カテゴリー「天文計算」の133件の記事

2017年5月 3日 (水)

太陽・月・惑星視位置の海洋情報部近似式の係数の求め方

海上保安庁海洋情報部(昔の水路部)が提供する太陽系天体の視位置の計算式は歳差がどうだとか年周光行差がどうだというような余計な計算をせずに比較的正確に視位置を求めることができる近似式なので私みたいに天文計算をExcelで済ませてしまおうという人間にはなかなかに便利です。

ただ近似式の係数は海洋情報部が提供するものを使うわけですから、係数が提供されていないものは計算のしようがありません。水星や天王星以遠の惑星・準惑星の視位置がそうですし、太陽・月・金星・火星・木星・土星であっても(2017年5月現在で言えば)2019年以後の視位置がそうです。

海洋情報部方式で水星の視位置(赤経・赤緯)を求めるには....ではこの係数を“力づく”で求める方法を書きました。

最近この件について次のようなコメントをいただいたので紹介しておきます。

--------------------------------

遅くなりましたが、私の方法での計算式が入ったエクセルデータをメールで
送らせていただきました。

海洋情報部の式は、以前は摂動項を拾い出して作っていたものと思われますが、
最近の天測暦にのっているものは、
別の方法で求めたものを日付範囲限定でcos関数で近似しているものと思います。

三角関数での近似ですしcosの計算がcosNθとなっているところから、
フーリエ変換しているのであろうとあたりをつけて試し始めました。

やってみて気づいたのですが、フーリエ変換では結果が複素数となりsinとcosを両方使うか、
偏角を加えるかになってcosNθだけで計算している海洋情報部の式とは合いません。

ここで、ふと、コサイン変換では?と気づいて色々調整...

ウィキペディアの離散コサイン変換の記事を引用すると、
「なお、DFTも偶関数数列に対しては実係数を返す、つまりコサイン成分のみとなるが、
 DCTはy軸で折り返して偶関数化してDFTすることと等価であり、実際にそう計算することが多い。」
ということなので、データを整えて分析ツールアドインのフーリエ変換で何とかなるだろうと..

結果、日付の逆順に並べ、範囲の初日で折返して偶関数とし、
コサイン変換すると結果が海洋情報部の係数とよく合うということが分かりました。

お送りしたデータの月と金星のデータは、その検証用です。
海洋情報部の係数に極めて近い値が出ました。

これが、先のコメントで「かなりの高精度で」と書いた意味です。

コサイン変換した近似式ですので、海洋情報部純正の係数でも真値との誤差は避けられず、
たぶん、その精度は10^-5程度ではないでしょうか。


投稿: 孔雪 | 2017年5月 2日 (火) 00時04分


---------------------

現在いただいたExcelファイルをもとに方法を確認中です。このことについて記事にできるのがいつになるかわからないのでひとまずいただいたコメントを紹介させていただきました。

なおコメントとともにいただいたExcelファイルについては孔雪さんの了解をいただければこの記事からダウンロードできるようにします

孔雪さんからお許しをいただいたので孔雪さんからいただいたExcelファイルをダウンロードできるようにしました。

  水路部データDCT 部分.xlsx 」  (2,678kb)

孔雪さんからはさらに詳細な説明・データをいただきましたので、それについては次の記事で紹介する予定です。

------

  「太陽の赤経・赤緯・地心距離をExcelで求める(海洋情報部の計算式) 2017年版
  「
月の赤経・赤緯・地心距離をExcelで求める(海洋情報部の計算式) 2017年版
 惑星(金星・火星・木星・土星)の赤経・赤緯・地心距離をExcelで求める(海洋情報部の計算式) 2017年版

  「海洋情報部方式で水星の視位置(赤経・赤緯)を求めるには....

  
恒星の位置計算 - ヒッパルコス星表の使い方から大気差の計算式まで

 月の視位置計算で地心距離の計算に誤りが.....
  
このブログの変更履歴・正誤表など

2017年3月 4日 (土)

海洋情報部方式で水星の視位置(赤経・赤緯)を求めるには....

先日

  「惑星(金星・火星・木星・土星)の赤経・赤緯・地心距離をExcelで求める(海洋情報部の計算式) 2017年版」

の記事に

  Do you have Mercury Calculation?

というコメントをいただきましたが、ありません、と答えるしかありませんでした。

金星の視位置は求められるのになぜ水星の視位置は求められないのか?

