太陽黒点の緯度・経度を求める - 実践編 (2)
「Excelで天文計算・記事目次とリンク集 」
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長らく放置してしまいましたが
「太陽の自転軸 」
「黒点の緯度・経度を求める - 北極方向角・日面緯度・日面経度 」
の続き
「黒点の緯度・経度を求める - 実践編(1)」
の後編です。
準備ができたので本題に入ります。まず画像から黒点の画像上の座標を求めます。
座標軸はふつうx-yなんですが、ここでは三次元で考えているのでy-zになっています。
画像はこれです。
上の画像にある四つの黒点を対象にします。
計算をする前に画像を撮影した時刻の太陽の自転軸のデータを
「国立天文台 - 暦計算室 - 暦象年表 - 太陽の自転軸」
で求めておきます。これらを計算で求める方法についてはまた別の記事で書きたいと思います。
・写真からOを原点とした座標(y,z)を読み取ります。
・太陽の半径を1とするとx=sqrt(1-y^2-z^2)になります。
それぞれの画像上の座標を太陽の中心を原点とし太陽の半径が1.0になるような座標系での座標に変換します。求められた座標は太陽の中心から黒点を見たと考えたときの方向余弦でもあります。
・太陽の北極が天の北極を向くように座標をx軸の周りに北極方向角Pだけ回転します。
これはちょっと注意が必要でじっさいに回転させる角度は北極方向角Pに画像上の北極の方向をプラスしたものにします。
・赤道が太陽の中心にくるように日面緯度B0の分だけ前後に(y軸の周りに)回転します。
これはふつうに座標を回転するだけです。
以上で求めた黒点の座標(方向余弦)から
緯度 = asin(z')
経度 = atan2(x',y')+L0
として緯度経度を求めることができます。
同様にこの2日前と5日前の画像からも黒点の緯度経度を求め一覧表にしてみました。
経度は太陽が剛体と考えたときのものです。つまり差動回転の影響は考慮されていません。それからNo.1の黒点は13日は外周ぎりぎりに見えており緯度経度はかなりの誤差があると思われます。
今回は記事を早く書こうと画像からの座標の読み取りをかなり雑にやってしまったこともあり、この表をどう解釈すべきか、というのは書きません、というか書けません (^^;;
じっさいに自分で写真をとって調べてみるとおもしろいと思います。
Excelのファイルはここにあります。
「ダウンロード Excel_SS10.xls (111.0K)
」
今回紹介した方法では次のような項目が課題として残っていると思っています。これらについては解決法をまた記事にしていく予定です。
差動回転の影響を考慮した経度がほしい。
=>差動回転の影響を補正した経度を求める。
得られた座標の精度はどの程度のものか?
=> 読み取り誤差の影響を評価する。
特に外周に近い黒点の座標は要注意。
カメラはきちんと固定されていたか?振動の影響はないか?
=>三枚以上の画像から天の北極の方向を求める。
北極の方向の計算方法は適切か?
=>より厳密な方法で算出する。
(これは大気差・収差の影響にも関連します)
太陽の中心座標と半径の求め方は適切か?
=> 4点以上の外周の位置から算出する。
(これは大気差・収差の影響にも関連します)
大気差の影響はないか?
=>大気差の影響を評価できる計算方法を導入する。
レンズの収差の影響はないか?
=>収差の影響を考慮した計算方法を導入する。
(しばらく時間をおいて続く)
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