掩蔽観測報告 ZC3470 2015.12.18
「月面X」の日、7等星の掩蔽がありました。
「月面X」の日、7等星の掩蔽がありました。
昨日ZC1029(SAO 96015, HIP 32104, 26 Gem)の掩蔽(暗縁出現)がありました。
5.2等星、21時30分、月の高度30度とここまではなかなかの好条件ですが、輝面比91%というのがちょっとつらかったです。
そういえば26日のアルデバラン食はあいにく曇りで観測できませんでしたが、そのときの東京での輝面比は99.6%だったようで、ちょっと怖いもの見たさ的な感覚で見ておきたかったです。
ZC1029出現時刻
2015年11月28日 12時34分36.88秒 ±0.04秒 UTC
「掩蔽観測用GPS/1PPS発光器(弐) - 潜入・出現時刻の求め方」にあるExcelシートによる動画の分析
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昨日6.6等星とちょっと(私にとっては)暗い恒星の掩蔽がありました。
満月近い月の明暗境界線近くに潜入するという撮影条件の難しい掩蔽でした。いつもはISO12800で撮影するのですが、月明りがすごくて今回はISO6400での撮影です。ほんとうはISO3200以下におとしたいのですが、そうすると今度は恒星がよく見えなくなるわけでほんと難しいです。
潜入時刻
2015年10月24日 14時36分00.85秒 ±0.04秒 UTC
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Occult 4による(仮)整約結果
O-Cは-0.02とわずかに違っています。
その後11月16日にデータが更新されたOccultで(仮)整約したところ O-Cは -0.04 になっていました。下図のような込み入った地形(月縁)なのであんまり気にしないことにします。
Occult 4による月縁図
これを見ると潜入ポイントもかなり微妙なところだったみたいです。
O-Cが-0.02というのは観測の問題ではなく月縁がまだ正確に把握されていないためだと思います(あるいはOccult 4の精度の問題)
潜入で今回程度の画質であれば観測に問題があって O-Cがマイナスになるというのは考えにくいです。
記事を書くのを忘れていました。というかじつは動画を分析するのを忘れていました (^^;;
さらにタイトルで2014のつもりが1914になってました m(._.)m
7.2等星と(私にとっては)かなり暗い恒星の暗縁潜入です。
潜入直前=星像のある最後のフレーム=の画像です。
月本体が写っていませんが地球照で月縁の形がわずかに見えます。
“星食観測用1PPS発光器・2号機 - 取扱説明書”の一部です。
そもそも1PPS発光器を作るのは掩蔽の潜入・出現の時刻を可能な限り正確に知るためです。ここでは掩蔽と1PSS発光をデジカメで写した動画からどうやって潜入・出現の知るかについて書きます。
ここに記すのはJCLOへの掩蔽観測報告提出の際、詳細を説明し掩蔽時刻の決定方法として適正であることを確認していただいた手法です。
これについては何度も書きました。特に「星食観測用1PPS発光器取扱説明書 - 6」では何も考えずに計算すれば潜入・出現の時刻を求めることができる式(とそのExcelシート)を示しました。ただこれは結果だけわかればいいということでその結果に至る経過がとても分かりにくくなっています。そこで今回はそのあたりが少しはわかるようにと考えて作ってみました。
このへんの理屈は「動画の撮影時刻を知る(1)」あたりに詳しく書いてありますのでそういうのを参考にしていただければと思います。
ところでこの潜入・出現の時刻を知るというのは意外に難しいです。難しいというよりあちこちに“罠”__勘違いしやすいところ__があります。この記事や関連記事を読んで計算のやり方が間違っているんじゃないかと思った方はしばらく時間をおいてもう一度考えていただければと思います。ここに示す計算方法はちゃんと実績があって、最近だと算出した時刻の恒星の位置は「かぐや」の測定した月縁位置と0.01秒(arcsec)のオーダーの差しかないくらいに精度がいいです。
掩蔽の時刻予測用のExcelシートは0.1秒単位での予測が可能です。予測時刻はいつも数秒ははずれているわけで0.1秒単位で予測することに意味があるのかと思われそうですが、これには理由があります。以下を読んでいただければ理解していただけると思います。
この記事について注意していただきたいこと
月縁の凹凸がどう出現潜入時刻に影響を与えるかはケースバイケースでこの記事の内容はあくまで一例です。一般的に接食に近い場合影響はとても大きくなります。極端なケースとしてはほとんど接食の場合は掩蔽が起きるのに起きないと予測してしまうことも多いです。またそのことと関連しますが、この記事にはアバウトなところがあります。月と恒星の相対的は動きは月縁に垂直とは限りません。この記事ではそこを厳密に考えていません。ただ垂直でなければここに書いたことがまったく成り立たないということではないです。この掩蔽予測のExcelでは月までの距離と月の半径の比を重視しています。そのため月までの距離の精度チェックは細かくは行っていません。したがって月までの距離についてはひょっとしたら少し違っているかもしれません(違っていても”少しだけ”のはずです)
<==== これは勘違いです。ちゃんとチェックしていたと思います。
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まず2015年10月2日のアルデバラン食(R692 暗縁出現)の名取市での出現時刻を予想します。
21時18分03.3秒です。実際は「天文はかせ入門(仮) - アルデバラン食:出現(2015.10.2)」にあるとおり21時18分06.1秒に出現していますので2.8秒早めに予測してしまったことになります。
さて次に名取市から観測したときもし月縁が1000mふくらんでいたらどうなるでしょうか?