理由は簡単で海洋情報部の資料には金星の視位置を求めるデータはあっても水星のデータはないからです。これは海洋保安庁海洋情報部(昔の水路部)の業務の目的が関係していると思います。

海洋保安庁の目的とするのは航海の安全です。天文情報は天測によって船舶の位置を決定するために使われます。だから提供されている情報は太陽、月、金星~土星、明るい恒星に限られています。すべて天を見上げれば肉眼でもすぐにそれとわかる天体です。

実際に水星を見た方(あるいは見ようとした方)はご存知だと思いますが水星は手強いです。肉眼で見つけるのはなかなか難しく、私は10x50の双眼鏡を使っても見つけられなかったことがあります。さらに水星が観測できる時期、時間帯は極端に限定されていますし、見えたとしても高度は小さく(大気差が強く働くため)高度の正確な観測はできません。つまり天測にはほとんど役に立たないから位置情報もないのでしょう。

この記事とは直接関係ないのですが、太陽との離隔が2度ちょっとしかない水星の写真を撮られた方がいらっしゃるので紹介しておきます。

  クリちゃん 彡 のお月見 - 20170309(木) 水星(外合3日過ぎ)、月齢10.9

----------

海洋情報部の方式は近似式でそれぞれの天体の位置を求めます。近似式はすべての天体に共通です。そして使用する係数の個数や一組の係数が適用できる期間に違いがあります。

この近似式に使う係数が毎年公開されています。「惑星(金星・火星・木星・土星)の赤経・赤緯・地心距離をExcelで求める(海洋情報部の計算式) 2017年版」の記事にあるExcelシートでは"Sun"、"Moon"、"Planet"の三つのシートに2013年から2017年の間の視位置計算に必要な係数を保存してあります。例えば金星の2013年の視位置計算に使われるのはこういう係数です。一つの係数群は120日間(3ヶ月)程度使える18個の数値からなっています。

Venuscoefjan2017

------

そこで水星のデータ(係数)がないのだったら、自前で作ったらいいんじゃなかろうか、という考えが浮かびます。

続きを読む "海洋情報部方式で水星の視位置(赤経・赤緯)を求めるには...." »

2016年12月 7日 (水)

iPhoneやAndoroidのコンパスの精度を検証する - はじめに

iPhoneやAndoroidの携帯端末が“道案内”をしてくれますが、あれは現在位置を知ることができるGPS受信モジュールと方位を知ることができるコンパスがついているからです。

念のために書いておくとGPS受信モジュールでは方位を知ることはできないはずです。GPS受信モジュールで言う“方位”は“進行方向の方位”です。なぜ方位を知ることができないかというとアンテナが一つしかないからです。だから二つのアンテナを使ってGPSの電波から方位を知ることができるという製品は存在します。ググって見つけたものを一つ紹介します。

  「小型高精度 GPSコンパス

それほど精度が高くないように思えますが基線長が短いためでしょう。

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検証するとなるとコンパスの表示を「真の方位」と比較する必要があります。そこで真の方位をどうやって知るかが問題になるのですが、これは天体の方位を使うことにします(天体の位置つまり角度は日常生活では相当するものが皆無と言っていいくらいに正確に知ることができます。「反射鏡・レンズの歪曲収差を測る - PENTAX Q7 + 01 Standard Prime」みたいなことができるのも天体の位置を正確に知ることができるからです)

天体の方位は時刻と位置がわかっていればその測定精度に応じた精度で得ることができます。通常方位は0.1°のオーダーまでわかれば十分でしょう。この精度で天体の方位を知るためには時刻を10秒、緯度・経度を0.05°(角度の3'、距離で言えば5km前後)の精度で測定しておけばいいです(だから(と言っていいのか)標高の影響はあんまりないです)

スマホのカメラを使うのであればいちばんターゲットにしやすい天体は月で次は金星でしょうか。太陽もいいのですが、明るすぎていろいろ工夫が必要になります。これらの天体の具体的な位置を知るには

  国立天文台 - 暦計算室 - こよみの計算

がいいでしょう。時刻は分単位でしか指定できないので方位角を0.1°まで知りたいときは補間するなど必要になりちょっと不便です。

  月の地平視差と視半径・地心距離の関係

からダウンロードできるExcelファイルを使っていただく方法もあります。これは時刻は秒まで指定できます。「観測地の月視位置」のシートで月の方位角、「惑星視位置」で金星等の方位角を知ることができ、「恒星視位置」のシートで恒星の方位角を計算することもできます(方位角の表示は小数点以下一桁にしてありますが、実際はもっと精度があります)

