しかもD1線よりD2線がちょっと太めという特徴まではっきりわかる画像になっています。

作り方も詳しいのですが使い方・撮影法のポイントも簡潔・明瞭に書いてあって私のブログよりよっぽど役に立ちそうです (^^;;

よくよく考えると私のフラウンホーファー線の写真は特定波長領域だけ取り出して色解像度を上げたものが多く、可視光線全域の写真となると「イラストレイテッド光の実験」 にはまったくおよびません。要するにDVD-RでCD-Rに負けているわけでまだまだ修行が必要です。

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組み立て方を示した図(著作権上の問題が生じないよう画質を落としてあります)

Gauss

もちろんCD-Rから回折格子を作る手順についても詳しく説明してあります。

ところで上の画像を見ると予想がつくと思いますがエクステンションチューブ(接写リング)が使われています。特殊な写真趣味の方でないとこういうものはお持ちじゃないと思いますし、新たに購入するとそれなりのお値段ですのでここだけでハードルが高くなってしまうのは残念です。

(解説にもありますが)これは最短撮影距離の大きい望遠系のズームレンズを使われているためで標準系のレンズを使うようにすればさしあたり必要ないと思います。また(強度や持ち運びのことで工夫が必要になりますが)スリット・回折格子間の距離を大きくするという対応もあります。

それからプラズマボールのスペクトルの撮影ではコリメータ・反射型回折格子の組み合わせで撮影されています。具体的な寸法やコリメータの使い方の説明があれば大いに参考になったのですが、残念ながらそれはないです(探せばネット上に簡易分光器にコリメータを追加したようなものもあるのですが、拝見する限りコリメータを使わない方が色分解能が高いんじゃないの、と思われるようなものでした)

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参考

  
簡易分光器 - 作り方・使い方のまとめとリンク

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簡易分光器とスペクトル」カテゴリの記事

コメント

お久ですぅ^^
「イラストレイテッド光の実験」面白そうですね♪
紹介ありがとうございます。

やっぱり分光器一度は作ってみたいなぁ、、、。
星のスペクトルも撮ってみたいものです。

こんにちは~ ご無沙汰しております m(._.)m
いろんな分野について書いてあるので分光器についてはそんなにページ数がさかれているわけではないのですが、よくまとまっていて必要な情報はきちんと入っている感じです。
同じ書店、著者から「イラストレイテッド光の科学」というのが出ていて、これは私は読んでないのですが、amazonの書評見ても評判いいですね(写真集+光学的な説明というような内容のようです)
久しく迷走(?)しているのですが、そろそろ分光器シリーズの第2弾をやろうかと思っています。今回は分光器自体よりスペクトルの図鑑を作るような方向で行こうと思っています。

了解です。

いろんな数式、あたしには理解とても及ばなくて、、、(><
セッピーナさん尊敬しちゃうわ^^

それじゃ第2弾楽しみにしてますよぉ(^_-)-☆

ありがとうございます。あんまり期待せずに待っててください (^^;;
ところで恒星や惑星のスペクトルについては興味はあるのですが、機材的にちょっと手が出せない状況です。
ぜひスペクトルの撮影に挑戦していただければと思います (^^)

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