Occultに濡れ衣を着せたのは私なのでマッチポンプ的ですが.....
Occult開発者の皆さん、利用者の皆さん、ほんとうにすみませんでした m(._.)m
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いつもなら動画の分析が終わって潜入あるいは出現時刻がわかったらすぐに整約を行っていたのですが、今回は手間取ってしまいました。
“最初の結果”に基づく整約結果(クリックで拡大)
赤い枠で囲んであるところの最後のデータNo.15がアルデバラン(R692)食です。最近の傾向として O-Cの値がかなり大きくなっています。
赤い枠のところにある他のデータと同じく、きっとOccultがうるう秒を考慮していなかったせいに違いない、1秒プラスして整約してしまえ、と思ったのですが、この結果を見ていると不思議なことがあります。
過去(具体的には1623年から現在まで)の世界中の掩蔽観測記録はすべてデータベースに登録されています。このあたりの事情は「日本における星食(掩蔽)観測(報告)件数(データ追加)」にちょっと書きました。
たとえば1905年の麻布にあった東京天文台の観測データや海上保安庁水路部の膨大な観測が記録されています。
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一昨年から掩蔽の観測記録をちまちまJCLO - 星食観測日本地域コーディネーターに報告していたのですが、いつまでたってもデータベースに登録されず、どうなっているんだろう、と惑さんと話していたものですが、今見たらありました。
これまでの報告したものがきちんと登録されていました。どう登録されているかお見せしたいのですが個人情報満載なので省略します (^^;;
確認したら惑さんの観測記録もちゃんとありました。
なんとなく天文学に貢献できたような気がして今朝はちょっと気分がいいです (^^)
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と書いたもののアマチュアの星食観測の意義についてはちょっと疑問を感じている今日この頃です。そのことはまた別の機会に書きたいと思います。
もちろん意義があろうがなかろうが私は“趣味”として観測は続けます。
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これじゃあんまりなので1905年の東京天文台の観測データを紹介しておきます。
さすがに100年以上前の観測なので(O-Cを見る限り)あんまり精度がよくない__今のアマチュアの観測の方がずっと精度がいい__です。
別にアマチュアのレベルが向上したということではなくGPSの恩恵であるだけですが。
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掩蔽の予測と観測全般については
『「掩蔽(星食)の予測と観測」記事目次とリンク集』
前記事「速報・アルデバラン食 2015年10月2日」にあるようにアルデバラン食の動画撮影ができました。さっそく出現時刻を分析してみました。
結果だけ先に書くと
12h16m48.06sUTC±0.04s
12h16m49.06sUTC±0.04s
12h16m49.03sUTC±0.04s
でした(出現時刻の算出は「星食観測用1PPS発光器取扱説明書 - 6」に記した手法によります)この出現時刻のOccultによる整約結果は
「掩蔽(アルデバラン食)観測の整約結果 - Occultの濡れ衣を晴らす」
にあります。
今回の観測地での予測時刻は21h16m48sJSTでしたので珍しくよく一致しています。たまには“まぐれ”もあります (^^;;
以下詳細を書きますが、この星食の観測結果を見つけたので紹介させていただきます。
「天文はかせ入門(仮) - アルデバラン食:出現(2015.10.2)」
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