本格的(?)なものとして

  「NASA JPL Horizons Web-Interface

がありますが、これは慣れないとちょっと面倒かもしれません。

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Andoroidの場合はコンパスのアプリが必要になりますが、これは別になんでもいいと思います。要するに自分の好みで選べばいいのではないでしょうか。

  A Day In The Life とあるプログラマの備忘録 - iPhoneとAndroidで真北の取得方法を比較する

によればAndoroidの場合は磁北と偏角を求めるAPIがあってアプリはそれを使って磁北や真北を求めているようです。となればどんなアプリも(使い勝手のいい悪いはあるにしても)方位を示す結果は同じでしょう。

今回は自分の好みで次のようなアプリを使いました。

Screenshot_20161207140626

続きを読む "iPhoneやAndoroidのコンパスの精度を検証する - はじめに" »

2016年11月23日 (水)

月の地平視差と視半径・地心距離の関係

太陽の赤経・赤緯・地心距離をExcelで求める(海洋情報部の計算式) 2017年版についてきなこさん、exampapaさん(受験の父さん)から何点か御指摘・御質問をいただいていますので、それについて....

まず、地平視差から地心距離を算出する方法が間違っているのではないかという御指摘がありましたが、これは月の視位置計算で地心距離の計算に誤りが.....に書いたように御指摘のとおりで訂正版を作成しました。

  ダウンロード Excel_Sun_Moon_Planets_2017A.xlsx (217.1K)

誤りは月視位置、観測地の月視位置、恒星視位置の三つのシートにありました。いずれも“(月の)地心距離”を計算しているセルでsin()を使うべきところでtan()を使ってしまっていました。

(以下言い訳)
この誤りは本質的なものですが、ただ月の(平均距離に対する)地心距離で“小数点以下5桁目が1違う”程度の誤りなのでたいていの場合これまでの計算が全部ムダになるというような致命的なものではありません。また恒星視位置のシートでは恒星視位置の計算結果に対する影響はありません。

------------------

さて今回の話題は月の地平誤差から視半径(あるいは地心距離)を計算する方法(というかそのとき使う定数)についてです。

月(や太陽や惑星)の位置については海洋情報部の近似式を使っているのですが、赤経赤緯以外に地心距離や視半径が必要になることがあります。月の場合海洋情報部の近似式から得られるのは赤経赤緯と地平視差なので地平視差から地心距離あるいは視半径を求める必要があります。

常識的には次のような手順になると思います。

1a

続きを読む "月の地平視差と視半径・地心距離の関係" »

2016年9月14日 (水)

月の視位置計算で地心距離の計算に誤りが.....

これまで公開した計算シートで、月視位置の地心距離の計算に誤りがあることがわかりました。誤りの内容は以下のとおりです。訂正するとともにお詫び申し上げます。

またこのことをご指摘いただいたきなこ 様に感謝いたします。

  参考 「このブログの変更履歴・正誤表など

-------

遅くなりましたが訂正版を作成しました。このExcelファイルには月、太陽、惑星、恒星の視位置を求めるシートが含まれています。

  「
ダウンロード Excel_Sun_Moon_Planets_2017A.xlsx (217.1K)

誤りは月視位置、観測地の月視位置、恒星視位置の三つのシートにありました。いずれも“(月の)地心距離”を計算しているセルでsin()を使うべきところでtan()を使ってしまっており、地心距離の5桁目が正しい値(=「
暦象年表 - 月の地心座標」 )と1程度違うケースがあります。なお恒星の視位置の計算結果への影響はありません(2016年11月23日 「月の地平視差と視半径・地心距離の関係」による

-------

先日次の三つの記事を書いています。

  「
太陽の赤経・赤緯・地心距離をExcelで求める(海洋情報部の計算式) 2017年版
  「
月の赤経・赤緯・地心距離をExcelで求める(海洋情報部の計算式) 2017年版
  惑星(金星・火星・木星・土星)の赤経・赤緯・地心距離をExcelで求める(海洋情報部の計算式) 2017年版

じつはこれらの記事からダウンロードできるExcel計算シートで月の地心距離の計算に誤りがあることがわかりました(この三つだけでなくこれまでの計算シートで月の地心距離を計算しているものはすべて間違っていると思います。

これは上の最初の記事をご覧になった方からのご指摘で気付きました。そのまま引用させていただきます。

初めまして、セピーナ様。
Excel_Sun_Moon_Star_2017.xlsは、とても素晴らしいツールです。
天体のシミュレーションソフトの単体試験にとても有効です。
一つ、質問があります。
シート名=月視位置 において、
[C29]=1737.4/TAN(D33)/384400
と、なっておりますが、
[C29]=1737.4/SIN(D33)/384400
ではないでしょうか。
月の半径と、その接線は直行していると思います。
よろしく、ご確認をお願い申し上げます。
もし、私の考えがまちがっていたら、取り消し、ここにお詫び申し上げます。

以上
2016/9/13

どう間違っているかもご指摘のとおりです。

海洋保安庁海洋情報部のデータは月に関しては(地心距離ではなく)地平視差が与えられています。これを使うとき次のように間違った解釈に相当する式を使ってしまっていました。
Photo_2

------------------

じつはご指摘をいただいて間違っていることに気がついた後も高をくくっていました。天文計算の対象になる天体はうんと遠くにあるのだからsin()を使おうがtan()を使おうが結果はたいしてかわらないのでは、と思ったのです。

しかし月は近すぎます (^^;;

  0.9368711 暦象年表の値
  0.936858  これまでの計算結果
  0.936869  誤りを修正した計算結果

    (2017年12月31日09時00分00秒(中央標準時)の地心距離)

暦象年表と比較すると修正によって誤差がかなり小さくなっていることがわかります(誤差がゼロにならないのは海洋情報部の計算式はあくまで近似式であるからです)

2016年8月16日 (火)

惑星(金星・火星・木星・土星)の赤経・赤緯・地心距離をExcelで求める(海洋情報部の計算式) 2017年版

太陽・月に引き続き主要な惑星の赤経・赤緯・地心距離を求めるためのExcelシート2017年版を作りました。2013年1月1日~2017年12月31日の範囲で惑星の視位置を有効数字8桁程度の精度で求めることができます。

正しい位置__つまり暦象年表の値__とちょっと違うように思われるかもしれませんがこの差は大きい場合でも金星の視半径の1/100程度のものなので実用上はまったく問題ないです。

なお海洋情報部の式は(暦象年表と同じく)地心から見た赤経・赤緯を求めるものであって地表の観測地からものではありません。観測地から見た視位置の計算方法は省略しますが、必要な方は観測地の月視位置のシートと同様な方法で計算することができます。

ファイル
  Excel_Sun_Moon_Planets_2017.xlsx
  (このファイルには太陽、月、恒星の視位置計算のシートも含まれていますが、それらの確認用のデータ(暦象年表の値)は含まれていません)

    この中の計算式には誤りがあります。
    (今差し替える時間的な余裕がなく)お手数ですが修正の上お使いください。

    “月視位置”のシートで地心距離を計算しているC29(E29、G29、...も)のセルは
        =1737.4/TAN(D33)/384400
     とありますが
        =1737.4/SIN(D33)/384400
     が正しいです。 


      月の視位置計算で地心距離の計算に誤りが.....
      
このブログの変更履歴・正誤表など

目的
  任意の中央標準時における惑星(金星・火星・木星・土星)の
  赤経・赤緯・地心距離を求める
  月・太陽の視位置と恒星の視位置を含みます。

座標系

  ICRS/ICRFJ2000.0座標系平均位置真位置視位置(地心)、視位置(測心)

適用期間

  2013年1月1日~2017年12月31日
  海洋情報部から同形式のデータを入手すれば今後も使い続けることができます。

計算手法

  海上保安庁海洋情報部の計算式による(記事本文参照)

精度

  度の表示で小数点以下第5桁目に若干の誤差あり
  (小数点以下第5桁=度分秒の0.04秒、時分秒の0.002秒)

備考・使用上の注意

  太陽及び月についても同様の記事があります。
    「太陽の赤経・赤緯・地心距離をExcelで求める(海洋情報部の計算式) 2017年版
    「
月の赤経・赤緯・地心距離をExcelで求める(海洋情報部の計算式) 2017年版

  恒星の視位置計算について下記の記事を参考にしてください。
    「恒星の位置計算 - ヒッパルコス星表の使い方から大気差の計算式まで

地心から見た惑星の視位置の計算結果と国立天文台 - 暦計算室 - 暦象年表との比較(ここにあるのは金星だけですが、Excelシートには他の惑星の比較結果もあります)
Venus2017

--------

内容が太陽・月の視位置を求める記事ととあんまり変わらないのですが、検索で直接このページに来た方もいらっしゃると思うので以下詳細を書きます。

続きを読む "惑星(金星・火星・木星・土星)の赤経・赤緯・地心距離をExcelで求める(海洋情報部の計算式) 2017年版" »

月の赤経・赤緯・地心距離をExcelで求める(海洋情報部の計算式) 2017年版

太陽に引き続き月の赤経・赤緯・地心距離を求めるためのExcelシート2017年版を作りました。2013年1月1日~2017年12月31日の範囲で月の視位置を有効数字7桁~8桁で求めることができます。

 Excel_Sun_Moon_Star_2017.xls
  (Excelファイルを開くと"太陽視位置"のシートが開きますので"月視位置"を選択してください)

    この中の計算式には誤りがあります。
    (今差し替える時間的な余裕がなく)お手数ですが修正の上お使いください。

    “月視位置”のシートで地心距離を計算しているC29(E29、G29、...も)のセルは
        =1737.4/TAN(D33)/384400
     とありますが
        =1737.4/SIN(D33)/384400
     が正しいです。 


      月の視位置計算で地心距離の計算に誤りが.....
      
このブログの変更履歴・正誤表など

なお海洋情報部の式は(暦象年表と同じく)地心から見た赤経・赤緯を求めるものであって地表の観測地からものではありませんので、地心視位置=>観測値視位置の変換も用意しました。

-------

遅くなりましたが訂正版を作成しました。このExcelファイルには月、太陽、惑星、恒星の視位置を求めるシートが含まれています。

  「
ダウンロード Excel_Sun_Moon_Planets_2017A.xlsx (217.1K)

誤りは月視位置、観測地の月視位置、恒星視位置の三つのシートにありました。いずれも“(月の)地心距離”を計算しているセルでsin()を使うべきところでtan()を使ってしまっており、地心距離の5桁目が正しい値(=「
暦象年表 - 月の地心座標」 )と1程度違うケースがあります。なお恒星の視位置の計算結果への影響はありません。(2016年11月23日 「月の地平視差と視半径・地心距離の関係」による)

---------

目的
  任意の中央標準時における月の赤経・赤緯・地心距離を求める
座標系
  ICRS/ICRFJ2000.0座標系平均位置真位置視位置(地心)、視位置(測心)
適用期間
  2013年1月1日~2017年12月31日(拡張可能)
計算手法
  海上保安庁海洋情報部の計算式による(記事本文参照)
精度
  度の表示で小数点以下第5桁目に若干の誤差あり
  (小数点以下第5桁=度分秒の0.04秒、時分秒の0.002秒)
備考・使用上の注意
  同様の太陽の視位置の計算も含まれています。
  恒星の星表位置から視位置を求めるシート(「基本公式」)も用意しました。
  (2016年版以前にあった固有運動及び年周視差の計算の誤りを修正してあります)

地心から見た月の視位置の計算結果と「国立天文台 - 暦計算室 - 暦象年表」との比較
Moon2017

観測地から見た月の高度・方位の計算結果と国立天文台 - 暦計算室 - 暦の計算との比較
(暦象年表には観測地から見た月の視位置はないため高度・方位で比較しています。
 ただこの程度の精度であれば一致してあたりまえですが....)
Moon_2016b

続きを読む "月の赤経・赤緯・地心距離をExcelで求める(海洋情報部の計算式) 2017年版" »

2016年8月 7日 (日)

太陽の赤経・赤緯・地心距離をExcelで求める(海洋情報部の計算式) 2017年版

海上保安庁・海洋情報部の計算式とデータを利用して太陽と月の視位置を求める2017年版のExcelシートを作成しました(2013年1月1日~2017年12月31日の範囲で利用できます)

  Excel_Sun_Moon_Star_2017.xls

    コメントでご指摘いただいているようにこの中の計算式には誤りがあります。
    (今差し替える時間的な余裕がなく)お手数ですが修正の上お使いください。
    “月視位置”のシートで地心距離を計算しているC29(E29、G29、...も)のセルは
        =1737.4/TAN(D33)/384400
     とありますが
        =1737.4/SIN(D33)/384400
     が正しいです。 


      月の視位置計算で地心距離の計算に誤りが.....
      
このブログの変更履歴・正誤表など


  以下のものが含まれています。
  ・太陽の視位置(海洋情報部の計算式)
  ・月の視位置(海洋情報部の計算式)
  ・月の観測値から見た視位置(海洋情報部の計算式+α)
  ・恒星の星表位置から視位置を求めるシート
   (有効数字8桁程度の精度があります)
  ・度分秒と小数の度の相互変換

なおおまけの“恒星位置計算”シートは2016年版(及びそれ以前)には視線速度がゼロでないときの固有運動の計算(恒星の視位置に対する固有運動と視線速度の影響)と年周視差の計算(単位はmasなので1000で割らなければならないのをそのまま使っていました)に誤りがありましたので2017年版では修正しました。

計算結果と「国立天文台 - 暦計算室 - 暦象年表」との比較

Sun2017

関連

  「
太陽の赤経・赤緯・地心距離をExcelで求める(海洋情報部の計算式) 2017年版
  「
月の赤経・赤緯・地心距離をExcelで求める(海洋情報部の計算式) 2017年版
     (Excelシートは同じものです)

  惑星(金星・火星・木星・土星)の赤経・赤緯・地心距離をExcelで求める(海洋情報部の計算式) 2017年版
   (太陽、月、恒星の視位置の計算シートも含まれていますが、それらの暦象年表との視位置の比較は含まれていません)

-------------------------------

  「
太陽の赤経・赤緯・地心距離をExcelで求める(海洋情報部の計算式) 2016年版
  「
月の赤経・赤緯・地心距離をExcelで求める(海洋情報部の計算式) 2016年版

  「
恒星の位置計算 - ヒッパルコス星表の使い方から大気差の計算式まで

  「
記事目次・趣味の天文計算
  「
記事目次・掩蔽(星食)

------

 

続きを読む "太陽の赤経・赤緯・地心距離をExcelで求める(海洋情報部の計算式) 2017年版" »

2016年7月19日 (火)

恒星の視位置に対する固有運動と視線速度の影響

以前 恒星視位置(赤経・赤緯)計算が間違ってました!に固有運動の計算で星表にある固有運動の赤経成分の取り扱いが間違っていたことを書いたのですが、またまた固有運動の計算に間違いが見つかりました。

恒星位置の計算に何らかの間違いがあることは昨年末に気がつきそのことは バーナード星の視位置計算の誤差の原因を調べる - 1に書きましたが、どこがどう間違っていたかについては書いていませんでしたので、遅ればせながら書いておきたいと思います。

----

まず固有運動の赤経成分の取り扱いを修正する前の2014年8月以前のExcelでシリウスの視位置を計算したものです。2014年の30日ごとの日付の中央標準時0時の視位置を国立天文台暦象年表の値と比較したグラフです。
Sirius_13


全体的に見ると“の”の字が逆にしたような動きになっていますがこれは楕円形をした年周光行差による運動に歳差+固有運動の(ほぼ)直線運動が合成されたものになっているからです。1月1日と12月28日の点を結ぶ線分が歳差+固有運動ということになりますが、その大部分は歳差によるものです。このグラフは章動と年周視差の影響も含まれているのですが、このグラフだけではそれがどのような動きをしているのかは認識することはできません。

赤い線(暦象年表)に比較して黒い線(計算結果)がわずかに左にずれていますが、これが固有運動の赤経成分にcosδを二回掛けてしまったことによる影響です。

赤経成分の計算が間違っているので左右方向(赤経方向)に影響が出ています。

この誤差は0.00015度くらいです。f=1950mmの反射望遠にAPS-Cのカメラを(直焦点で)つけて撮影したとき 0.000010度が画像の0.1ピクセルに相当しますので同様の条件で1.5ピクセルくらい違っていることに相当します。

続きを読む "恒星の視位置に対する固有運動と視線速度の影響" »

2015年12月30日 (水)

東方最大離角の日、久しぶりに見えた水星

今日はめったにない天気のよさで暗くなりかけた空を見上げていたら何か光るものが見えるような気がしました。双眼鏡を取り出して見たら何もなかったのですが、空に低いところを一通りみたらけっこう明るい星がありました。

写真を撮ってあったので周囲の恒星との位置関係を確認したら間違いなく水星でした。
何年ぶりでしょうか (^^;;
Imgp10591000

水星の東方最大離角の日 2015年12月29日 17時30分02秒±2秒
PENTAX Q7 + 06 TELEPHOTO ZOOM
f=15mmくらい、F2.8 ISO800 0.8秒

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